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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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この物語も、たくさんの人と喋っている…。たくさんのかぎかっこがあって、たくさんの会話がある…

 私は吸い寄せられるように本屋さんに入っていく。


 私は大きく深呼吸をした。


 本屋さんは他のお店とは違う独特の雰囲気を持っている。そして独特の香りがする。それは全く不快なものではなくて、私の心を、そしてここにいる人たちの心をリラックスさせてくれる、包み込んでくれるような優しい香り。何分でも何時間でもいていいよ、と言ってくれているような、心が温まるような優しい場所。


 私は本屋さんが大好きだ。


 「本」という文字が目に入ったらとりあえずそこに行く。そして(あ、あの人の新刊出てる!)とか(この漫画の新刊待ってました!)と心を躍らせる。そして(これくらいの出費なら…)と、財布のひもが緩んでしまう。でも、本は、出費以上のものを私たちにくれる。心を躍らせてくれる、ストーリーの中でいろんな旅に出れる。空も飛べる。そしてその物語のキャラクターを好きになって、恋に落ちて、心をキュンキュンさせてくれる。雑学の本だったら考え方を変えさせてくれる、いろんな物やいろんな事に興味を持たせてくれる、詳しくなれる。


本は最高の時間を私たちに届けてくれる。


「…」


 私は本屋さんが大好きだ。


 本も大好きだ。


 でも…なんだろう…最近、本や漫画を読んでも(どこか私と違う)と思ってしまうようになった。


「…」


 一冊の文庫本を手に取ってパラパラパラと読んでみる。


「…」


 この物語も、たくさんの人と喋っている…。たくさんのかぎかっこがあって、たくさんの会話がある。この主人公にはたくさんの友人がいて、たくさんの仲間がいて、いつも誰かと一緒にいて、そこに悩みはあるけれど、とても楽しそうな人生を送っている。


「…」


 私も物語は、たくさんの会話があって、非日常的で、ポジティブな主人公がいて、いろんなことが起きて、それを皆で乗り越えていく、そんな物語が私も大好きだ。大好きなんだけど…読んでいるとどうしても、今の自分と比較してしまう。私の人生は、そんなに、晴れやかではない…と思ってしまう。


 今の私は頼る人もいなければ、友達もいない。連絡帳にたくさんの名前はあっても、私には、連絡する人がいない。


 昔から、私はあまり人に頼らなかった。人に頼らなくてもどうにかできることがたくさんあったから。それに、自分でもどうすることもできないことは、誰かに相談したって、どうすることもできないことだと思っていたから。


 そうしていたら、いつのまにか、人を頼ったことがない私は、当然のように人に頼れなくなった。そして残念なことに、いや当たり前だけど、こんな人に頼らない人間には、自然と、誰も頼らなかった。


 本にあたることではない、本は無関係だ!って私も思う。でも、そうしているうちに、どんどん、いろんな主人公に、いろんな物語に、感情移入ができなくなった…


 私はこの主人公達と全然違う…


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