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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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「あ、あうぁ~」や「も、もうも~」などと自分の身分もわきまえず若干不機嫌になり、それによりメグはさらに不機嫌になるという負のスパイラルへと突入した。

 そして実践へ


 ぼくは彼女が駅に着き帰ってくる時間を、完璧に把握していた。メグはそれを聞いた時になぜかブルっと全身を震わせていた。その日は特に寒い日でもなかったから少し不思議だった。


 メグに人間と親密になれるコツを教えてもらっているときも、その時間が近づくと「ちょ、ちょっと待って!待ってってぃ!」となぜか声を張って喋り「彼女が!彼女が帰ってくるぅ時間なんですぅ!」と慌てふためいていて続けると、メグはいつも(信じられないアホ)を見る目で私を見ていた。そして強制的に続けても「あ、あうぁ~」や「も、もうも~」などと自分の身分もわきまえず若干不機嫌になり、それによりメグはさらに不機嫌になるという負のスパイラルへと突入した。


 そしてそれを完全なる悪循環だと悟ってくれたメグが、その時間の自由を許してくれた。メグはこの時間を(凄く気色の悪い時間)などと言っていた。あまり意味が分からなかったけれど、きっと恋焦がれるとか、良き意味の言葉だと思う。


 そして時にはメグも彼女の見送りに来てくれた。メグも彼女を「優しそうですごくきれいな女性ね」と言ってくれた。それを聞いただけでなんだかぼくも嬉しくなった。めちゃくちゃぺちゃんこな鼻がニョキンと伸びた気がした。ぼくの頬が温かくなった気がした。心が温かくなった気がした。そんなぼくの姿をメグはまた(信じられないアホ)を見る目で見ていた。

 

 さあ…いよいよ今日、彼女に声…ではないが…なんだろう、なんと表現すればよいのだろう?…かまってもらう…。


 ぼくは昨日、高鳴る心臓を抑えることができずに眠れなかった。楽しい妄想と不安になるような妄想を繰り返していたら、いつの間にか太陽がぼくを照らしていた。


こんな気持ちは猫になって初めてだ。少し不安で、でもそれをかき消してくれるほどの高揚感、なんだか言葉では言い表せないとても不思議な気持ちだ。彼女を思うだけでドキドキして、ぼくの空っぽで寂しい何もない心に温もりを与えてくれているような気がする。


夜が近づくにつれて、彼女が駅に着くあの時間が近づくにつれて、ぼくの心は沈んだり弾んだりをドッタンバッタンと繰り返して、最終的に平常心へと戻っていく。そしてまた心は沈み弾んでいく。


 大丈夫…


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