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プリンセス・ジョッキー ~優駿の姫騎手~  作者: 草野猫彦
二章 もう一つの黄金

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第32話 優駿の姫を語る

  天海優姫専用スレ 112勝


1 名無しさん@競馬板

立てたぞ

wikiとかは勝手に貼ってけ


2 名無しさん@競馬板

このスレは優駿の姫君こと天海優姫を語るスレです 

アンチは放置必須

実況は実況スレで

なお天海優姫は「ユッキー」が同期の女性騎手からの呼び名である

関係者からは天海、優姫、優姫ちゃんの三つが確認されてる


3 名無しさん@競馬板

とりあえず主な勝負服の写真2枚貼っておく

http……

http……


4 名無しさん@競馬板

これまでの主な勝ち鞍

1年目 東京スポーツ杯2歳S(GⅡ)ホープフルS(GⅠ)50勝

2年目途中 弥生賞(GⅡ)皐月賞(GⅠ)ユニコーンS(GⅢ)

……なにこの怪物


5 名無しさん@競馬板

一時期の騒ぎを思うと本当に静かになったな

弥生賞制覇からダービーまでは本当にすごかったのに


6 名無しさん@競馬板

まあ競馬の歴史に永遠に刻まれるかってことと三冠の期待もあったしな

実況する馬鹿もいたし

ダービーはあんなんなったし……


7 名無しさん@競馬板

勝負服はやっぱりエルフの勝負服が似合ってたな

ホイ、復帰はやっぱり無理なんかな


8 名無しさん@競馬板

エルフって……まあ石仮面よりはいいか

ホイは命があっただけいいよ

府中の競争中止っていまだにサイレンススズカが甦る


9 名無しさん@競馬板

20世紀のレースをいつまでも……

まあだいたいの人間が知ってるんだけどな


10 名無しさん@競馬板

ユッキーあんなに勝ってるのに重賞乗らせてもらってないのな


11 名無しさん@競馬板

俺はアマミンと呼び続ける

今年の重賞は他にグランジェッテのシンザン記念とモーダショーの青葉賞ぐらいか


12 名無しさん@競馬板

ユニコーンSのライガースラッシュってどうなったん?

勝ったのに乗り替わり?


13 名無しさん@競馬板

綿貫のお手馬だから元に戻って東京ダービーへ

なお結果は……


14 名無しさん@競馬板

本当に重賞はもっと乗せてやれよ

この入着率見れば競争中止以外100%じゃん


15 名無しさん@競馬板

強心臓と晴れ舞台は持ってるなwww


16 名無しさん@競馬板

勝てそうにない馬を掲示板までには持って来てるし勝てそうならそのまま勝ってるし

なんなん? 天才なの?


17 名無しさん@競馬板

ある種のギフテッドっぽいという話はよく聞くな

次のGⅠはいつになったら乗れるんだ

こんだけ勝ってたら普通に競馬村外からの人間でもエージェント付くよな?


18 名無しさん@競馬板

鳴神厩舎はそこまで強くないけど今年のローカル新馬はそれなりに乗ってる

未勝利も乗って勝率はさすがに20%は切った


19 名無しさん@競馬板

今のOP馬でお手馬はモーダショーだけか

三ツ木厩舎って鳴神厩舎とどういう関係なん?


20 名無しさん@競馬板

栗東だけど関係はないはず

モーダショーも新馬と未勝利全くいいところなくて回ってきた馬だし


21 名無しさん@競馬板

青葉賞3着は惜しかったな

その後いきなり阿寒湖特別かよステイゴールドかよ

……ステイゴールドの曾孫だったよ


22 名無しさん@競馬板

丹頂ステークス使って勝ってるから主な勝ち鞍は違うけどな

普通に2600mを連勝してるんだから菊花賞狙いで間違いないと思うけど

しかし丹頂ステークスの知名度これで爆上がりか


23 名無しさん@競馬板

賞金もう足りてるよな?

モーダショーのレースって見たことないんだけどどうなん?


