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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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私はこんなことをするために生まれてきたのだろうか

 今日も私は仕事をする。自分のためでも、自分のためにもならない、仕事をする。毎日毎日データを入力し、言われたとおりに書類を作り、言われたとおりにコピーを取り、上司にお茶を配る。言われたことを言われたとおりにこなす毎日、好きでもない上司のためにただただ仕事をこなす。好きでもない上司にお茶を入れ、好きでもない上司に話を合わせ、好きでもない上司に頭を下げる。


 私はこんなことをするために生まれてきたのだろうか


 私はこんな仕事をするために生まれてきたのだろうか


 こんな50人いたら40人は難なくできそうな、誰でもできるような、代わりは他にいくらでもいるような、私が辞めても一瞬でその穴は埋められるような、そんな仕事をするために…私は生まれてきたのだろうか…。


 私は毎日ただただそつなく仕事をこなしていく。そうして私は週に五日を朝から晩まで他人に献上していく。そうして私は一日一日を無駄にしていく。


 仕事の日は全てが嫌だった。起きることも寝ることも。寝て起きたらまた仕事に行かなくてはならない。そして仕事に行って上司に言われたとおりの仕事をする。自分のデスクに座りデータを入力する。今日も昨日とほとんど同じ仕事をする。明日はきっと今日と似たような仕事をする。明後日はきっと…明々後日もきっと…。私はそうして、もう4年もここで働いている。


 どうやって辞めればいいのか…辞める理由を探しても何もでてこない。正直に仕事がつまらないから辞めますって言えばいいという人もいるだろうが、そんな理由じゃ会社は辞めさせてくれない。


「皆、そう思いながらも頑張っているんだよ。だからね、そんなね、理由でね、辞めるなんてね、できないんだよ…そんなんで辞めれるんだったら誰だって苦労しないよ。きみもね、こう言っちゃあなんだけど、大人なんだから、そんなくだらない、くだらないって言っちゃあなんだけど…まあ、そんなこと言ってないで、まあ割り切ってさ、頑張りなさい」


 と上司に言われるのが安易に想像できる。そして皆に言いふらされる。そして陰でこれでもかと言われるけど、私の前では皆何事もなかったような素振りで私に接する。これもたやすく想像できる。


 だから何も言わない。皆耐えているんだ、だから私も頑張らなきゃ、そう自分に言い聞かせて今日も私は仕事をする。一日一日を無駄にしながら。


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