私は不満を乗り越えた。そしたらその先には不安が待ち構えていた。不満の先には不安があった。
私が会社を辞めて二カ月目に突入。
この頃になると、何やらこの生活にも、暇や退屈さを覚え始めた、でも働いているよりは全然いい。でも、毎日不安が頭をよぎった。
「…」
私は暇な時間を埋めるようにゲームをしている。
ゲームは時間をいい感じにつぶしてくれた。でも、なんだか、こんなことをしていていいのかな…と心の隅で思っている自分もいた。
テッテレテッテッテッテー!
「あ、レベル上がった…」
レベルは上がった、たしかに操作をしているキャラクターのレベルは上がった。レベルを上げるたびに小気味よい音楽が流れた
ゲームの中の私はレベルを上げた…
でも、部屋にこもってゲームをしている私のレベルは、上がるどころか、むしろ下がっている…
「…」
ゲームに映る下に出てくる文章が一瞬、私の心の中の文字に見えた。
私はレベルが上がるたびに少し喜び、そして少しへこんだ。
きっと私のレベルは下がっている。のきなみ右肩下がりである。
一日中部屋にこもってやりたかったゲームをしたい、と働いているときは思っていたが、いざやってみると純粋に楽しめなかった。
働いていないのと、お金が無いのと、次に働く先が決まっていないのとで、私の心は不安で押しつぶされていた。そしてそれを紛らわすためにゲームをしたが、そこでも不安が顔を覗かせる(部屋にこもってゲームですか?)(お金は大丈夫なんですか?)(皆は今、働いていますよ)。
「…」
私は、頑張って、働いていた、頑張って4年も、やりたくもないことをして、働いていたはずだ。それなのに、どうして今私は、罪悪感に苛まれているんだろう?二か月好きなことをしているだけだ。今まで、趣味も、使う道もなく貯めに貯めたお金を、少しずつ使っているだけだ。大丈夫だ、お金は大丈夫だ、まだ余裕はある。
だから大丈夫なのに…
大丈夫だって心の中で言ってるのに…
どうして私の心は…今こんなにも、衰弱しているのだろう。働いているときは、辞めたいと、こんなことしていたくないと、心を弱らせ、心を傷つけ、心を衰弱させた。そうして私は限界を迎え、ようやく会社を辞めれた、私はようやく自由になった、そう思っていたのに、私は今、心も身体も衰弱している。
私は不満を乗り越えた。
そしたらその先には不安が待ち構えていた。
不満の先には不安があった。
「…」
だったら、我慢でもしていればよかったのだろうか
私が死ぬまで、行きたくないと毎日なげきながら、会社に行けばよかったのだろうか
毎日、同じような作業を、淡々とこなせばよかったのだろうか
私はこんなことをするために生まれてきたのかと、毎日思いながら床に就けばよかったのだろうか
わたしははたらいていても、なげいて、はたらかなくなっても、なげいて、いったいなにをしているのだろう




