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きみが待ってる公園で  作者: 柿の種
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一人というものがこんなにも寂しく、虚しいものだとは思っていなかった

 一人というものがこんなにも寂しく、虚しいものだとは思っていなかった。

            

 今日も私は職場へ行く。


 行っても意味のない場所へ。行っても私のためになることは何一つないのに…どうして行かなければならないのだろう…。そんなことを思いながら、私は電車のつり革につかまり流れていく景色をただボーっと見ていた。何もないわけではない、だけどこの流れていく景色に対して何かを思うこともない。ただただいつもの光景だ。いつも通り会社に行く人達、学校に行く人達、そしてただただ走っている表情の見えない車で、この景色は溢れている。


 つまらない…


 なんだかそう思った。


 ウォンッ


 その音とともに視界が真っ暗になった。トンネルに入ったのだ。


「…」


 そこには何の感情もない無気力な私が映し出されていた。私は驚き、いつも鏡に向ける顔を一瞬でつくる。


 私はこんな顔をして景色を見ていたのか。


「…」


 その時私はふと気が付いた。


 そうか…つまらないのは、景色じゃないんだ。つまらないのは…私自身だ。


「…」

 反射して映し出された自分を見つめる。


 私は、いつから、こんなになってしまったんだろう?私はいつから目に輝きがなくなってしまったんだろう?いつからめんどくさいからではなく、顔を隠すために髪を伸ばし始めたんだろう?いつからスッピンで外出しなくなったんだろう?いつから自分を覆い隠すようになったんだろう?いつからこんなに人の目を気にするようになってしまったんだろう?私は…いつからこんな、つまらない人間に、なってしまったんだろう?


「…」


 悲しくて涙が出そうになる。悲しければ泣けばいい。だけど、そんなことでさえ、人目を気にして我慢する。


 ああつまらない、なにもかもを隠そうとする、そんな自分に腹が立つ。


 ウォンッ


 電車はトンネルを抜けて、いつもの流れる景色に戻った。


 私のトンネルはいつまで続くんだろう…


 私はいつまで暗いままなんだろう?


 これから私はどうなるんだろう?


 自分の未来に希望が見えない…


 光が見えない


 私はどうすればいいのだろう?


 …不安ばかりが頭に浮かぶ、そんな自分に嫌気がさす。


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