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妖操師!!!  作者: 甲崎雄人
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第一章 くも?雲?・・・・・・蜘蛛!!!

第一章

くも?雲?・・・・・・蜘蛛!!!


「ア〜、クソッ! なんで出来ねえ?」


今オレがいるのは、森の中。

大森林って感じじゃなくてただの森。

田舎とかに行ったら

「森? ああ、うちの裏にあるよ」

って言って簡単に出てきそうな森だ。

現に俺んちの近くにあるしな。

なんでそんな所にいるのかって?

それは前に小雪にA級の妖術マスターしてくるぜ、って言っちゃたからな。

俺は、約束は守る男だしな。

それで冒頭のアレである。

なかなか出来ないんだよな〜、A級妖術。


「なんで、A級妖術くらいでこうもてこずるかな。まぁ、A級って言ったら最高クラスなんだけどな」

だが、実際、A級妖術といってもピンきりだ。

伝説の勇者にもなれるような最強の術もあれば、ちょっと場数を踏めば結構使えちゃったりする術もないこともない。

まあ、一つや二つしかないだろうが。

「石群瞬来!」

この術はあたりにある何百とある石を操り、相手にぶつける術なのだが

「だあああ。なんでひとつも動かねえ!? こんにゃろ」

いらいらしてきたオレは力任せに目の前の石を蹴飛ばしてみた。

ヒュ―― ゴッ グワッ

運悪く木々に当たらず森を越え出て人に当たってしまったらしい。

当たっちゃた人、ごめんな、と頭の中で謝ってると、

「おい! 誰だ!? 俺に石を当てやがったのは?」

ヤベッ、わざわざ探しに来たらしい。

そんなに痛かったのか?

そこまで強く蹴ったつもりは無かったけどな。

「お前か? 俺に石を当てたのは?」

そうこうしてるうちに来てしまった。

って、アレ? こいつ、現校長の息子の梁西宗慈じゃないか。

梁西宗慈はオレより歳が二つほど下で現校長の息子とだけあって、成績もいいほうだ。

つまり、少なくともオレよりは妖術を使えるってことだ。

「すまん、すまん。石を蹴ったら結構飛んじまって」

「すまんで済むかよ。土下座しろよ。親父とケンカしてこっちは機嫌が悪いんだ」

なかなか生意気なガキだ。俺が悪いとはいえ、土下座しろとまで言われたらさすがに頭にくる。それに半分、八つ当たりだしな。

「土下座だぁ? こっちが悪いとはいえそこまでのことした覚えねぇぞ」

ボソボソ

「ん? なんだ?」

ボワァ

「アチッチッ」

俺のそばにあった木が火を噴いた。どうやらあいつの妖術のようだ。

「早く土下座しないと黒焦げにする」

「調子に乗ってんなよ、コラ」

バキッ

殴っちまった。一応、俺が悪いのにな。

でもあんまり生意気なことを言ってるから、つい、な。

五割も出してないから命に別状は無いと思うが。

おお、よかった。そこまでひ弱じゃなかったようだ。

数秒たってからやっと起きだした。

と、思ったら

ボソボソ

「ヤベッ」

ボワァ

間一髪のところで避けた。

やれやれ、石を蹴っただけでここまで発展するとは。

世の中、何が起こるかわかったもんじゃないな。

オレもアイツもちょっとカルシウム不足かな?


あの炎の術は、狙いを定めて撃つ一般的なタイプの術のようだ。

そう考えオレは森の中に逃げ込んだ。



アー、ウン。

冒頭のアレは訂正することにしよう。

この森、結構深いみたいです、ハイ。

「ア〜、くそ。今日はついてねぇな、オイ」

前に進めば、森の奥へと進んじまって出てこれなくなりそうだし、後ろは後ろで所々炎が燃え盛っちゃてるし。

「隙でもついてまた石でも蹴りつけるかな?」

と、考えてるとそこにちょうどいい洞窟が。

「洞窟か。もうそんなモンがあるようなところまで来ちまったか。ま、ちょうどいいあそこで待ち伏せでもすっか」


フム、この洞窟、結構深いみたいだ。

天井も結構高くて3、4メートルくらいか? 横もそれくらいだ。

入り口の隅には人が一人くらい隠れられる大きさの岩もある。待ち伏せするにはそこがよさそうだ。

そんなこんな考えていたら、

「テメー、逃げるな!」

おわっ、見つかっちまった。

今日は、ボーっとしすぎだな。

待ち伏せ作戦、決行前に失敗!

「火突瞬撃!!」

火の矢がオレに向かって飛んできた。

妖術は元々、対妖怪用の攻撃だ。それが人間に当たったら無傷で済むはずが無い。

俺がヤバイ、避けきれねぇと思ったそのとき、

「おぎゃ!」

コケた。石につまずいて。

まさに不幸中の幸い? 火の矢はオレに当たらず洞穴の奥へ。


ゴォォォォォォ!!

なんだ、なんだ?

攻撃で壁が崩れたって感じの音じゃねぇぞこりゃ。

もしかして・・・・・・

ドスン、ドスン、ドズーン

やはり、妖怪!

