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8月21日
午後10時半位の事だ。
少女ちゃんは無事謝ることができたかな?
そのようなことを少しばかり考えていたが、明日にならなくちゃどうしようもない。
仲直り出来てればいいなと人事のようにキンキンに冷えたビールを飲む。
お酒にそこまで強いわけでもなく2、3杯も缶を開けたらいい感じに気持ちなってしまう。
幸いのところ、明日まで持ち越すタイプではないからそこのところは安心できる。
特別な日でもないのだが、今日は飲みたい気分だから何時もより多めに飲んでいる。
そろそろまともな判断ができなくなってきたかなと言うときに、ピンポーンとチャイムがなった。
こんな時間に誰だろうか。
「はいはい、どちらさま?」
「……お兄さん、今日泊めて下さ、って酒臭いです!」
「んぁ? 少女ちゃん?」
ドアを開けたら少女ちゃんがたっていた。
よくわからないがとりあえず中へと上げる。
適当なところに座ってもらった。
見た瞬間は落ち込んでいたような気がしないでもないが今見たら何か吹っ切れたかのような感じがする。
ビールを飲むことを継続しながら少女ちゃんから話を聞く。
「で、こんな時間に少女ちゃんはどうしたんだい?」
「いえ、あの……頑張りますとかっていって別れて何なんですけど、あの後結局帰る気が起きずにしばらくそこらじゅうをうろちょろして少し前に帰ったんです。それで話をしようと思ったんですけど……」
「思ったんだけど?」
「売り言葉に買い言葉と言いますか、なんというか……」
「あぁ、謝れなかったんだな」
「笑い事じゃないですよ」
「で、こんな時間に家出か?」
「……ちゃんと『お兄さんのところにお世話になる! 迷惑になるから探さないで!』って言ってはきました」
迷惑になるからって誰に対してだろうとか思わないでもないけど頭がうまく働かないからおいておこう。
「……ほんとに勝手なことしてすみません」
「いや、頼れっていたのは俺だった気がするからしょうがないとするけど、流石にこんな時間に少女ちゃんの年齢の子が一人で出歩くのは感心しないぞ」
「……すみません」
「ま、でもちゃんと親に言ってはあるんだろ?」
「……一応です」
「ま、ポリ公がいきなり突撃してきたりしない限りは俺は何も言わんさ」
いや、流石にこの状況でポリ公に突撃されるとかまじでシャレにならんからやめてほしいが。
かなり不安になってきたかも。
それでも頼れとか言ったような気がする手前、表面には出さないが。
「頭を冷やしてくる的な事も言ったような気がするので流石に通報とかしないとは思いますけど。何しろ僕の親ですし。表に堂々でれるようなまともな人じゃありませんし」
「それはそれで色々と不安だ」
「とりあえず、お兄さんは警察的な意味では安心して大丈夫だと思います」
「ならいいが。少女ちゃんは家出してきた割には朝ほど思いつめてないな」
「いえ、ここに来るまではいろいろ考えてたんですよ? お兄さんにすごい迷惑かけちゃうなとか。でも真っ赤なお兄さんみたら色々とどうでもよくなったといいますか」
「それはよかったな」
「よくは無いような気もしますが」
「少しでも力になれたなら俺的には無問題だ」
「……ありがとうございます」
「ははっ、少女ちゃんはやっぱり笑ってる方が可愛いな」
「……なんか今日のお兄さんはいちいちキザったらしいです」
「俺的には今朝のとんがってる少女ちゃんも絡みにくいけど可愛かったから見ている分には嫌いじゃないぞ」
「……お兄さんはツンデレ路線で責めた方がいいのかもしれませんね」
「少女ちゃんならどんなのでも可愛いとは思うけどな」
「本音かどうか疑わしいけどお兄さん酔ってるので本音と判断して喜びますよ?」
「俺は基本的に濁したりすることはあっても嘘は言わない」
「……酔ってる時のお兄さんは面白いですね、色々と」
「んぁ、そうか?」
「はい、僕的にとってもおいしいです」
「ふーん」
「所でお兄さん」
「ん?」
「お兄さんは今朝頼れって言ってくれましたけど」
「それがどうかしたか?」
「今少し甘えてもいいですか?」
「全然かまわないぞ」
「なら、お兄さん、僕を全力で甘やかしてください!」
そう言うなり少女ちゃんは俺の膝の腕に飛び乗ってきた。
俺は特に抗いもせず少女ちゃんの頭を撫でる。
「えへへ、お兄さんお兄さん」
「どうした?」
「僕可愛いですか?」
「あぁ、少女ちゃんは可愛い可愛い」
「うふふ、嬉しいですありがとうございます」
上機嫌で少女ちゃんが笑っている。
なんだろうか、この可愛い生物は。
いまいち頭は働かないが可愛いことだけはなんとなくわかる。
なでなでをしていたら少しタバコが恋しくなり、タバコに手を伸ばす。
「むぅ、お兄さん、タバコは前によくないって言ったじゃないですか」
「これを奪われたらお兄さんつらい」
いろいろと迷惑をかけていることを承知なのかこの前ほど強くはいってこない。
むしろ興味満々な感じで見ている。
「ふぅ」
「タバコっておいしいんですか?」
「どうだろうな」
「どうだろうな、って吸ってるのにわかんないんですか?」
「もう生活の一部だからな」
「健康によろしくないですよ」
「そんなのは百も承知だ」
俺の吐き出す煙を興味深そうに見ている。
「少女ちゃんも試しに吸ってみるか?」
「……い、いっぽんだけ」
「ははっ」
少女ちゃんに一本タバコを渡してあげる。
火は俺がつけて上げることにする。
「少女ちゃん、吸いながらじゃないとうまく火が付かないよ」
「えっと、こうですか?」
少女ちゃんが咥えているところに火を付ける。
上手く火が付いたが、その瞬間少女ちゃんがピシリと固まってしまった。
「はっはっは」
「けほけほっ、口の中が気持ち悪いです」
少女ちゃんがむせながら煙を吐き出す。
なんとなくもったいない。
「えっ、お兄さん、なに――」
少女ちゃんの唇を奪い、まだ残っている煙を奪い取る。
いつも吸っている物以上になんだか甘い気がした。
おいしいかどうかとさっき聞かれたが、今奪い取った煙はおいしかったと断言ができるような気がする。
「……きゅ」
少女ちゃんはリンゴ以上に赤面し、そのまま倒れ込むように意識を失った。
まともに頭が働いていない俺は少女ちゃんが持っていたまだだいぶ長い状態のタバコを危ないなと呟きつつ、もらい吸い始めた。
そのタバコもなんとなくだが甘かった。
タバコを吸い終えてから、意識を保つのが流石に厳しくなり少女ちゃんを抱きしめ、ベッドに倒れ込んだ。
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