んぇ?
猫の姿をした人間のあなたも大嫌い…メグはぼくにそう言った。
「え?」
ぼくはメグにそう返事をするしかできなかった。
メグはきょとんとしているぼくの様子を見て、泣きはらした目を大きく見開きハッとした顔になった。そして自分を落ち着かせようと大きく息を吸って、それを溜息のようにはいた。
「ごめんなさい、私、すごく取り乱しちゃった…」
「そ、それよりも、ぼくが人間ってどういうこと?」
その答えを一刻も早く知りたかった。ぼくはいつの間にかメグに詰め寄っていた。そこにはもう猫一匹分のスペースなど空いていなかった。
「ごめんなさい…こんな風に言うつもりじゃなかったの…こんな、初対面のあなたに人間の愚痴なんて言って、しかも、その勢いに任せてこんなことまで言っちゃうだなんて…私、とてつもなくかっこ悪い…」
「イヤそんなことじゃ、なくて…ど、どういうことなの?ねえ?」
お願いだから早く教えてほしかった。
「あなたは、猫……見た目は、黒くてかっこいい猫なんだけど…やっぱりあなたは猫じゃないの」
「…どういうことなの?」
「わからない…でも、一目見ただけでどの猫も、そして、どの動物達も、あなたが猫じゃないということは、なぜだかわかるの」
「どう、して…」
ぼくの心臓がまた、あの時のように、いや、それ以上に強く脈打っている。ドクンドクンという音がぼくの中で鮮明に伝わってくる。
「なぜかわかるの。見た目も声もまったく同じものなんだけど…動物の持つ勘というかなんというか、何かが違っているというか、でもその何かを説明しろと言われても、私たちにはわからないの…」
ぼくの呼吸はいつの間にか荒くなっていた、吸う息よりも吐く息の方が多く、それとともに頭がどんどん真っ白になり、鼓動もありえないくらい速くなっていた。全身が震えているのがわかる。
「こんな答えで、ごめんなさい」
メグが申し訳なさそうにぼくを見つめる。ぼくはそんなメグの目を見れず下を向いた。そして震えながらも頑張って大きく息を吸って
「…ど、どうして、ぼくを、人間と思ったの?」
と自分が思っていたよりも小さな弱々しい声で言っていた。それを聞いたメグはぼくよりも少し大きな声で、そして落ち着いた声で答えた。
「雰囲気がね、似てるのよ、人間に。これに気付いているのは多分、私だけだと思う」
「…どうして、君だけなの?」
ぼくは体の震えを何とか堪えて、落ち着いているという風を装いながら聞いてみた。
「私は人間とずっと暮らしてきた飼い猫だから。そして、人間の家と外とを自由に行き来できる猫だから」
とメグは答えた。そしてボソッと「多分ね…」とぼくの方を見ないで言った。
「だったら、他の飼われている猫たちもぼくが人間だってわかっているってこと?」
「いや、わかってないと思うわよ」
メグはそう言い切った。
「なんで?」
「だって、私の他にあなたを付け回してる奴なんていなかったもの」
メグはそう言い切った。
「…んぇ?」
んぇ?




