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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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こどものころから、わたしはまだなにも、せいちょうなんてしていない

 ベッドで横になって目をつぶっているとこんなことが頭に浮かんだ。


 疲れているのに、なんでこんなにぽんぽん頭にこんなことが浮かぶのだろう…。疲れて、眠いのに、日中もいつも眠いのに、いざ眠ろうとすると、急に眠りの邪魔をする。


「…」


 だからといって、起きて何かをするという気力もないし、そもそも起き上がる元気もない。私はただただこのよくわからない現象がいつの間にか睡眠に変わってくれるのを待つことしかできない。そしてこの現象はいつも一時間は続く。


 今日も昨日と同じような仕事をした


 毎日毎日同じような仕事をする


 私は定年まで、あと、34年…あとの34年をこんなことをして終わらすのか?


 こんなしょうもない、データの入力をして終わらすのか…


 34年も!


 噓でしょ?ヤだ…。


 自分の未来に希望が、光が見えない。


 だからといって他にやりたいことなんてない。


 でも、こんなことやりたくない…。やっていたくない。


 これは、これは罰なのでしょうか?私が今まで生きてて、好きなことや夢、興味のあることができず、それに向かって突き進むことができなかったから…私は希望が持てずに…こんな、私は今こんなに苦しんでいるのでしょうか…。


 でも、いまさら、ゆめなんて、みれる、そして、かなえられる、ねんれいでも、ないんですけど…


「…」


 自然と目から涙が落ちてきた。


 ああ、なんだろう…絶望しか見えない。絶望しか見えないよ。


ぐす


私は涙を手で拭う。


「…」


 なんだろう…「毎日毎日、よく頑張ってるね。どうしてそんなに頑張ってるのに自分を責めてるの?毎日こんなに、こんなに頑張っているのに…自分を褒めることはあっても、責めることなんてないと思うよ。よしよし、えらいえらい」そう言って頭を撫でてもらいたい。お父さんやお母さんに、また、あの頃のように、私の頭を撫でて、褒めてほしい。


 私は手を自分の頭に伸ばし優しく撫でる。


 あのころのように、お母さんのひざまくらのうえで、あたまをなでてもらいながら…こもりうたを、うたって、もらいたい。


 わたしはまだ、おとなになど、なっていない。


 こどものころから、わたしはまだなにも、せいちょうなんてしていない。


 わたしはこどものままだ。


 からだがかってにおおきくなっただけです


 うまれてからじかんがかってにすぎただけです


 かってにとしをかさねているだけです


 わたしは、まだ、こどもなんです


 だから、だれか、ほめてください…だれか


「…すけて」


 そうして私は眠りについた。


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