24 名無しさん@競馬板

そこそこいい脚を長く使うタイプかな

でも最初から最後までずっと追われてたw


25 名無しさん@競馬板

ズブい馬ってことか

なら菊花賞向けではあるのかな



46 名無しさん@競馬板

悲報! モーダショー次走は京都大賞典


47 名無しさん@競馬板

え? なんで? 菊花賞じゃなくて秋天狙うん?


48 名無しさん@競馬板

夏場に走らせすぎやろ

阿寒湖特別から丹頂Sに京都大賞典って

普通は神戸新聞杯やろ?


49 名無しさん@競馬板

「タフな馬だから古馬とも充分に勝負になる」

三ツ木調教師の言葉だけどつまり天皇賞の方に行くってこと?


50 名無しさん@競馬板

スプラッシュヒット産駒だから2000までがいいってことじゃないの?

基本的にマイルから2000が強い種牡馬だし


51 名無しさん@競馬板

一応ダービー2着とかの実績はある

それに祖父は有馬記念と春天勝ってるし


52 名無しさん@競馬板

アメリカ血統入ってるからよく分からんのよな

つーかなんで芝のGⅠを3勝してる馬をアメリカに持っていくかなあ


53 名無しさん@競馬板

一年目の産駒の成績見たらそらしゃーないw

なんでアメリカで成功したのかは分からんが


54 名無しさん@競馬板

腰が甘い産駒が多いって言われてたからアメリカのダートには合ったんだろうな


55 名無しさん@競馬板

マルシュロレーヌとかウシュバテソーロ見てたらそりゃダートでも行けるかもと


56 名無しさん@競馬板

母父モーリスだし血統見たら2000までの気もするけど隔世遺伝したら3000以上も行けそうではある


57 名無しさん@競馬板

母の母父にマンカフェ入ってるし行けそうでもある

ただスプラッシュヒットの全兄とか全姉がいないから評価しにくい


58 名無しさん@競馬板

スプラッシュヒットは母の父の父がエーピーインディだから2400までは走れそうな気はするけど


59 名無しさん@競馬板

それを言ったら父の父の父がオルフェなんだから菊花賞楽勝だろw



 色々と考えての結果である。

 短い距離でハイペースに慣らしたい、という優姫の意見にも一理はあった。

 だが輸送の疲労とレースの疲労は別のものとして考えた方がいい。

「2着は拾いたいけど、無理なら調教代わりに回ってくればいい」

 最終的に三ツ木はそう言って、京都大賞典を選んだのである。


 夏に2勝した上がり馬(※)であるモーダショーは、秋の注目馬の一頭であった。

 中にはちょっと乗ってみたい、と言ってきた騎手も他にいたのだ。

 ズブさは知っているので、ダービーの後に少し、乗せてみたことはある。

 だが今度はズブさだけではなく、凶暴さまで見せてジョッキーを振り落とした。

 ズブくて動かなくても、普通に乗せているだけ、優姫には心を許しているということなのだろう。

(しかしあの子はどうして、こうも気性難の馬にばかり遭うのかなあ)

