ただ鳴いただけでしょ?なんとなくじゃないの? BY ネガティブ
私はニャーさん(この時勝手に命名)のあとについて歩いていた。
ぴょん!
ニャーさんが数歩歩いて軽い段差でジャンプする。私もそれを見てその段差に気を付ける。さっきから歩いていて気が付いたが、どうやらこの道は、少し感覚が広い階段のようだ。
ぴょん!
長さも段差の高さも均等だし、手すりとかは見当たらないけど、この道は昔、階段として使われていたんだ。でもなんのための階段だったのだろう?
「ん?」
な、なんだろう?急に木と木の間からオレンジ色の夕日のような明かりが少し漏れてきた。
「え?…なんの明かりだろう?」
私は眉間にしわを寄せ、歩きながらその漏れてくる明かりをジッと見つめる。
ぴょん!
でもニャーさんはそんなの関係ないとばかりに角を曲がる。そして私も曲がる。
「…え?あれ?ちょっと…」
すると私の目に木々の間ではあるが街灯が映った。
「なんでこんなところに街灯が…」
私はなんだか急に怖くなった。頭が混乱している。こんなところに街灯があるなんて…予想もしていなかった…。なんだろう…なんだか、怖い。この先…何があるの?私は不安と恐怖心で足がすくむ。
ぴょん!
シュタタタタ!
すると少し先を歩いていたニャーさんが、私のもとへ駆け寄ってくれた。そして「にゃーにゃー(あと少しだよ!頑張って!!)」と私を見つめて鳴いてくれている(ただ鳴いただけでしょ?なんとなくじゃないの? BY ネガティブ)。
「うん!ありがとう」
私はしゃがんでニャーさんの頭を撫でる。ニャーさんは目を細くして気持ちよさそうな顔をしている。
「ふふ」
そんな顔を見ていると、さっきまで不安や恐怖で足がすくんでいたことを忘れてしまう。
「ニャーさん、私を和ませてくれたの?」
ニャーさんは不思議な力があるのかな?気遣いもできるし、なんだか他の猫とは違うような感じがした。頭一つ、いや、三つも四つも、いや五つも六つも飛びぬけているような、そんな感じがした。
「君は気遣いもできるし、頭もいいんだね」
そう言って私が頭を撫で続けていると、ニャーさんは急に何かを思い出したようにハッとした顔をして歩き出した。私が取り残されていると、にゃ~、にゃ~と優しい声で鳴いた。
「うん!」
そう言って私も歩き出した。