18
8月13日
午前10時30分位の事だ。
とある祭りであまり寝ていない俺は疲れた状態でいつもの公園のベンチに座っていた。
今日は仕事だし、帰ったら少し寝るか。
「あ、お兄さん、おはようございます」
「おう、おはよさん」
「……風邪は大丈夫ですか?」
「いろいろ迷惑かけたな。少し咳が残ってること以外はもう大丈夫だ」
「まだ咳が残ってるんですか?」
「夏風邪は長引くって言うしな」
「バカが引くとも言いますよね」
「おっ、少女ちゃん、強気だね」
「はいっ、今日はとっておきのネタがありますので」
「なんだそれ」
「後からのお楽しみです」
「……とりあえずは楽しみにしておくな」
「ふわぁあ」
「少女ちゃんも寝不足か?」
「いえ、誰かの活発な行動を見るのが楽しくて」
「何の話を言っているんだ?」
「これも後からのお楽しみです。少女ちゃんも、ってことはお兄さんも寝不足なんですか?」
「ちょっとしたお祭り騒ぎがあったからな」
「そうなんですか。そんな寝不足な状態でこんな時間に公園に来るなんて暇なんですか?」
「暇っちゃあ暇だな」
「そっかー、僕もいつも通り暇だから少しお話ししてよ」
「こんなおじさんと話なんかして楽しいか?」
「まだおじさんって歳でもないでしょ」
「話すったって話題が無いだろ」
「なんでもいいよー。せいじの話とかでもいいよ」
「そんな話俺は出来んぞ」
「ははは、僕もだよ」
「だったら意味ないじゃないか」
「そういえば、お兄さん」
「ん?」
「……青い鳥さんのアカウント、特定したよ」
「……なん……だと……っ」
ボソッと言われた台詞で背筋に寒気が走る。
少女ちゃんの強気な発言はこれか。
もしや……少女ちゃん、今日の寝不足の原因とか全部わかっているのか。
一番最近のやつでは、水○月ゲットひゃっほーーいとか、まじ天使!とか、書いた記憶があるが大丈夫だろうか、大丈夫だろう、大丈夫に違いない。
うん、そんなにやばいことは書いてないと思うが……趣味を丸裸にされたのはやばい。
「お兄さん、綺麗でおっぱいでかい人がタイプなんですね」
「ハハハ、ナンノコトカナ」
「榛○さんと金○さんでしたっけ、重婚相手」
「まぁ、そうなるな」
「へぇーーー」
あかん、とげを感じる。
でも駆逐嫁がまだいないことは助かったかも。
駆逐嫁がいたら危なかった。
あと、重婚相手が知られているくらいならまだ大丈夫。
最近気にいってる娘はちょっとやばいかも。
「あと白○でも揺れるとかばっか言ってましたよね」
「言ってたかもしれんなぁ」
「くそおっぱい星人め」
「……」
「なにより気に食わないのはですね」
「気に食わないのは?」
「なんでここで僕とあってる事とかツイートしないんですか! 一緒に遊園地まで行ったのに何にも触れられてないとか、優先順位低すぎじゃないですか僕!」
「いやいや、少女ちゃんの事ツイートとかしてみろ。よくてキ○ガイ妄想野郎。最悪ロリコンの犯罪者予備軍だぞ」
「くっ。世間一般ではやっぱそうですよね……」
「そうだろそうだろ」
「まぁ、許してあげるとします」
「……少女ちゃんまだフォローとかしてないよね」
「見る専だしいきなり知らない人をフォローとかするのは少し怖いのでやってないです。あ、いえ、お兄さんを知らない人扱いしてるわけじゃなくてですね」
「そこはどうでもいいかな」
「どうでもよくはないですよ!」
「なぜに少女ちゃんが怒るんだよ……」
「……別になんでもないです」
「まぁ、フォローはされてないんだよね」
「はい」
「…………」
「…………鍵とかつけたら怒りますよ」
「くっ」
「昨日とか連絡なしにこなくて心配させたのにそれについて何一つ思わず夏イべとやらを楽しんでいることに僕は若干おこです。心配したんですからね」
「……それについては悪かったと思うけど少女ちゃんと連絡取れないし仕方ないだろ」
「僕がケータイとか持ってないのも悪いんですけど……。あ、今度これない時とかは青い鳥さんで『今日はきついかも』って呟いてください」
「……いいけど、お互いにフォローしてダイレクトに連絡取り合った方が楽じゃないか?」
「僕だけのパソコンじゃないのでやり取りとか見られたら少し恥ずかしいじゃないですか」
「……わかったよ」
「じゃあ、お願いしますね」
秘密のやり取りを決めた少女ちゃんは嬉しそうである。
これから呟く時は何かと気を付けなければいけないな。
俺はやっていないが、好きな絵師さんの同人誌の宣伝をリツイートするのとかも気を付けなくてはいけない。
歳下の娘が見ているんだ、性癖丸裸は流石にまずい。
「そういえばお兄さん」
「ん?」
「僕も艦○れやってみたいんだけどどう思う?」
「……いいんじゃないか」
「結構迷ったね」
少女ちゃんが笑いながら話す。
ゲームをやること自体は別に反対でも何にもないが、キャラの特徴を覚えられて俺のツイッターを見られるのは非常にまずい気がする。
何がとは言えないが、何がである。
最近で一番やばそうなツイートは帰ってから削除しておこう。
例えばある駆逐艦や航空巡洋艦を育てていることとか。
今急いでやってもいいかもしれんが少女ちゃんの目の前で堂々やるのは何か言われそうだからやめておこう。
「僕もサーバーが空き次第始めてみるよ。お兄さんおすすめの娘はいるかい?」
「初心者なら金○型育てるのがいと思うぞ」
「ありがとうございます。あと皐○とか時○とか最○とかお兄さん最近気に行ってるらしいけどその子たちはどうなの?」
「ぐはっ」
「あっれー、どうしたのお兄さん?」
こいつ……。
どこまでわかってやがるんだ。
「皐○は改二が実装されていろんな場面で低燃費で使えるようになって強くなったが、そこまで育てるのにだいぶ苦労する。時○はまだ改造レベルが低い方で初心者にもおすすめだ。最○はすぐに改造できて即戦力。そう、どれも実用的な間で俺が育てていることに深い意味は無いさ」
「へー、そうなんだ。なら僕も初心者らしく時○って娘と最○って子を育てるね」
こいつ……どこまでわかって言ってやがるんだ。
多分ほとんどわかってないな。
本当にゲームを始められた時が俺の最後かもしれん。
いや、サーバー開放する頃には忘れているだろう。
忘れていてください。
別に知られて困るわけではないんだが変な雰囲気になっちゃいそうで……。
いや、気にすることじゃなかったな、
俺は実用性が高い娘を育てているだけだ。
最○とか今回の史実固定艦の一人だし。
皐○とかダイハツ乗せれるし先制爆雷できるし対空カットインできるし。
時○とか可愛いし運高いし。
そうやましいことは何もない。
「お兄さん?」
「はっ、どうした?」
「僕そろそろ帰るから声かけてるのにお兄さん反応なくて」
「悪かったな」
「変なお兄さんだね。まあいいや。お兄さん、また明日」
「おう、気を付けて帰れよ」