つながるつながる
ここまでお読みいただいてありがとうございます。
寝室が異世界とつながってしまいました。
ではでは～
「えーと、この部屋は、このまま？」
「お前様の許しをいただければ」
「ここを維持するのに力が要るんじゃないの？」
「癖が付いたので、大丈夫でございます」
彼女が微笑んだ。
「じゃあ、このまでいいよ。時々遊びに来ればいい」
彼女が帰るのは寂しくないわけはないが、繋がっていれば会えないわけじゃない。
「お前様、朕はこの先お前様と同衾すると決めております」
「え？」
妖しく舌で唇を舐める彼女。
なんかやばくないか？
魔王とか人間滅ぼすとか。
「あのさ、俺、明後日から仕事なんだよ」
「なんと！」
「だから、この先とかは無理かも」
「フム。それでは、こちらの暦をお前様に合わせましょう」
彼女は、変なことを言い出した。
「どういう意図かな？」
「お前様の休日には、朕とともにこの世界を支配しましょう」
ふんすふんすと彼女は鼻息が荒い。
「逃げ出すくらい危機に陥ったんだし、難しいんじゃない？」
「それは大丈夫。お前様の世界の方がはるかに文明が進んでおります。それを使えば」
昨日の今日で、彼女は知識を蓄えたのだろうか。
確かにある程度の文明を築いていれば、手本があると発展は加速する。
やばいぞ、こっちの人類。
「出合え」
彼女は、誰かを呼んだようだ。
一階から大男が寝室にやってきて膝まづく。
「御前に」
「これより、そちは帰国し、将たちに戦争の準備に取り掛かるように伝えよ」
「御意」
大男は深く首部を垂れる。
「ささ、お前様」
彼女は俺の手を引いて寝室に戻ると大男を部屋から出ていくように仕向けた。
大男は、ドラゴンのいた部屋に入ると恭しくお辞儀をすると静かに扉を閉める。
「お前様、ふたりきりです。クフ、朕を蹂躙できるのは、お前様だけでございます」
彼女は嬉しそうに抱きついてきた。
俺も嬉しくないわけではないが、このまま流されていいものだろうか？
ささやかな自制心が、魔王の強大な力の前に屈服しそうになる。
持ちこたえて据え膳に手を付けることを躊躇させている。
忘れている。
彼女が、性的に興奮してくるとアレが。
「うっ、胸が小さくなっている。・・・ひゃーーーー！！！太ももを挟んでくるんじゃない！脚の付け根にゴリゴリ押し付けてくるんじゃない！」
「もう手遅れじゃ。お前様を前にして、もう変態がおわりそうです」
「いやーーーー、変態いやーーーー」
＝ ＝ ＝ ＝ ＝
「お前様は難儀なお方よ」
「難儀なのは、君の方だ！」
「なんと！辛らつな言い様ですね」
「俺は、ノーマルなの」
「朕ものーまるぞ。お前様を受け入れられまする」
俺の抗議に真顔で返してくる。
「それ、この通り」
俺の手を掴むと無理やりある部位にあてがわせる。
つぷっ
指先が、潤んで熱を帯びた独特の感触に包まれた。
「ひゃん」
彼女は、かわいらしい声を出す。
「え、え！」
「一部は変わるがの、女は残ります。うれしかろ？」
驚く俺に、にししと笑いかけてくる。
＝ ＝ ＝ ＝ ＝
日曜の朝、隣でスースーと寝息を立てて彼女が眠っている。
まだ、信じられない。
しかし、壁の扉は存在していた。
その存在感は半端ではなかった。
「朝飯、作るか」
彼女を起こさないようにベッドを離れ、キッチンに降りていく。
冷蔵庫の中には、卵とベーコンがあったので、安直にベーコンエッグに決定。
彼女が起きてくる前に洗濯をする。
彼女が起きてくる様子もないので、アイロンがけをして待つ。
寝室で音がした。
彼女が目を覚ましたようだ。
フライパンを温め始める。
≪ダダダダダ≫
「おいおい、コケるなよ」
寝室からの足音は、けたたましく、階段を駆け下りる音だった。
キッチンのドアが勢いよく開かれる。
「ああ、おまえさまー！」
彼女は勢いよく抱きついてきた。
「おお、危ないぞ。どうした？怖い夢でも見たか？」
キッチンに入ってきた瞬間の彼女の顔は、迷子が母親に会えた時のように思えた。
「そうでは、ございません。どうして、朕を独りにして離れたのよ」
「朝飯を作ろうかと・・・」
「そんなことは、朕が目覚めてからでよいのよ」
彼女は、やはり心細いのだ。
居城は無事だったにしても、敗走する恐怖を味わった。
力があっても女の子なのだ。
「よしよし」
縋りついてきた彼女の頭の位置は、撫でるのに具合が良かった。
彼女は、やや俯いて動かなかった。
むしろ、じっとしていようと努力をしているようにも感じられた。
撫でるテンポに間が開くと頭を擦りつけてくるのでなんとなくそう感じた。
いかがでしたか？
魔王様も女の子です。
次話をお待ちください。
