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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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大人になるって、もっと楽しいことだと思ってた

「ふふ、なんだか人間みたい」


 私はそう言って、ニャーさんのところまで歩いていって、ベンチに腰を下ろす。私はニャーさんまで猫一匹分の距離が空いている。ニャーさんは月を見ている。そして私はニャーさんを見ている。私は優しくニャーさんに右手を近づける。ニャーさんは私の右手を見て「別にいいけど」という顔をして、また月を見る。


 ポン


 私はゆっくりニャーさんの頭に手を乗せて、優しくやさしく撫でる。ニャーさんは指が眉間を撫でるたびに、気持ちよさそうにゆっくりと目をつぶる。私はそれがたまらなくて何回もそして何分も撫でてしまう。頭を撫でて、しまいには全身を撫でまわす。何分も撫でているとニャーさんは気持ちよさそうにのどをゴロゴロとならし、さっきまでシャキッとなっていた頭はぐにゃんぐにゃんになり、もっと撫でてと、私に体をすり寄せてくる。私はその姿がかわいくて可愛くて、両の手を使ってニャーさんの全身をぐちゃぐちゃにする。


 これが、ここ最近毎日この公園で行われている、私たちの行事のようなものだ。そして、私の一日の中の、勇逸の癒しの時間だ。


 ニャーさんは公園の外だとツンとしているが、公園に入ってしばらくすると、必ずデレデレになる。やっぱり私は、そんなニャーさんが、かわいくて仕方がなかった。

 

 ガサガサ ガサゴソ


 私はわかりやすく袋に手を伸ばし、中から何かを探す。それと同時にニャーさんは尻尾がピシャ!とまっすぐになり、私に向かって甘えるような声で


「にゃーミャー」


と鳴いている。私は猫缶を取り出し、クワン!とあけて、ニャーさんの前に置く。ニャーさんは置いた瞬間に飛びつくように食べだした。


「ふふ、おいしい?」


 私の問いにニャーさんは答えず、(見ればわかるでしょ)というくらいにガツガツ食べている。


「ニャーさん、他にご飯食べてないの?」


 私が少し心配になってしまうくらい、ニャーさんはガッついている。それの答えもたぶん、見ればわかるよね。


「ニャーさん、私ね…」


 私は猫缶に夢中のニャーさんに話しかける。


「大人になるって、もっと楽しいことだと思ってた」


 ニャーさんはご飯に夢中でこっちを向かない。でも、私にとってはそれくらいの方がちょうどいい。


「大人って毎日、もっといろんなことがあるんだと思ってた。なりたいものになれて、幅広い色んな友達がいて、毎日やりたいことやれて、毎日楽しい仕事をするんだって、そう思ってたの。でも、でもね…そうじゃないみたい」


「ミャー」


 すると急にニャーさんが私を見て鳴いた。猫缶を見ると、もう中には何もなかった。


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