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暗殺者、犬になる

こんにちは?こんばんは〜ebitenです!

今回から私史上初めての連載小説が始まりはした! ( ´ ▽ ` )イエーイ

これからは1〜2週間ぐらいのペースで、火曜日の9時から連載していきたいと思っているので、温かい目で見てくれると幸いです!

《CARNA》──国家と密約を交わし、非公開任務を遂行する民間暗殺企業。その存在は公には知られていない。だが、その影響は社会の裏側を覆い尽くしている。企業は国家の代理人として、命を奪い、情報を抹消する。正義も悪もない世界で。

主人公の速水斎(はやみさい)は、その《CARNA》で最も優れた暗殺者だった。明日を生きるために冷静沈着に任務を遂行し、数々の標的を消し去った“No.1”の男。だが、裏切りは組織の常。任務の最中、彼は銃口を向けられ、撃ち抜かれた。


ーーーーー視点が低すぎて、最初は世界の形を捉えられなかった。床の冷たさと埃の匂いが鼻を刺す。窓から月明かりが差し込み、机の上の花瓶に生けられたしおれた花を照らしている。見渡すとそこは6畳ほどの殺風景な部屋だった。机と椅子、それからベットがあるだけの部屋。そこは見慣れた自室だった。

(なぜこんなところに?)

困惑する。任務でビルの屋上にいたはずだったが、なぜ今自室に?

周囲を見渡していると、鏡に映った自分の姿に驚く。

「バウッ?」

犬の顔が映っていた。僕は目を疑う。しかし何度見ても犬の顔がそこにはあった。よく見るとその犬は、愛犬バロウだった。バロウは2年ほど前、処分寸前のところを気まぐれで引き取ったのだ。何せよ軍用犬になる予定だったが気性が荒く、指示を聞かなかったので処分することになったのだ。引き取った当初も気性が荒く一度だけ僕に牙を向けたことがあったが、一度 シツケ をしたら大人しくなった。

それに、撃ち抜かれたはずの頭の痛みは消え、だが撃ち抜かれた記憶だけがある。あの瞬間、僕、速水斎は死んだ、、、()()()()()。それが今、犬の身体に閉じ込められている。

何故かは分からない。神の悪戯だとでもいうのだろうか。ただ一つだけ確かなのは、終わっていないということだ。奴らは僕を殺した。その後、俺の証拠も徹底的に消そうとするだろう。それが奴らのやり方だ。時期にこの部屋にも来るだろうし、愛犬である僕も始末される可能性が高い。流石に2度も殺されるのは我慢できない。しかも僕は組織に忠誠を誓っていたのに裏切られた。どうして?忠誠が足りなかったから?邪魔になったから?しかも僕に傷をつけるどころか殺したのだ。許せない。いや、許さない。許さない。許さない。許さない。許さナイ。許さナイ。許さナイ。許サナイ。許サナイ。許ナサイ。ユルサナイ。。。。。

僕が考え込んでいると、階段を登る音がしてくる。犬になったせいか音が繊細に聞こえる。足音からして3人。しかもこの足取りは一般人じゃない、よく訓練された「こっち側」の人間だ。彼らは、僕を狩るために来た。そう、向こうはこちらを殺しにかかっている。そうなれば仕方ない。こちらも明日がかかっているのだ、ならば殺してもいいだろう。そう、()()()()()()()。気分が高揚する。体が火照り、自分の血がぐつぐつと沸騰しているように感じる。()()口角が自然と上がる。

しかし、この体で戦う術は限られている。だが、犬の俊敏さは伊達ではない。それに武器だってある程度はある。俺は机の引き出しを鼻を使って開けた。そこにはハンドガンや手榴弾、閃光弾など、いくつかの武器が入っている。その中で、犬の体で扱える物は限られる。俺は一本のナイフを口に咥える。刃渡は15cmほどありその刃は月明かりを反射させ、青白く光る。

暗殺者だった男は、犬となってもなおその牙を剥く。

明日を生きるために。

終わりなき狩りが、今、始まったのだ。

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