プロローグ
暗闇の中、テレビで人の夢を見る。観ているのは勿論、眠った時に見る夢だ。
おっと、あくびが出てきそうになった。人の夢の話ほどつまらないものはない。でも、そうは言っていられない。面倒くさいがこれも仕事だ。
眠気覚ましにブラックコーヒーを大量に飲んで、背筋を伸ばした。
部屋は暗いが、何百とあるテレビの光で私が照らされる。
「この量を一人で見張ってなきゃいけないなんて……ブラックすぎるだろ……この職場」
一つの映像は他人を夢に招いており、もう一つの映像は夢主が自由自在に動物を創造し、戯れている。
こんな風に画面に映った者たちは寝て、遊び呆けているのにどうして自分は三日も徹夜しないといけないのか。
全国民の夢を見守っているとなると人手がどうしても足りなくなるのは分かるが、流石に社員を大切にしてほしい。
「私もはやく休みたい……」
果てしなく続く労働に嫌気が差して呟くと後ろから肩を叩かれた。
「じゃあ、楽にしてあげるね~!」
後ろを振り向くと、見知らぬ少女が巨大なハンマーを振りかざし、私の頭を砕いた。
体が倒れこむ中、テレビの映像が目に入った。
だから最後に目にしたものは誰かの夢が砕かれる瞬間だった。
夢が砕かれた。
夢というのは将来の夢の方ではなく、寝ている時に見る夢の方だ。
私は最後の夢で大好きな動物を創造して、遊んでいた。そんな淡い夢を見ていた時、オンラインに切り替えていないはずなのに誰かが入ってきた。
その人はこちらを見向きもしないで、夢の空間を形作る要となっている日記に近づき、炎を勝手に創造して燃やした。
この時、悟った。私は二度と夢を見ることが出来なくなるなって。
現実なんて嫌だ。ずっと、夢の中に閉じこもっていようと決めていたのに……。そう思っていたのに壊された。夢を監視する仕事の人がいたはずなのに。許さない。夢を壊した奴と夢の警備隊を————。
そう思った瞬間、意識が途切れた。




