猫ちゃん!!
そこにいたのはまっ黒でとても綺麗なエメラルドグリーンの目をした猫ちゃんだった。
「あ!猫ちゃん!」
私は思わず大きな声を出していた。私はハッとして周りを見るが、猫ちゃん以外誰もいなかった。私は安心し、歩きながら自然と猫ちゃんを目で追う。猫ちゃんは私と帰る方向が同じみたいで、私の前をタタタタタンと軽やかなステップで歩いていく。そして階段の前で少し止まりタタン!と軽いジャンプで階段をのぼった。
「…?」
そして7段目の所でなぜか立ち止まり、急に振り返って私を見た。
近い!そして可愛い!でも…なんで?
私が階段の前で困惑していると、猫ちゃんが不思議そうな目をしながら私を見て首を傾げた。
か、かわいい!だ、ダ、抱きしめてしまいたい!
私が猫ちゃんの可愛さにズキュンと心を射抜かれてしまった瞬間、猫ちゃんが急に私を見ながらニャーニャ~と、とてもかわいい声で鳴いたのです。
ああ…なんて、なんてかわいいのでしょう…
私は目がとろんとなり、口角は自然と上がり、抑えられない興奮から「あぁ…あぁ…」と、私はなぜか息を荒くしていた。
そして猫ちゃんは、そんな私を気味悪く思ったのか、スンとして7段目の階段を右へと歩いていった。
「え?」
私は猫を追って右を見ると、7段目の階段から右に道が続いているように見えた。私は急いで7段目まで上がり、右を見る。すると7段目のところだけなぜか手すりが故意的に無く、木と木の間に、暗くてちゃんとは見えないが道らしきものがあった。
「…」
私は目を細めて、そこに近づく。私はきっと今、恐怖心よりも怖いもの見たさの感情の方が大きく勝ってしまっているのだと思う。なぜなら私は今、なんだか少し楽しくてドキドキしているのだ。私はドキドキしながらも、おそるおそるその木と木の間から首を突っ込んで中を見た。
「!」
中は木々に囲まれて暗かったが、その道のようなものは先へと繋がっていた。
私はなぜか、その道がどこかへつながっているような気がした。いつもであれば私は恐怖心などが上回り入っていかなかったと思う。でも、私はその時、引き寄せられるかのように、その中に入っていった。
そうして私はきみと知り合いになったんだ。