オーロラの剣
「あはははっ、私はね、それを手に入れたかったの。あんな田舎の巫女なんて興味なんてないわ。あれだけ探したのに見つからない訳ね、あなたが持っていたなんて」
「イラーレス、あなたはこの剣を知っていると言うの?」
「もちろん、それはオーロラの剣、元々それはアガルタのもの。その剣に選ばれた人魚がエスメラーダとしてアガルタの偉大な力を使えるのよ。さあ、おとなしく渡しなさい!」
その剣はラナがモンゴルへ旅立つ際に母が渡してくれたものだ。
「この剣があなたを守ってくれます。決して人に渡してはなりません、この剣の持ち主が現れるまで」
ラナはオーロラの剣を空にかざした。七色のカーテンが上空に現れた。オロスで見たものとは違い、赤の帯が異常に幅広かった。それを見たイラーレスは満足げに笑った。
「あはははっ、やはりラナ、あんたにはそれは使いこなせない。極点から離れていても選ばれた人魚なら七色のオーロラを出す事ができる。まあいいわ、お前の実力は大体わかったし、その様子ならお前の母親から何も聞いていない様ね。さあ渡しなさい、オロスの巫女ラナ」
彼女の言う通り、ラナは母から詳しい事は聞いていなかった。しかし、この剣を渡すべき相手はイラーレスではない事は確かだ。母は彼女に剣の呪文を伝えていた。しかし、それは長い呪文の半分だ。残りは渡すべき相手が知っていると言う。
「その時だけは、呪文とともにこの剣を抜きなさい。それがあなたの巫女としての役割なのです」
母の言葉は、ラナに重い役目を与えていた。
「オーロラの剣は偉大な力を持つ、イラーレス、あなたには負けはしない」
「いい覚悟ね。そーら、ハガネのムチ」
ぴしゃりとラナの立っていた地面をイラーレスが打った。
とび退いたラナの足元まで地面が割れた。
「いつまで飛び跳ねる気かしら? そら、そら」
続けざまにイラーレスはムチを放った。ラナは何かを待っている様だった。一方、里香は炭化の術を砕かれ、マナの力をまた貯めなければならなかった。
「テントウ、まだもう少しかかりそう?」
「もう少しで使えるよ、それまで頑張れ」
里香はアギルのフィンガーピックを赤、黄、藍色の三色に変化したスティックを使い、はじきながらも次第に追い詰められていた。串刺しにされたスザナを気遣いながら懸命に舌で舐めている、オンサを横目で見た。このままだとスザナもオンサも死んでしまう。
「オンサ、スザナをお願いね。エクタノーテ・リムリカーナ!」
回復呪文が響いた。里香はせっかくたまったマナを二人のために迷わず使った。
「ゲフフフッ、そうだろうともな。これでまたやり直しだな。知っているぞ、マンジュリカーナ、まだお前は完全には覚醒していない。マナと言う力が十分に集められていない。レムリアの最大の女王もまだヒヨッ子のうちに、ここで仕留めてやろう」
膝をついた里香はアギルに容赦なく蹴り飛ばされた。それを身体で受け止めたのは、黒ジャガーのオンサだった。




