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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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パンパンに膨らませていた夢や妄想や希望も、4年か5年でだいたい全部食べ切っちゃうの

「もう食べ終わっちゃったの?」


 私はもう一缶袋から出して、クワン!とあけてニャーさんに献上した。ニャーさんはさっきと同様むしゃぶりついた。


「ふふ、そんなに急がなくてもなくならないのに」


 私は空になった缶を回収しようと空の缶をつかむ。空になった缶はさっきまであんなに重かったのに、ひょいと持つことができた。私は空になった缶の底を見る。


「…」


 なんだか、空になった缶と今の自分がかぶって見えた。


「きっと…こんな感じだったのかな?」


 そう、私はつぶやいていた。ニャーさんはガツガツ食べながら目だけこちらに向け私を見た。私は目が合ったニャーさんに語り掛ける。


「たとえばね、私たちが子供の時に思い描いていた大人って、いろんな妄想や夢によってパンパンになった…缶なんだよ。でも、缶って、食べちゃうと意外とすぐにあっけなく終わっちゃうじゃない?なんか…大人になるってそれと似てるような気がするの。大人になって最初の頃は、これが大人か!って体験、お酒を飲んだり、タバコを吸ってみたり、夜の街を歩いてみたり、友達と朝まで遊んでみたりしたけど、結局それが普通になっちゃうと意外とあっけなく感じて、ああこんなもんか…ってなっちゃうの」


「…」


 ニャーさんが眉間にしわを寄せている。私はニャーさんに何を話しているんだろう…誰かに見られてたらと思うと、私は顔が真っ赤になる。


「まあだから!簡単に言っちゃうとね!大人になって、ダメって言われてたことが、もう大人だし大丈夫だよってなると、全てのことがこんなもんかって、あっけなく思っちゃうの。パンパンに膨らませていた夢や妄想や希望も、4年か5年でだいたい全部食べ切っちゃうの。ああこんなもんか…ってなって、大人ってこんなもんなんだって、急に現実の世界に連れ戻されるの…」


「…」


 ニャーさんは猫缶を食べ終わり、私を心配そうな顔で見上げている。


「…缶詰を食べ終わっちゃったら、その後の何十年は、どうすればいいのだろう…」


 私は深くため息をついて、なんでこんなこと考えたのだろうと地面を見つめた。そしたら急に


「ミャオ!!」


 とニャーさんが急に興奮した声をあげた。私はびっくりしてニャーさんを見ると、ニャーさんは私の膝を飛んで、なぜか私の横に置いてあるスーパーの袋の中へ勢いよくズボッと頭を突っ込ませた。


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