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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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今日もぼくは何もしなかった…

猫の言葉がわかるのはもちろんだが、ぼくはなぜか人間が何をしゃべっているのか、何をいじっているのか、何をしているのかが、なぜか手に取るようにわかる。よく考えると初日に人間が何をしゃべっていたのかもそういえばわかっていた。そして猫と人間以外の言葉はまったくといっていいほどわからなかった。


だけど…わかったところで何かを思い出すことも、何かにピンとくることもなく、ぼくは一日一日を無駄にしていく。こうやってここで空を眺めながら。


太陽と雲がゆったりとゆったりと流れていき、青くきれいな空は時間とともにオレンジ色を増して神々しく綺麗になり、もっときれいな景色を見しておくれ!と、こちらが惚れ惚れしている間に、いつの間にか姿を消して、僕らに寒さと闇を届ける。


 ぼくはいつも夜になると罪悪感で胸を締め付けられる。


 今日もぼくは何もしなかった…


 もっと何かをするべきなんじゃないか?


 でも、いったい何をすればいい?何をすれば思い出す


 思い出すといっても…いったい何を思い出すんだろう?


 ぼくはどうして記憶を失くしたんだろう?


 どうして人間の言葉がわかるんだろう?


 どうしてなにも食べないでも生きていけるんだろう?


 この世には疑問がいっぱいだ…


 でも今のぼくには疑問しかない、わからないことだらけというよりも、全てがわからない。


 ぼくは…なにで…なんなんだ…


 混乱で気持ち悪くなって吐きそうになるけど、ぼくが吐くことはない。吐くものがないからだ。


 泣きたくなるけど、泣くこともない。ぼくに涙などないからだ。


 このことを誰かに相談したいけど、ぼくはどうやら他の猫たちからえらく距離を取られているようで…ぼくに話しかけてくる猫どころか、近づいてくる猫すらいない。何回か話しかけようと試みたが、ぼくが近づいた瞬間、皆がギョッとした顔になり、凄まじい勢いでぼくから逃げていったあの光景が、今でも脳裏によみがえる。


「ぼくはいったいどうすればいいんだ!」


 ぼくはそう空に向かって叫んだ、だけどなにも返ってこなかった。ぼくはわかっていたが、なんだか泣きたいような気分になった。


 ガサガサ


「!」


 すると突然公園の入り口の方から物音が聞こえた。


「…」


 ぼくは象のすべり台のてっぺんから恐る恐る顔を覗かせる。


 ガサガサ…タン!


「!」


 すると一匹の全身綺麗なグレーの色をした若い雌猫が入り口から姿を現した。そして入ると同時に辺りを見渡し、ぼくと目が合った。僕が目を大きくしていると


「こんばんは!あなたと話したくて来たの」


 そう言ってその若くてきれいな雌猫はこちらに歩いてきた。

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