どうしよう…どうしよう、どうしよう
ついに太陽が沈んで夜が来た。それとともに心臓の鼓動がさらに強く脈打っているのを実感する。ドックンドックンと強く、そして早く脈打っている。
彼女に気付かれなかったらどうしよう…
気付かれても無視されたらどうしよう…
恐れられたらどうしよう…
黒猫だから不吉だと思われたらどうしよう…
嫌われたらどうしよう…
猫を好きではなかったらどうしよう…
アレルギーとかあったらどうしよう…
拒絶されたらどうしよう…
次の日から違う道に変えられたらどうしよう…
もうあんな黒猫見たくないって、帰る道を変えられたらどうしよう…
どうしよう…どうしよう、どうしよう!
時間が近づくにつれて、あらゆる(どうしよう)がぼくの頭を占拠する。そしてそれと同時に(今日じゃなくても)とか(明日にしようか)という後回しにして逃げ出したい気持ちになる。
「…」
でも…やっぱり、今日じゃないとダメなんだ。今日逃げたらきっと明日も逃げてしまう。明日も逃げたらきっと明後日も逃げてしまう。だから今日じゃないとダメなんだ。こういうことは逃げちゃいけない。今日やらなきゃダメなんだ。
「…」
ぼくはゆっくりと歩き出した。
大丈夫、もしダメだったら…その時考えよう。
「…」
ぼくは駅から200メートルほど離れた茂みの中でたたずみ、彼女を待つ。
「…」
いつもここから、彼女が来るのを待っていた。心をウキウキさせながら、時間も忘れて待っていた。
「………………………」
ここに来て、もう結構経った…もうすぐ、もうすぐ彼女が帰ってくる。
「…!」
彼女だ!




