11話 ご降臨の理由
「ッハ!!意識が飛んでたわ!
神々の像が光ったらと思ったら、像と同じ姿の神様が現れたなんて夢よね」
ママが微動だにせず、大人しくなっていたと思ったら気絶してたのね。
「夢じゃ~ないですよ~。
私たちは~ちゃんと~ここに存在して~ますよ~」
「そうね、居るわね」
神様2人に突っ込まれたママは、ガクブルし始めた。その揺れで僕は徐々に気分が悪くなってきた。
「も、ももももも申し訳ありません!
わ、私は何て事を!」
急にママが跪くからガクンとしてしまう。それからママには冷静になって欲しい。ガクブルが激しくて更に気持ち悪くなってきた。
「キャロル、貴女、仕方がないと思うけど落ち着きなさい。
貴女震えにシェイクされて、アンナの顔色が悪くなってきてるわよ。」
「え?きゃー!アンナちゃんごめんなさいー!!」
「あぶぶぶ・・・・(もう許して・・・・)」
マリア様に僕の事を指摘されたママが僕を見ると、そこには顔色を真っ青にした僕が居た。
ママの許しを請う声にも、小さく返事をするしかなかったよ。だって正直、色々なものを吐きそうだもの。
僕の気持ち悪さが落ち着くのを待ってから、イングさんが神様2人に質問をした。
「マリア様にミストルディア様、此度の御顕現は何故で御座いましょうか?
特にマリア様は文献でも顕現されたのは1度だけとなっておりますし、他の神と同時に顕現されるのは更に珍しい事と存じますが」
「それはさっき、ちょっと言った通りなのだけれど。
私とミストルディアが此方に顕現したのはアンナとの約束もあったからよ。ミストルディアは母親のキャロルに用があったみたいだけど。
それにこのタイミングで私たちが来たのは、タイミングが良かったのよ。お披露目儀式は神界と繋がり易くてね、私たちも正直力を使うのに楽なのよ。まぁ他のタイミングでも大丈夫なのだけれど」
「はぁアンナとの約束・・・ですか?」
「そう、アンナは私の神の子よ」
イングさんの問いにマリア様が更に答えていく。
「神の子って、アンナは私とあの人の子では無いと仰るのですか?!」
「安心なさいキャロル、アンナはれっきとした貴女の子よ。
私の言い方が悪かったわね。
神の子とはね、神の子供ではなくて神が選んだ子って意味なのよ。神の子の役目は色々有るわ。でも私は今回は何も役目を与えてない、アンナには自分で選んだ道を進んで人生を謳歌してもらうわ。私はそれを見守るだけ。
だから貴女もただ普通の母親として一緒に居れば良いわ」
「は、はい分かりました。
でも何故アンナを選ばれたのですか?」
「それは秘密よ」
いつもマリア様のクールビューティフェイスを崩して、少し微笑みながら秘密と答える。以前のスタンガンにウットリとする危ない感じとかなり違う。
「でもアンナに何をするのかは答えて上げる。
1つはアンナ専用のプレゼントを持ってきた事。これはアンナ以外には使えないし、無くしても直ぐに戻ってくるものだから盗まれる事も無いわ。アンナが使えるようになるまでは貴女が預かって上げて。
魔法袋よ」
そう言ってママに、マリア様がマジックポーチを渡す。
「かしこまりました。
可愛いアンナの為ですから大切に預からせて頂きます」
「ありがとうね。
では更にもう一つ、これを渡すわ。これは貴方たちが普段使っているステータスプレートと同じものよ。勿論アンナの情報が載っているわ。後で、貴女が信用している人たちと一緒に見ると良いわ」
「有難う御座います」
マリア様が何処からか取り出したプレートをママに渡す。
「さて、ミストルディア、私の用は終わったわよ。後は貴女の用だけね」
「ええお母様~。
では~キャロルさ~ん貴女は今回~良く頑張りました~。
普通なら~聖痕所持者を~産んでしまうと~死んで~しまうんです~。でも~貴女は~それに耐えて~アンナ君を~生きて~育ててます~。
ですから~これからも~大切に~育てて上げて下さいね~と言う事で~加護は~上げれませんが~祝福を差し上げます~」
ミストルディアさんがママに告げると、そのまま両膝を着いたママの頭に手を乗せた。そして水色に輝くとママも同じように輝いた。2人が輝いて同時にその光が消えると、ミストルディアさんは乗せていた手をおろす。
「は~い、終わりましたよ~。
でも良いですね~私も~自分の子供が~欲しいです~。でもその前に~旦那様を~見つけないと~」
「そうね、ミストルディア、貴女もいい加減恋人ぐらい見つけなさいな。
子供は良いわよ~。でも、私の時は辛かったわ~」
「ミストルディア様、私なんかに有難う御座います。
マリア様、辛いってどうゆう事です?」
何かママと神様2人とで雑談が始まった。周りの人も興味深々で聞き耳立ててるし。
「私もね、最初はただの人間だったのよ。
それで始めて産んだ子供が、神の子だったのよ。
旦那もいたけど、まだ夜の方がまだでね。処女のまま産む事になって大変だったわよ。痛みが酷すぎちゃってね。想像できるでしょ?初めての時の痛みと産む時の痛みが同時に来る苦しさが」
ママは想像したのか、痛そうな表情をしながら「うわ~それは~」って小さく呟いてる。
周りで聞いていた人たちも「私には無理よ」とか「気が利かない神様ね、何処の神様なのよ」とか囁き合ってる。
「だから、人間としての生を終えて神としての生が始まった時にね最初にした事があったの。
何だと思う?」
「私には想像も出来ません」
「私も~です~」
「ふふ、簡単よ。
私が神格を持って神の1人になってからしたのは。
神の子を産ませた神を探し出して、神の玉を思いっきり蹴り飛ばしてやったのよ。「これで少しは痛みが分かったかしら?」って言ってね。
その後、一緒に神格化した旦那と神界で暮らしながら神の子を産んでもらうタイミングをきちんと計りながら各母親に産んでもらってるの。嫌でしょ?半分は自分の子なのに、半分は旦那の子ではなくて神の子なのわ。タイミングを図ればきちんとした子供で、ただ神の子に選ばれたって部分が残るだけだしね」
お股がキュ!ってした気がした。
神様になってした事が、他の神様の股間を蹴る事なんてフッ飛びすぎてるでしょ。
ママたちは何故か好意的に捉えてるし、周りのママさんたちも同じみたい。パパさんたちは僕と同じ様に想像しちゃったのか、内股になったり痛そうな表情をしているよ。