 ヴァリアントロアの調教をつける優姫は、今度は前のめりになる馬を、必死で止めていたのであった。




 気性難にも違いがある、というのはまさにその通り。

 シュガーホワイトは男が大嫌いという以外は、ものすごく操作性のいい馬であった。

 コーナリングも上手いし、こちらの意図もはっきりと伝わる。

 手綱を少し絞ったり、鐙のバランスを変えるだけで、意思が伝わってくれたのだ。

 自分の好みには頑固だが、それ以外は問題ない。


 比べるとモーダショーは、とにかく手を抜きたがる。

 調教をつけていても、坂路を走らせるならば、とても嫌そうにポテポテと登っていく。

 なので軽快に走れる、芝のコースを走らせる。

 だが強く追ってもなかなか、本気で走ろうとしない。

 優姫が必死で未勝利を脱出させて、おそらく勝利の味を知ったのだろう。

 だから次のレースからは走ったし、青葉賞でも頑張った。


 あの青葉賞で負けたことは、むしろ屈辱であったらしい。

 手を抜いて走ったのではなく、本気で走って負けたのだから。

 それをこの夏、札幌で二回走らせた。

 その二走目には珍しくも、他の馬をちぎって勝ったものである。

 年齢による斤量の有利はあったが、それ以上の差を付けた。


 単純に肉体面の話だけなら、確かに神戸新聞杯でもいいのだ。

 あるいはトライアルを使わず、そのまま直行ということも考えた。

 だがもう一度屈辱を味わわせるか、あるいは真に勝つ喜びを教えてやりたい。

 モーダショーは怠惰タイプの気性難であるのだ。

 これはディクタスの産駒に見られた傾向で、サッカーボーイはその中では前向きな性質が強かったそうだ。

 少し荒ぶるのは、やはりモガミが遠くから出ているのか。


 そしてヴァリアントロアは、とにかく反抗的である。

 その反抗心が他の馬に対して、対抗心として出てくるのだが。

(せっかく身体能力は高いんだから、なんとか種牡馬にしてあげないと)

 おそらく去勢しても、この気性難はそのままなのではないか。

 そんな乗馬にも向かない馬は、もう悲しい結末を迎えるしかない。


 せめて血統が分かりやすく良ければ、その能力だけで種牡馬になったかもしれない。

 だが今は優姫が知る昔よりもさらに、競争成績が重視されている。

 一頭の馬に対して、繁殖が集中する。

 またシャトル種牡馬などによって、輸入がさらに盛んになっている。

 いずれは血統の閉塞が起こるので、これはやらなければいけなかったことだ。

 しかしそのためにヴァリアントロアは、血を残すのは難しくなっている。

(シュガーよりも潜在能力は高い、とでも言うべきかな)

 もっともヴァリアントロアは本当に、シュガーホワイトよりも爆発力なら、優れているかもしれない。




 九月の末、いよいよGⅠのシーズンがやってくる。

 中山ではスプリンターズステークスの行われる日、阪神競馬場でヴァリアントロアは芝の新馬戦に出る。

 距離は1400mと、かなり短い。

 体型や血統は、長い芝も走れそうである。

 だが同時に父や母系に、強力なダート馬がいるのだ。


 パドックでは意外と言ってはなんだが、比較的落ち着いている。

 もちろん2歳の新馬だけあって、興味深そうに周囲を眺めているが。

 追い切りの時計などでは、この中でも一番の数字を出していた。

 乗っているのが軽斤量の優姫のため、一番人気にはなっている。

 もっとも血統的に、ダートではないのかと思われ、圧倒的な一番人気ではない。


 優姫は馬とコミュニケーションを取るのが上手い。

 だがコミュニケーションが取れるからといって、相手が従ってくれるとは限らないのだ。

(新馬戦は何があるか分からない)

 ただ少頭数のレースなので、やや外枠からでも問題ないだろう。

 あとはスタートから、ハナが取れるか否か。


「大丈夫、落ち着いてるよ」

 厩務員の北川は、さすがに長いキャリアでもって、ヴァリアントロアに変に舐められてもいない。

 優姫を相手に果たして、その気性難がどういう発揮のされ方をするか。

「頑張って」

「はい」

 新馬戦だけあって、オーナー夫人もやってきていた。

 そしてヴァリアントロアは彼女を見ると、少しだけ腰が引けていく。


 色々な馬には、色々な苦手があったりする。

 好物があるのだから、その逆もあってしかるべきである。

(シュガーがいてくれたら、鼻っ柱を折ってくれたかな)

 あるいは逆に折られることで、気性がまた悪い方に向かうかもしれないが。

 優姫が考えるに、ただ勝つだけなら1200mを使った方が良かった。

 だがわずかに長いこの1400mで、長距離適性を見る。

(体型だけを見たら、充分に長距離も走れるからね)

