プロローグ
プロローグ
ドン
「くっ」
オレは今化け物と対峙していた。
それもオレの身長の二倍も三倍もあるとてつもなく大きな化け物。
一つ一つの攻撃が少しずつだが確実にオレの体力を奪っていく。
(なかなかやってくれるぜ。だが・・・・・・)
「オレもここで終わってらんねぇんだよ! 行くぜ、抜天召雷ィ!!」
俺が叫んだ瞬間、黒雲が天を覆い、雷鳴とともにすさまじい稲妻が化け物に降り注ぐ
・・・・・・ハズだったのだが。
パチッパチパチパチッ
実際に出たのセーターにでも溜められるような電気。
「あ、あれ?」
「九番失格!」
俺の名前は大空雷毅。
そんでもって、ここは妖英学園の校庭。
妖英学園とは妖怪とか妖術とか操りまくって英雄とかになっちまおうぜ学園の略だ。
ウソだ。
本当は学園を建てた初代校長が妖英とかいうヘンテコな名前の持ち主であった、
唯それだけだ。
何をする学園かというと、妖操師の育成である。
妖操師とは、妖怪や妖術を操り、その力で妖怪や物の怪と戦い、倒すことを
生業としている者たちのことである。
当然そこに通っている俺たちは、妖操師を目指している。
さて、話を元に戻すと今日は学園の実技試験の日。
試験内容は、名前のとおり何にでも化けることができるこの化け狸を倒すというものだ。
ただし、C級以上の妖術で。
妖術は通常、A級、B級、C級、D級の四段階に分けられており、
オレはハッキリ言ってケンカは強いがD級の妖術もあまり使えない。
俺たち妖操師を目指すものとしては妖術を使えないというのはかなり致命的である。
そんなこんなでさっきの場面である。
「先生ェ〜。もう一度、もう一度だけチャンスを〜。」
「はい。次ィ。十番の奴出て来い。」
「うわぁ。ヒデェ。話すら聞いてないよ、この人。こういう奴がいるから教員職がああだ、こうだ言われるんだな。うん」
「黙って、出てけ。次の試験の邪魔」
オレが教員たる者、生徒にああいう態度で臨んでていいのか、などと考えながら歩いていると、
「何が『オレもここで終わってらんねぇんだよ』よ、また不合格になっちゃって」
誰だ。このオレ様にそんな口を利いているのは。
幼馴染の陸名小雪だった。
「フンだ。どうせダメでぃ。テメェーはどうなんだよ。」
「あたしは余裕よ、余裕。」
忘れていた。小雪の成績は結構いい。B級の妖術もちょっと位なら使いこなせる。
「でも、雷毅。もうそろそろまともに術を使えるようにならないと。卒業試験までそう何日も無いよ?落第しちゃうよ?」
グサッグサッ
音を立てて言葉のトゲが突き刺さる。
「み、見ときやがれ!!! 卒業までにものすごいA級以上の術をばっちりマスターしてきてやるぜ」
小物の悪役みたいな捨て台詞と共にオレは駆け逃げていった。
「卒業のときだったら、落第しちゃってるゾ―――って聞こえてるかな」