「あれは土蜘蛛! しかも、デカい!」

お前のせいだろ。何、冷静に分析してくれてんだ? コラ。

大体2メートルくらいの大きさだ。普通は1メートルくらいなんだが。

つくづく、ツイてねぇ。最悪だ。

っと、オレもこんなこと考えてる場合じゃねぇな。逃げねぇとやばい。

オレは、とりあえず洞窟の外へ逃げ出した。

「おい、宗慈。とりあえず勝負はお預けだ。さっさと逃げるぞ」

「何、言ってんだ? 逃げる? とんでもないね。あのくらいオレが倒してやる」

とか言って奴は土蜘蛛に突っ込んでいきやがった。

「あの馬鹿!」

どうする? 

妖術を使えないオレが行ってもやられるだけ。やっぱり助けを呼びに行くべきか?

「チィッ、ツイてねぇ」

俺はそこらにある大きめの岩を掴み、土蜘蛛のところへ駆け出した。



宗慈と土蜘蛛は、洞窟の脇で戦っていた。

やはり、土蜘蛛の力の方が圧倒的に上のようだ。

「やっぱ、助けを呼びに行った方がよかったかな?」

なんせ、雑魚に雑魚が加勢したって雑魚でしかないからな。

「オーイ、土蜘蛛、こっちだよっと」

ちょっと離れたところから岩を投げた。土蜘蛛を挟んで宗慈と正反対のところだ。

よし、こっちを向いた。後はこっちに気を取られてる隙に後ろから強力な術を・・・・・・

「オイ、馬鹿。術も使えないお前が何してるんだ?」

「って、なんでテメーがここにいる? こういうときは囮に気を取られてる隙に相手をたたくのがセオリーだろうがッ」

「ンなもん、知るかよ」

こいつがここまで馬鹿だったとは、予想外だ。

ブォ ドッカーン

突然の土蜘蛛の攻撃。俺たちは吹き飛ばされた。

く、くそ、二人まとめて攻撃食らっちまった。アバラが何本か逝ったな、こりゃ。

「あの馬鹿は大丈夫か?」

うーんと、いた。

ありゃ、気を失ってやがる。アイツ背負って逃げ切れるかが問題だな。

オレが宗慈に近づくと、

ブォ ドーン

「ガハッ」

後ろからの攻撃。

く、くそ、甘かった。土蜘蛛の奴が目に入らない時点でもっと警戒しとくべきだった。

それに、

後一発、持つか持たないかって感じなんだよな。

さすがに、ちとヤベェな、コリャ。

ギャ――――ス

なんだ、今頃になって宗慈との戦いのダメージが?

意外にアイツ、強かったのか?

違った。増援を呼んだようだ。

ズズン、ズズン、ドシーン

オイオイ、マジかよ、絶望的だな。一匹じゃなく、二匹も土蜘蛛が増えるなんて。

アー、ヤベェ。ダメージのせいか、フラフラしてきやがった。

バチバチ

「イテッ」

なんだ? 左手の痣のところがしびれてきやがった。

って、なんか放電し始めたぜ。オイ。

まあ、いいや。

力もみなぎってきた。気分もいい。

これくらいの力があったら土蜘蛛もいけるかも。

俺は土蜘蛛に向かって走り出した。



なぜか、身体も軽い。

オレは土蜘蛛の頭の真上に飛び乗った。

「まず、一匹目」

バチッバチチチチッ

電撃が迸る。それは、土蜘蛛の全身を回り、奴を焼き上げた。

「土蜘蛛の丸焼き、いっちょあがりっと」

思ってた以上だな、こりゃ。

触っただけで焼き殺せたし、身体能力もとてつもなく上がっている。

ブォォォ

「あわわっと」

上からの攻撃。仲間の上に乗ってるのに容赦が無い。

ま、死体だけどな。

タンッ

俺は二匹目の土蜘蛛の攻撃をジャンプでかわし、その足に飛び乗った。

「二匹目」

バチチチチチッ

よし、いける。

次だ。

ドーン、ドーン、ドーン

オレは攻撃をかわしつつ、三匹目の土蜘蛛へと近づいた。

土蜘蛛の目の前。攻撃。

俺が飛んでかわす。

「これで終わりだな、あーばよっと」

土蜘蛛の頭を飛び越えざまに触った。

バチチチッチチッ

「三匹目」

ドッザーン

最後の一匹を倒した。何とか、勝てたようだ。

「アー、終わったぁ」




俺はそれ以降の記憶が無い。

話によると、宗慈と森の近くで倒れていたらしい。

そのまま俺たちは人に発見されて、病院に連れてかれた。

起きてから見たのが、怒った小雪の顔。

先に起きた宗慈から話を聞いたらしい。

貧血気味なのに、こっぴどくしかられた。

「もう、妖術もろくに使えないのに。今回はたまたま、使えたからよかったけど。無茶しないでよ。まったく」

だとさ。

宗慈のせいで無茶することになったのにな。

まあ、オレ的には変な術(?)も使えるようになったし、プラス、マイナスで言うとプラスかな、と思うのだが・・・・・・


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