1 彼の話
何処かにあるかもしれない、ないかもしれない、日常のお話。
「あのね…私、彼方のことが…」
と、いうわけで今、俺は告白されている。
と思っていいのか!?
俺と奥野上ゆかりが両思いってことぐらい知っていた。
だから今日、
「伯野、放課後教室残ってて」
と少し赤面していた奥野上に言われたときは
‘ああ、いよいよか‘とか思ったわけで。
そして今、教室にいる。
放課後、夕暮れ、誰もいない教室…演出はgood。
あとは言葉だけなんだが…
「あのね、私彼方のことが…」
きた!!
「好きですごめんなさい」
え?ごめんなさいって俺…フラれたの?告ってもないのに!?
「あ、間違えた。ごめん、もっかい」
は?もっかい?…って…いいのか?奥野上!!
「緊張しちゃってるみたいで…」
否、どこが!?どこが緊張してるの!?全然見えねぇ!!!
普通だし、それ以上にクールだし、否ドライだし!
「あなたが…」
え!?あ!!きた!今度こそ…
「彼方はすしです!!」
違う~!!俺はすしじゃねぇ!!
「あ、ごめん。間違えた。ごめん、もっかい」
また…いいのか?これで?
奥野上は少し思案して言った。
「すじだあー!!!」
否、叫んだ。…ん?すじ?すきじゃなくて?
すじってなんの…?はっ!まさか筋子!?
「あ、噛んだ」
やっぱり。噛んだのか。
「ごめん、もっかい」
というわけでエンドレスに。
俺と彼女にハッピーエンドは来るのか!?