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モンスターパークへようこそ!  作者: 妄想作家
7/12

6話 初めまして

若干タイトルに偽り感が出ていますが、パークの話になるのはまだ先になりそうです。

もう少しお待ちを!!


連続投稿2話目













 失ったはずの意識がぼんやりと戻ってきた。意識がハッキリするにつれて、息苦しさが強くなってくる。

くっ苦しい!息もできないし声も出ない!更には体も狭い所にあるのか動かない。動かないというより動き辛い感じかな?

 長い時を感じかけど、やがて僕自身の体がきつく包まれているのに運ばれて行くのを感じた。

頭の先から徐々に開放されていく感じ。あれ?これってもしかして自分が生まれる瞬間を体験中?!

僕が自分が生まれる瞬間を実体験して慌ててるうちに、無事体の拘束から解放されて生まれたみたいだ。

布のようなもので体全体を拭かれて、そのまま続いて顔も拭かれた。

布が顔から解放されたのを感じて目を開けると。全く目が見えなくて、明暗が分かる位しか視力が無かった。


「オギャアアアァァァァァァァ!!(目が見えないよー!!)」


 声も、生まれたばかりで発声できなかった。


「<+}{‘~?>*#(&$(&$”~|\\/」


「>+}+‘{;@!#&#~=、:;」


 僕の周りに何となくだけど、人型の黒い存在が見えるのが分かるからだけど。人が何人も居て、何か言っているみたいだった。みたいって言うのは、言葉が分からなかったからなんだ。マリア様に言葉も分かるようにして貰えば良かった。


「・¥:、」;「^^-^~=?!’(#¥>:)(」


 経緯は分からないけど、途中からずっと同じ人に抱かれている気がする。

それと、言葉は分からないけど。僕にそっと囁く声が、凄く安心できる。もしかして、僕のお母さんなのかな?

そのまま、抱かれていくうちにまた意識が遠のいていく。

生まれて来るのに体力を使ってしまって、体が睡眠を欲してるみたいだ。欲求に従って眠っちゃえ。


「あぶ・・あぶぶ・・・ぁ(おや・・すみな・・・さ)」


--------------------------------------------------------------------------------------



「オギャアアアァァァァァァァ!!」


 ああ!!漸く私の子が生まれた!生まれてきてくれた!

元気に産声を上げてくれてる。


「よしよし、元気な赤ん坊ですよ」


「おめでとう!キャロル!

元気で可愛い女・・・の子じゃなくて男の子よ!」


「やったじゃない!亡くなった旦那さんも向こうで喜んでくれるわよ!」


「えぇ、本当に良かったわ。

あの人が残していってくれた子が、無事に生まれてきてくれて。

皆もありがとう、教会の仕事とかで忙しいのにお産を手伝ってくれて」


 お産に立ち会って、手伝ってくれた友人で仲間でもある教会のシスターたちにお礼を言う。


「良いのよ!私たちも何時か、結婚したら子供を産むでしょうし。

一度で良いから間近で見ておきたかったもの。

さぁ、あなたのお母さんですよ~」


 生まれた我が子を綺麗にしてくれた友人のミィシャが、私が抱けるように渡してくれた。

今は出産に使ったベットの上で体を預けているのが精一杯だし、体を起き上がらせれる様に大きなクッションを何枚か挟んでくれてるから我が子を落とす事も無いから安心して抱ける。


「あぁ、何て可愛いのかしら。

女の子でも男の子でも同じように可愛いわ。

貴方の名前は・・・アンナ。そう、貴方の名前はアンナよ」


 ふふ、自分の名前何て理解できてなさそうな表情ね。

おなかの中から出てきて、外の世界にビックリしてそうな顔だもの。


「アンナって、それ女の子の名前でしょ」


 ミィシャのそばで片づけをしていたカリナが、私が付けた名前にツッコミを入れてきた。


「良いの。

この子の名前はアンナよ。だってこんなに可愛いんだもの、きっと女の子のように育つはずよ。

それに大きくなって、この子が嫌がったらその時には自分が名乗りたい名前を名乗らせるわ」


 カリナが、呆れたような表情をしながらため息をついた。


「はぁ~、もう親ばかになってるし。

でも、本人が嫌がったら変えて上げなさいよね。結構な感じで嫌がると思うわよ」


「自分で子供を産めばこの気持ちが分かるわよ」


「あぶ・・あぶぶ・・・ぁ」


「あら、お眠むなのね。ゆっくりとお休みなさい、アンナ」


 私を母と認識してくれたのか。さっきまであんなに元気良く泣いていたのに、今では私の腕の中で寝息を立て始めてくれた。こんな些細な事でも嬉しいわ。

アナタ、私たちの子が良い子に育つように見守っていてね。


「それじゃあアンナちゃんをベビーベットに移しましょうか」


 完全に寝てしまったアンナを近くに置いてある小さな赤ちゃん用のベットに移すためにアンナを受け取ろうとする。

その時、アンナの右肩に痣が見えた。


「あら?アンナの右肩に痣があるのね」


 私の言葉を聞き取ったカリナが確認しようと顔をアンナに近づけた。


「本当だわ。でもこれって、痣っていうより模様みたいに見えるんだけど?」


「どれどれ、私が見て上げましょうか」


 助産婦役をやってくれて、アンナが生まれると同時に疲れて椅子に座って休んでいた老シスターのタロットさんが痣を見てくれた。


「こ、これは!

シスターカリナ、急いでイング神父を呼んできなさい」


 タロットさんが急に慌ただしくカリナにイング神父を呼ぶように指示を出した。


「はっはい、でも何でです?」


 カリナの疑問も納得だ。もしかして悪い病気なの?


「キャロルさん、安心しなさい。

この子は何一つ病気にかかっていませんよ」


「で、ではアンナには何が」


「ふふふ、おめでとうキャロルさん。

貴女の赤ちゃんは、神に選ばれたようですよ。今、神父様にも確認して貰いますからお話はこれからですけど。間違いは無いと思います」


 わ、私の子が神に選ばれたって。それってもしかして・・・


「シスタータロット様、それってもしかして・・・」


「そうです。貴女は、神に選ばれた聖女を産んだんですよ。

でも貴女はそこを気にしてはイケません。アンナはアンナとして、ゆっくり大事に育てて上げなさい。

聖女とは、神のお気に入りの証の様なものでしかないのですから。

周りの事は気にしてはイケません」


 キャロットさんは、聖女である事よりも自分の子として産まれてきた子を大事にしなさいと言ってきた。

そんなの当り前です!どんな子であっても、私とあの人の子なんですから。

キャロットさんに頷きながら、どうあの子と生きて行こうかと考えるのが楽しくて仕方のない私だった。

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