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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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だから、私がかまってあげる。かわいそうだからかまってあげる。

「メグー写真撮らせて~」


 彼女は私にその言葉ばかりを口にする。


 そしてそれからよくわからない四角い何かを私に向けて、それとともにカシャ!カシャ!という不愉快な音でこの部屋は包まれる。


 いつものことだ、毎日の事だと、私がボーっとしていると、彼女は四角い何かを私に向けたままよくわからないちょっかいを出してくる。そして私がそのちょっかいに応じると、カシャカシャカシャ!とまた耳障りな音が聞こえてくる。


「…」


 そして5分も経たずにそれは終わり、彼女はいつも通り四角い何かを夢中になっていじり、私にはもう構ってこない。


 私は人間ではないから、彼女が何をしているのかわからない。そしてそんな彼女を羨ましいとも思わない。彼女は部屋の中にいるけど、四角い何かを手に取るとまるで置物のように動かなくなった。


 私は彼女を好きではない。


 そして彼女も私を好きではない。


 だったらどうして連れてきたの?


 そのことをいつも疑問に思う。


「…」


 ここにいてもつまらない…


 かりかりかり


 私は透明で頑丈な壁を爪で何度かひっかき


「にゃ~」


 と彼女に鳴く。すると彼女は私を見て、少しめんどくさそうな顔をして私のところに来た。そして彼女は透明な壁をカラカラカラという音とともにどけてくれる。これが私たちの毎日の流れだ。


 私は外に出てまっすぐ公園へ向かった。


 昔は気まぐれに様々な所へ行っていた。そして知らぬ間に他の猫の縄張りに入っていて、えらく怒られたり、たまに変に気に入られたりしながら、自分のいける場所を増やしていった。そんなことを毎日ただなんとなくしていた。


 でも今私は、まっすぐ公園に向かっている。足取り軽く向かっている。あの誰も知らない、誰も来ない、静かで落ち着ける公園に。


 そこにはクロという猫がいる。でもその猫は猫じゃない。見た目は猫だけど猫じゃない。


その猫は見た目は猫なのに人間の魂を宿している。


 そんな不思議な境遇のクロは、皆に脅えられ、近づけば逃げられ、かわいそうなほど一匹ぼっちだ。


 だから、私がかまってあげる。


 かわいそうだからかまってあげる。


 クロは私が公園に行ってあげると、必ず困った顔をする。


 眉間にしわを寄せて、何とも言えない顔をする。


 でもそんな顔をしながらも、何とも言えない安心したような顔ものぞかせる。


 私はその顔が大好きだ。その顔を見るためにいつも突然、何の前触れもなく、驚かせるようにして入っていく。


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