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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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〇〇さんが久しぶりにいいねを押しました

 これは私の物語。私が主役の物語。友達も恋人もいない孤独な人間の物語。


 私は会社を辞めたあの日から、一度も人と会っていない。


 私はスマホを手に取り無意味に連絡先を開く。そこには五十音順に綺麗に知り合いの名前がびっしり並んでいた。


「…」


 それを無意味に下に思い切りスクロールする。そこに並んでいる名前たちはシュルシュルシュルと流れていき、一番下でピタッと止まる。


 私はもう、この中で誰とも連絡を取っていない


 誰ともつながっていないんだ…


 もう、何カ月も人から連絡がきていない。来るのはどっかのサイトの宣伝メールだけだ。それでも…そんなメールにも、一瞬、誰かから連絡来たかな?と期待してスマホを見てしまう自分が恥ずかしい。


 私は人に、相当な用がない限り連絡をしなかった。ラインをしなかった。そして友達から来たラインも、通知は見てもすぐには返さなかった。返事を返して、また返事が返ってきて、またそれに対して返事を返す。それに時間を取られることを少し苦痛に思っていたから…。


 そしたら、誰からも連絡が来なくなった。相当重要な用でない限り、連絡をよこさなくなった。私はそれに対して何とも思わなかった。会社に行けば人に会えるし、そこで話をしていればいい。


 そうして気付いたら私は、自分から人に連絡を取ることができなくなっていた。


「…」


 友達のラインを開いて、なんて打とうか考える。でも、送った後に相手に(うわっこいつ、急になんだ?)とか(あいつ、友達いなそうだもんな。寂しくなってラインしたな)とか…思われるんだけど、思われるのはわかってるんだけど、それが嫌で…スタンプも送れなくて…どうやって誘えばいいのか、誰を誘えばいいのかわからなくて…よく考えたら誰かとランチに行くほど誰とも仲良くなくて…悲しくなってホーム画面に戻ってしまう。


 何かをつぶやくこともないから一度もつぶやかないでいたら、やっぱりつぶやくこともできなくなって。誰かと何かを共有したいけど(いいね)したら、なぜか皆に共有されるから(いいね)も押せなくて…いいね押したらなぜかフォローしてる人に(〇〇さんが久しぶりにいいねを押しました)みたいな通知がいって、また(え?ああ…あの人、生きてたんだ)とか(今無職で暇だもんね~)とか思われるんだけど!やっぱりそれが嫌で、なんでそんな余計なことするの!って一人で怒って、皆に教えなくていいの!って一人で怒って、でも別のアカウント作っても私…つぶやけないし、ってなって、一人深い絶望に陥る。

「はぁ…」


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