転生魔王の憂鬱
吾輩は第265代魔王である。名はヴィルヘルム。
我に逆らうものは、消滅すら許されぬ時の迷宮をさまようと知れ
………ってカッコつけてみましたが、何か。絶賛憂鬱中の俺。
今日も今日とて俺の機嫌を反映して、瘴気が濃い魔界です。そう、魔界です。
なんと俺は、気がつけば魔王に転生していたーーーーー!!
あれですね、チート転生っていうやつですね。魔獣や魔族、生きとし生ける闇の眷属は俺様にひれ伏し、
絶大な魔力を持ってして人間界を焼き滅ぼすのなんて、指先ひとつだ~い♪♪
なんて思っていた時もありました。
ひゃっほ~い。夢に見たハーレム!女!女!!女!!!酒池肉林だ~い♪♪♪
って夢見てた時もありました。
一瞬でその夢も儚く散りましたけどね!生まれた瞬間状況を把握してしまいましたけどね!忌々しいチート能力でね!!
説明しよう!
魔王とは、闇に聞きるモノの母親的存在なので、今自分の子供たちがどのような状況に陥っているのかが瞬時に分かってしまうのだ!ただし、塵のような魔族から、今人間から精を絞っとっている淫魔、早くボール投げしてくれないかな~?新しい魔王様、と考えている魔界の三つ首ヘルウルフの考えていることまで、全ての魔族の思念が寄り集まってくるので、魔王は慢性的な頭痛に悩まされることになるのである!
本当によく生まれた時頭爆発しなかったよな、と自分をほめてあげたい。チート能力で頭の処理速度もあがったのかな?
とにかく現状把握がひどかった。なんせ、先の魔王は勇者に倒されたばかり。しかも魔界は勇者御一行さまに破壊の限りを尽くされていたし。ホントあの黒魔導師いつか潰す!日頃人間界で大技出すの禁じられてるからって、その鬱憤を晴らすかのように大技連発させて大破壊の限りを尽くしてくれやがりましたからね!
なんで見てきたかのように話すのかって?チート能力だよ、察してください。
助けてくれぇ 助けてくれぇ 殺す殺す殺す 壊す 死ね死ね死ね お母さんお兄ちゃんお父さ んお姉ちゃん 呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪 呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪 呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪
ってな具合で行き成りこんな思念が襲ってきたわけで。で、こんなの何時までも聞いてるとおかしくなるんで、体全体にシールド見たいのをイメージして纏わせて事なきを得たわけ。その時俺は崩れ落ちた城の玉座にいた、というかここで誕生したので、城の外に出てみたのよ。そしてら、城の周りは火の海。城下も同じような状態、家は崩れ、魔族の死体があちこちに散乱し、強いものが生き残ろうと弱いものをころし、助けを求めるもの、どうにか逃げ出そうとするもの、遠くを見渡せば、クサレ黒魔導師が創りだしたかつて町であったであろうクレーター。
それはもう阿鼻叫喚。まさに地獄。っていうか魔界だけど。
あまりの現状に俺はその時無意識に、城下に転移していたらしい。気がついた時涙を流しながら、周りを炎の渦に包まれながら、壊れた家に立っていた。
そのとき思ってたことは、すごいところに転生してしまった、ということだけだった。俺はこれを、これからどうにかしていかなきゃいけない。でも、どうやって?どうして俺がこんな重荷を背負わなきゃいけないんだ?どうしてもっとお気楽なハーレム勇者、とか同人的魔王に転生させてくれなかったのか、っと。
しばらく呆然としていると、服を引っ張られる感触。視線をその先に向けると、いつからいたのか子供の魔族(見た目人間で言うと6歳くらい)が俺の袖を掴んでいた。
「貴様、家族はどうした?」
「………」
「しゃべることが出来ないのか?発言を許す。何か言ってみよ」
「あなたはまおうさま?」
「そうだ」
「にんげんたちがおとうさま、おかあさまころしちゃった。きんじょのひともしんじゃった。」
「ひとりか?」
「うん」
「名は」
「いるーしゅか」
「イルーシュカ。名を明け渡すことは、己を縛られることと同じ。まして私は魔王。いくら小さい はといえ、わかっているな」
「はい」
「よい。お前には私の後ろを歩くことを許す。これから私が成すことをその目で見るといい
往くぞ!!」
「はい!」
ってな具合で第一部下(子供)をゲットだぜ!ごめんなさい分かってます。子供にしか威張れない俺を許して。しかも、あの時超美少女、ゆくゆくは超美女になるだろうな~、的な打算もあって拾った第一部下なのだが、なんと男の子でした。男でした!大事なので3回目言います。男(泣)でした!!しかも今では超イケメン、超美男子。俺完敗。だって俺の周りに女の子いないし、必然的に俺のハーレム計画もないし、彼女もできないし。なんでよ!俺すっごい優良物件じゃん。権力あるし、金あるし、いいことだらけじゃん!!
……………もうすぐ死んじゃいそうだけど。
あれから300年かけて魔界を立て直した。魔族を組織し直し、町を整備し直し、魔獣を飼いならし、魔族の力を鍛え直し、法を整備して(魔界だからって無秩序でないかん!)いまでは先の魔王の全盛期より比べのものにならないくらいの魔界を作れたと自負している。もう今では人間界にちょっかい出しに行くバカもいないし。平和そのもの。逆に人間界の方が最近不穏な空気みたいなんだよな~。王族のために、民衆を殺してるとか、してないとか。税を重くしているとか。流行病が流行していとか。
で、ついに来ました。人間の国が、異世界から勇者を召喚したんだってさ~。俺死亡フラグじゃん?それを言うなら、魔王って時点で死亡フラグ立ってんじゃん??忙しすぎて、そこまで頭が回らなかったよ。
そうか~、俺もついに年貢の納め時か~。まだ何にもしてなのにね。ハーレム作るとか。女とか女とか。
魔王の特権を何一つ使ってない!
最近憂鬱過ぎて、政務をイルーシュカに任せきり。でもいいんだ。俺が死んだら、イルーシュカが次期魔王だし。魔力は俺に次いで強いし、なにより俺がそう決めたし。
俺は女とか、そんなことよりも、もっと大きいものを手に入れた。俺が育てた魔族、魔界。いつからか、こが俺の家で、魔族は俺の大切な家族になった。だから、俺は満足だ。
これ裏設定で、BL。
感のいい方なら分かるかもですが、イルーシュカが魔王に女を近づけさせないように、魔王によってくる女どもを殺して周ってた…、というね。で、異世界召喚された勇者が魔王に一目ぼれ。俺この世界に無理やり召喚されただけだし、無理やり魔王討伐のために旅立たされただけだし、魔王気に入ったから、ここに住むね。みたいな。絶対口説き落とす!勇者の名にかけて!
今回の討伐の旅にも同行していた黒魔導師は、S心を魔王に刺激され、町を壊すことよりも、魔王を調教したい!泣き顔が見たい!になる。
これが本当の魔王の憂鬱の始まり始まり