ペスの過ち
どれほど歩いただろうか。
「ぼさっとすんな」
バム隊長がぼーっとした顔で僕の頭を叩いた。
「うげっ」
そっちだって十分ぼさっとしてるよ。
「姫様大丈夫ですか?」
リドル副隊長はいつも姫の心配をしている。
「大丈夫よ」
姫も心配かけまいと我慢してるようだ。
しかしリドル隊長はエルフやドワーフなのだろうか。
少年のような容姿で強さと経験を持つ・・・。
んーでもあれだな。どこからみても人間。
「ついたああああ」
隊員が一斉に叫び始める。
「静かにしてして」
リドルが慌ててみんなを黙らす。
「敵に見つかったらこっそり移動してる意味がない」
もっともな話だな。
「まぁ見つかってもいいなら大量に兵を率いてもいいわけだしな」
バム隊長がうなずいた。
「隊長も一緒になってたけどね」
リドル副隊長の言葉が隊長に刺さる。
「そういうなよなー」
バム隊長敗北。
その夜何チームかに分かれて自由時間が持たれた。
隊全体で酒場とかにいるとばれるからこのアイデアはいいと思う。
僕が料理を楽しんでいると盗賊が店の中に入ってきた。
「あなたたちは!!」
酒場の娘がおびえた声を出す。
「ここらへんじゃちょっと有名な盗賊団だ。」
盗賊が剣を娘に突き付け金を要求した。
僕は見てられなくて剣を抜いた。
隣にいたリドル副隊長が僕を止めた。
「ここで抜けば敵に知られる」
確かにそうだ。しかしこんな盗賊生かしていいものか。
「こんな田舎で武器を持った男がいたら斥候に目をつけられる」
「ばれなきゃいいんすよね」
俺は剣を副隊長に預けて盗賊に話しかけた。
今の俺の格好はそこらへんの青年。
剣などを持ってなければ怪しまれることもない。
「おい盗賊!娘相手に剣なんか使わないと商売できないのか?」
俺は盗賊を挑発した。
「ぐぬぬ!なんだ貴様は」
盗賊の標的はこちらに移った。
「娘相手に剣が必要な奴なら俺でも倒せるな」
俺はさらに続けた。
「生意気な小僧め!!」
盗賊は頭に血が昇っている。
「悔しかったら剣なんか捨ててかかって来いよ」
捨てろ・・・!捨てろ・・・!
「うおおおお!!」
剣を捨ててかかってきた盗賊の腹を殴り盗賊は気絶した。
「ふう」
娘の御礼で酒場の食事代が無料になった。
店を出た後リドル副隊長が話しかけてきた。
「まぁ君なりに考えた結果だというのはわかる」
わかってくれたらしい。
「だけど気を付けてね」
リドル隊長は僕の家宝の剣を隠れていた斥候に投げた。
「すみません」
俺は謝ることしかできなかった。
血に染まった家宝の剣を斥候から抜き
俺は隊に戻った。