 デュランダルを思い出した優姫である。




 馬の距離適性というのは、複合的な要因によって決まる。

 体型、心肺機能、体質、骨格、そして気性。

 血統というのは配合の仕方によって、父や母、あるいはさらにその先祖の能力が発揮される。 

 代表的な例はオグリキャップと言えるだろうか。

 父や子の競争成績と比べて、自身が圧倒的すぎる。

 だが父方祖父のネイティヴダンサーは、それこそ並の三冠馬を圧倒する、灰色の幽霊と呼ばれた馬であった。

 22戦21勝2着1回ってなんぞそれ。

 その一度きりの敗戦がケンタッキーダービーなのだから惜しすぎる。


 全ての馬はスプリンターであり、全ての馬はステイヤーである。

 矛盾した言葉と思えるかもしれないが、ある程度は正しいのだ。

 さすがに現代では遺伝子解析なども進み、スピード型とスタミナ型、そして混合型の筋肉が分かってきている。

 それでも基本的にはスタミナ型のガリレオが、あれだけヨーロッパでは支配的になった。

 つまりヨーロッパの馬場は、やはりスタミナ型なのである。


 最強マイラーのフランケルなどは、気性の問題で距離は2000までしか走っていない。

 だが晩年には気性が落ち着き、5歳まで走れば凱旋門賞などでも勝てた、という関係者の話もある。

(ロア君はどうなのかなあ)

 覗き込む優姫には目もくれず、輪乗りからゲートに入っていく。

 ヴァリアントロアは鼻息も荒く、今か今かとスタートを待つ。

 そして後肢に力を入れすぎて、ゲートの開くのに遅れてしまった。


 後ろから行くのだからむしろいい。

 この時期に新馬戦を使うのは、充分にクラシックに間に合う。

(気性がどれだけ落ち着くのか、それが心配だけど)

 1400mの距離だと最初の直線が長くなる。

 いきなり先頭には出ずに、追走すればいい。

 しかし行きたがっているため、手綱は強く引く必要があるが。


 3コーナーから4コーナーにかけては、上手く距離ロスを減らす。

 ヴァリアントロアの走り方は、普段は大跳び。

 しかしコーナーにおいては上手く回るあたり、走るのが下手なわけではない。

(さあ、内は開くかな?)

 2歳だとまだ、真っすぐ走らない場合も多い。

 前の馬はよれて、直線の進路をふさぐ。

「審議だ!」

 なんだかスタンドで叫んでいる人がいるが、それは無視しておこう。


 比較的長い直線の中、優姫は大外に持ち出す。

 距離のロスがここで出るが、それよりも重要なことはある。

(さあここからは坂になるぞ)

 瞬発力もあるし、坂を上るスタミナもある。

 パワーもそれなりにあるが、それらが合算してどうなるのか。


 前に馬がいなくなって、思いっきり走れる。

 ここまで前に馬がいたため、ずっと我慢を強いられてきた。

 その怒りが蓄積しているだろうが、それは果たして暴走するエネルギーに転換されるだろうか。

(息が続くかな?)

 そう思った優姫は、急激な加速に引っ張られる。

 これぞまさにサンデー産駒、という瞬発力が3本のラインから爆発した。


 坂の直線だけで前を抜いていく。

 確実にこの1ハロンで、最速の脚を使っていく。

(やっぱりスプリンターかな?)

 先頭の馬は内を走り、かなり距離のアドバンテージはあったはず。

 だがそれでもゴールした時には、ヴァリアントロアが3馬身も先着していた。

 そこからもしばらく全力で走ってから、ようやく落ち着いていく。

(展開にもよるけど、マイルまでは走れるか)

 モーダショーとは違って、すぐに息が整うということはない。

 ちゃんと全力で走ったということだ。


 レースの中でしっかり、折り合いを教えていかなければいけない。

 だが坂でスピードが落ちなかったのは、いいことである。

(オープンまでは行けそうだけど)

 クラシックの距離が走れるのか、そこはジョッキー次第となるであろう。


 ※ 上がり馬

 3歳の馬の中で夏の間に条件戦を勝ち上がり、秋の重賞戦線に名乗りを上げた勢いのある馬。

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