子犬を拾った気分?
早速、続きをお読みいただいてありがとうございます。
出会いは突然に
ではでは~
その子は、傘も差さずに立っていた。
恨めしそうにこっちを見ている。
(どうして? 見るなぁ、そんな目で俺を見るなぁ、お願いだぁ、見ないでくれぇ・・・なんちゃってー)
「えーと、終電無くなっちゃた?」
「・・・」
「ご家族に連絡つかないのかな?」
「・・・」
「散らかってるけど、入る?」
身振りで招き入れると表情が明るくなった。
明らかにウキウキして玄関に入ってきた。
そのまま上がり込もうとする。
「ちょっと待てー」
思わず両肩を掴んでしまった。
冷たくて柔らかい感触が手に伝わってくる。
(おっと女の子だった)
「タオル取ってくるから」
少女はキョトンとしていた。
俺は脱衣場からバスタオルを取りにいく。
ついでにバスタブに湯を張る。
タオルを持っていくと行儀よく彼女は待っていた。
もしかしたら、帰国子女とかかもしれない。
玄関先の廊下にバスタオルを敷く。
「靴を脱いで、ここで足ふいて」
彼女は、言った通りブーツを脱いで、タオルの上に立った。
服の裾から滴が滴る。
「今、拭くから、そのままな」
靴下を履いていなかった。
(ブーツに素足だと蒸れるだろうな)
なんて、どうでもいいことを考えながら、足を拭き、服の裾をタオルで挟み水分を取る。
ちょうど風呂のお湯張りができた音がした。
「とりあえず、風呂で温まるといい」
裾をまとめて持ち風呂に案内しようとすると彼女が股間を抑え抗ってきた。
「早くしてくれ。廊下が濡れるから」
涙目で抵抗の意思を伝えてくる彼女。
かまわず引っ張って風呂場まで連れてきた。
多少強引だと思ったが、風呂を提供するんだから、協力してもらわないと。
正直、ウザくなってきていた。
傘を渡したのにこれ見よがしに畳んだまま手にもって、雨の中に立っているって、おかしいだろ。
浴室に押し込み、風呂蓋を開けて、彼女を残して外に出た。
「服、後で洗濯するから、この籠に入れといて」
洗濯籠の下に新しいバスタオルを敷いて、浴室の戸を閉めた。
一応、脱衣場が片付いているのを確かめて戸を閉めた。
= = = = =
ブーツを逆さにすると中に溜まっていた水が出てきた。
新聞紙を丸めて詰め込む。
外側はウエスで拭き、形を整えた。
オーダーメイドか、金掛かってるなぁ。
ブーツの出来に感心しながら、段取りを考えていた。
(アッと、着替えはジャージでいいか。文句を言われる筋合いじゃないしな)
まだ袖を通していないTシャツとジャージを用意して風呂場に声を掛ける。
「開けるぞ。着替えだからな」
返事は帰ってこなかった。
着替えを置いて、脱衣場の戸を閉めた。
(おっとぉ。若い娘と一つ屋根の下、ふたりっきりかぁ。クルマで送って行くかぁーって、飲んじまったぁ)
頭を抱えてしまった。
(ああ、クルマで寝ればいいんだ。楽勝、楽勝)
脱衣場の戸の音がした。
彼女が上がったらしい。
「ぬくもったぁーーーはぅ」
言葉が出なくなった。
ジャージの上からTシャツを着た彼女。
顔色は悪いままだった。
おいおい伸びるだろ。
= = = = =
今、ふたりで夕飯を食べていた。
盛大な腹の虫を聞いてしまった。
多めに作ってあるから、まあ、いいだろう。
この娘、さっきから肉ばっかり食っている。
さっきから肉のお替りばっかりしている。
さっきから肉以外食っていない。
これはいけない。
野菜を食べないとお肌にわるい。
野菜を食べるように強要する。
目に涙を溜めて訴えてくる。
好き嫌いはいけません。
目の前で野菜を食べて手本を見せる。
彼女が恐る恐る野菜を食べた。
(おっ、いい子だ、いい子だ)
これがまずかった。
いや、おいしいかったから、まずかった。
野菜も食べ始めた。
ああ、二日分のストックが。
彼女の食欲を見くびっていた。
豪快な食いっぷりを見ながら、内心うれしくて眺めていた。
ついつい酒の量が多くなり、酔ってそのまま眠ってしまった。
目が覚める。
灯りは煌々と点いたまま。
「あっと、寝てたか」
身体が起こせない。
胸から下に何かが置いてある。
おそらく彼女。
柔らかい。
ただ股間に何か違和感が。
恐る恐る手で触れてみると、そこにはよく知っていて、他人のは触れたくないものだった。
いかがでしたか?
いきなり急展開。
題名に偽りありか!?
次話をお待ちください。