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マンジュリカーナ強し

 その時ダルナの背後から里香が叫んだ。

「ナノ・マンジュリカーナ!」

四色のスティックをダルナに向けて里香が髪を逆立てた。

「異界の小娘が、しゃしゃり出てきても、無駄よ、二人とも完全に凍りついているわ」

ダルナが十束の剣に加え、短剣を抜いた。

「えいっ!」

「ガキッ」

里香の打突したスティックをダルナは十束の剣で払い、右手の短剣を突いた。ダルナは短剣が彼女の腹を突き刺す事を確信した。

「カッ」

 その短剣の切っ先は里香のスティックの握り手で難なく受けられた。四色のスティックは攻撃と防御が同時に出来るのだった。今度は前方にスティックを倒し、ダルナの眉間を狙った。ダルナは真後ろに飛んだ。背後には底の見えない暗い岩の割れ目が口を開いていた。


挿絵(By みてみん)


「やるわね、マンジュリカーナ。これはどうかしら? オローシャ・ピリリカ!」

強力な雷が里香に飛来した。彼女はスティックを大きく振り回した。その雷はことごとくスティックに吸い取られていった。

「ラクタノーレ・ル・ピリリカ!」

 吸収した稲妻が放射状に広がり、今度は一斉にダルナに向けられた。ダルナは十束の剣を8の字に回しなんとかそれを切り裂いた。

(マンジュリカーナのこの呪力はどこから来るの? まだ宝玉はすべて揃ってもいないのに……)

底知れぬマナの力を想像してダルナは恐ろしさすら感じた。

「やはり、メイフ様のおっしゃった通り、お前はアマテラスの転生した巫女かもしれない。燃しそうだとしたら、そのうち必ずヒメカ様の前に立ちはだかる。悔しいけれど今の私ではまだ勝てない、ギバハチとともに戦ってあげる。それまで勝負は預けたわ、マンジュリカーナ」


 そう言うと、暗い岩の裂け間にダルナは飛び込んだ。それを見てマンジュリカーナのブローチの中のテントウが言った。

「マンジュリカーナ、早く氷を解かせ」

そう言われ、氷結を解除する呪文を使って、里香は二人が閉じ込められた氷を溶かした。

「エクタノーレ・ル・ブロサモール!」

氷の塊が解け、ラナの頬は次第に暖かさを取り戻した。しかし、冷えきったルシナにはまったく変化がなかった。ラナは懸命にルシナを揺り動かしていた。

「ルシナ、戻ってきて。私はまだあなたに聞きたいことがあるのよ、お願いだからもう一度目を開いてちょうだい……」

しかしルシナには、もう心臓の鼓動は聞こえなかった……。

「ルシナ、ルシナーっ!」


ルシナの身体は次第に岩に吸い込まれていった。青い宝玉だけがラナの手に残った。

里香はその宝玉をラナから受け取ると、ブローチに収め、カゴの中のナナイロフウキンチョウに向かって、にっこり笑って言った。


「さあ、ルシナもう出てきていいわよ……」

「えっ?」

「さすがねマンジュリカーナ。スザナ姉さんの分離の術を使っていたのに、とっくに私の本体の場所を知っていたのね」

「ええっ!」


 カゴからでたナナイロフウキンチョウは洞窟内をはばたいた。里香は五つ目の光を加えたスティックを収めると、メタモルフォーゼを解いた。里香の肩にとまったまま、ナナイロフウキンチョウはラナと洞窟を出た。ワラピーたちも集まってきていた。

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