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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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ある日、私の一番仲の良かった同期の女の子が会社を辞めた

 ある日、私の一番仲の良かった同期の女の子が鬱になり会社を辞めた。


 二週間ほど前から会社に来ていなくて、心配していたのだが、今日上司が朝礼で


「あ~、あの~、名前、名前なんだっけ?あ、茜田さんだっけ?…えー彼女は、えー辞めました。なんだか、心の病気か何かで……えーまあ、私にはね…言い訳にしか、ね、聞こえなかったんですけどね…皆さんは…こういうね…まあ、心の病気…鬱?ですか?…こういえばね…」


 私は衝撃を受けた。というよりもただただ純粋にショックだった。一番仲の良かった子だったから、一番よく喋っていた子だったから…


「…」


 私の全身からどんどん力が抜けていくことが自分でもわかる。そしてそれと同時にどうして?という言葉が頭をよぎる。


 どうして私に相談してくれなかったんだろう?


 あんなにいっぱい喋っていたのに…


 会社つまらないね、辞めたいねくらいのことは、いつも言い合って笑っていた。


 でも…心の病気になるまで悩んでいたなんて…


 どうしてもっと、真剣に相談してくれなかったのだろう?


 私はいつだって、いつだって聞いてあげたのに…


 どうして一人で抱え込んじゃったの?


 私もいたのに…私も同じようなものだよ…


 話してくれたらきっともっと盛り上がることができたのに


 もっともっと仲良くなることができたのに


 こうして悩んでいるのは自分だけじゃないって、心が楽になることだってできたのに


 私ってそんなに頼りないのかな?


 私には相談したいって思えなかったのかな?


 「…」


 体に力が入らない…立っているのも、きつく思えてきた。他の社員の人達が私をちらちら見ている。一番仲が良かったから何かを知っているのではないか、という視線をこちらに向けている。


 私はなんだか自分が情けなくなった。恥ずかしくなった。私は茜田さんの異変に何も気が付かなかった。おかしな所なんて何もなかった。…いやあったのかもしれない、私が気付かなかっただけなのかもしれない。もしかしたら助けを私に求めていたのかもしれない…私は何も気が付かずに


 私は…


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