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僕とお兄さんのひと夏の思い出  作者: 宙兵&桔梗
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8月10日

 午前10時30分くらいの出来事だ。

 あつい……。

 昨日の疲れが残っているのか体の節々がいたい。

 そんな状態でもバイクの回収をしなくてはと朝一でまた昨日の場所まで行き帰ってきた。

 家を出た時はそこまでしんどくもなかった。

 バイクを回収した辺りでしんどくなり始めたが、精神を落ち着かせるため俺は風邪など引いていない、と自分をごまかしなんとかここまで戻ってきた。

 家に戻る前に少し休憩のつもりでいつもの公園へ寄り、ベンチに座り込んだ。

 色々とやばい。


「お兄さん、大丈夫ですか?」

「ん、あぁ、少女ちゃんか。おはよう」

「お兄さん、だいぶグロッキーですね」

「少女ちゃんの若さが羨ましい」

「お兄さんもまだ若いでしょ」

「おじさん予定が狂っちゃった。筋肉痛が明日くると思ってたんだがなぁ」

「いやいや、さすがにそんな歳じゃないでしょ」

「いや、トランポリンの話してただろ?」

「はい、それも楽しみにしてますよ」

「あれの次の日は死ぬことを覚悟しているぞ」

「お兄さん……」

「おじさん体ボロボロだからな」

「お兄さんほんとに大丈夫ですか?」

「あぁ、視界がぐにゃりとする以外は」

「重症じゃないですか!?」

「大丈夫だ。まだ少女ちゃんは一人しか見えない」

「どういう判断基準ですか!? え、お兄さんちょっとおでこいいですか?」


 少女ちゃんが俺のおでこへ手を持ってくる。

 少女ちゃんの手は冷たくて気持ちが良かった。


「あつっ! お兄さん、こんなところにいていい状態じゃないですよ」

「そうか?」

「さっさと帰ってゆっくり寝た方がいいです!」

「今日は午後から仕事なんだよなぁ」

「休む以外の選択肢はないと思いますよ」

「ちなみに前の高熱出した時のセリフなんだが『欠勤? よかったなぁ、うちで働いてて。さっさとでてきな』だぞ。なかなかの名言だと思わないか?」

「ブラックすぎませんかお兄さんの仕事場!?」

「んー、そこまでブラックじゃないぞー」

「社畜の極みなんですか!?」

「選んだのは俺だからなー」

「……お兄さん、何の仕事してるんですか?」

「何だと思う?」

「質問に質問で返すのは駄目ですよ」

「気になるんなら当ててみな―」

「毎日午前中にここであってるので午後の商売ですよね」

「そうかもなー」

「……ホスト的な夜の商売の可能性も考えたんですけど」

「俺が夜の商売は見た目からして無理だろ」

「無理ってことは無いと思いますけど。ってこんなことは無してる場合じゃないですよ!」

「んー?」

「さっさと帰って休んでください」

「あー、そうさせてもらうかなー」

「はい」

「もしかしたら明日はこれないかもしれん」

「見てれば分かりますよ」

「すまんな」

「別に謝ってもらうことじゃないです」

「少女ちゃんも帰ったら手洗いうがいしっかりな」

「いつもやってます」


 俺は重い体を引きずりながら帰宅の方へと足を向けた。

 あ、もしかしたらトランポリンも厳しいかもなぁ。

 明日会えたら言えばいいか。

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