ミコト降臨
「カムイノミコト、レムリアではカブトと名乗っていた。マンジュの父親でもある」
「ミコトか、なるほどなシラトを寄り代にしたのか、再びカムイに戻ってくるとは」
「俺を呼び寄せたのは、ヒメカの良き心だ」
「何だと!」
ミコトは天空を見上げた。
「聖三神の女神、アマテラスの娘イオナは全ての光を集める姿なき神、ツクヨミの娘クシナは全てに生命を吹き込む偶生の女神、そしてアマオロスは生と死、光と闇を併せ持つように我々を産んだ。時には迷い、猛り、悲しみそして嫉妬する様に……。俺はお前の呪術だけでヒメカを殺したのではない。俺の中にもある、光がヒメカの純粋な良き心をお前から遠ざける様に仕向けたのかも知れない。ヒメカを封印したアマテラスはヒメカの良き心をも残していた。それを長い間オロスの巫女は守り続けていたのだ。メシナはそのヒメカの良き心をラナに伝えたのだ。ラナはエスメラーダとしてクシナの良き心を持って産まれた。いいか、ラナはクシナとそしてヒメカの娘でもあるのだ」
「たわけた事を、とっくにラナは取り込んでいる。おや?」
「ようやく気付いたか、ラナの魂はシラトとキリト、そしてメイフの光にあの緑色の竜の首の中で守られていたのさ、さっきまでな」
「……」
「ヒメカの良き心、それはオロスに伝わっていたものの比ではない」
「……くくっ」
「シャングリラは、どうやら七海の人魚が鎮めているらしい。七色の宝玉を持ち、エスメラーダがカムイに降りようとしている。赤橙黄緑青藍紫、見事なオーロラだ」
「ふん、実体のないお前に何が出来る、俺は身体を手に入れた。完全復活したヤマタノオロチに勝てるものがいるものか。もしいるとすれば、アマテラスを降臨させたカムイノミコトかそれとも」
「クシナ様を降臨させたエスメラーダ……」
そういってラナが緑色の髪を逆立てた。
「イオナ、レムリアではそれをマナと呼ぶ」
リカの持つ、レインボー・スティックが七色に輝いた。ラナの右手のくすんでいたはずのカムイの剣とオーロラの鏡が再び輝きを取り戻した。それはエスメラーダの宝玉の力に他ならない。シャングリラの人魚たちは、次々とラナの持つオーロラの鏡の中に吸い込まれていった。
「ラナ、キリトを救うのよ」
「メレナ」
「七海の人魚が砂漠に水を運んでくれたわ」
「エリナ」
「ナナイロフウキンチョウも頑張れってさ」
「スザナ」
「あなたなら、きっとオロチを倒せます」
「ルシナ」
「お願い、メイフを取り戻して」
「カルナ」
「マンジュリカーナ様と一緒なら大丈夫よ」
「ダルナ」
「ごめんね、ラナこんな運命を背負わせて」
「お母さん」
ラナの脳裏にシャングリラでの様々な出来事が次々と浮かんできた。しかし感傷に浸る時間はない。一斉にヤマタノオロチは首をもたげ、切り落としたはずの頭もすでに再生していた。
「ぐふふふっ、やっとこれで思う存分暴れるぞ、来い!」




