ぼくは彼女に元気になってほしいんだ
コツコツコツ…と彼女は一定の速度で歩いている。ぼくはその十メートルほど離れた後ろを歩いている。ドクンドクンと緊張で全身を震わせながら歩いている。
「…………………………」
どうしよう…も、もう、あの階段が目視できるくらいのところまで来てしまった。
どうしようどうしようどうしよう
いつ行こういつ行こういつ行こう
ぼくの頭は(どうしよう)と(いつ行こう)でいっぱいになった。いっぱいいっぱいになった。
「はぁ…」
「!」
すると突然、彼女のため息が聞こえてきた。それと同時に歩幅が緩み、うなだれるようにゆっくりと歩き出した。そして少し上を見た。
「はぁ…」
彼女は何かを見てまた溜息をついた。
ぼくはその溜息を聞いた瞬間、緊張でぶるぶると震えていた全身がピタリと止まった。
「…」
ぼくは彼女に元気になってほしいんだ!だったら今しかないじゃないか!
僕は彼女めがけてぶつかる覚悟で歩き出した。
「はあ…」
歩いている途中、また彼女のため息が聞こえた。その声はちょうど僕の頭上から聞こえてきた。
ドキドキドキドキ
また自分の心臓の音が聞こえてきた。
彼女を追い抜き勢いよく彼女に振り返った。
彼女は硬直していた。そしてそれと同時に
「…ん?」
という声が聞こえた。
やった!見てもらえた!見てもらえたけど…ん?ってなんだろう?
彼女はぼくを見て目を細めて固まっている。




