表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アトラシア戦記~あるファイターの手記より~  作者: チャラン
第2章 エルディア奪還
5/17

第5話 次なる戦いへ

 キング率いる新生正規軍は、国家存亡を賭けた防衛戦に勝利し、ルシファーの分身を打ち倒すことができた。ほぼ完全な大勝により、アトラシアのキングウィル地方は、魔勢の侵略に怯える必要がなくなり、以前のような平穏を取り戻している。


 奪還しなければならない国土はまだまだ広大で、国の行く末についても予断を許さない。しかしながら、絶対的な安全を一地方で確保し、国土の一部を完全に取り返した戦果は大きい。アトラシア全土奪還の足がかりを得たキングは、全幅の信頼を置く側近たちにキングウィル地方の統治を委任した(のち)、大勝による手応えを感じ、覇気に満ち溢れているアトラシア軍と共に、ルシファーの本体が逃げ込んだエルディアの地へと進んだ。




「国王陛下、偵察結果を報告致します。ここから少し西へ向かった所に、放棄された小城を発見しました。付近に敵勢力は見当たりません。いかが致しましょう?」


 ハーピー部隊を先行させ、斥候として飛ばしていたキングは、エルディア地方に差し掛かった所で重要な偵察報告を聞き、しばらくの間、沈思黙考していた。小城でも城は城である。軍をもって占領した(のち)、周辺地域の町を治めれば、拠点として十分な機能を発揮し、エルディア奪還の基盤となることは間違いない。黙考の腕組みを解き、参謀を中心とする周囲の配下の意見を聞いたキングは、


「よし、西へ行こう。全軍入城し、足がかりとなる拠点を構築するのだ」


 そう適切に決断すると、小城がある西へ向けて、軍を進めた。




 ハーピー部隊の偵察報告通り、小城は完全に放棄された形で、城内に罠なども仕掛けられていなかった。恐らくキングウィルでの大敗は、ルシファーにとって予想外の事態であり、エルディアに退く場合の備えを全く考えていなかったのだろう。


「魔王と言えど、油断があるようだな。まあ、ルシファーのトップダウンだろうから一枚岩じゃないってところか」


 仲間と共に入城したサイラスは、そんな独り言をつぶやきながら、城内で簡素な改修工事の手伝いをしている。信頼関係にある戦友たちと、共に行う作業は、エルディア奪還戦にこれから臨んでいくサイラスにとって、つかの間の気分転換になっているようだ。


 簡素ながらも改修工事を一通り終え、小城に拠点を構築したキングは、周辺地域に召集をかけた(のち)、新たに騎兵であるナイト部隊と、大型妖精族のジャイアント部隊を雇い入れた。どちらもファイターや、小型妖精族よりも強力な兵種であり、頼もしい2部隊が加入したことでアトラシア軍の戦力レベルは、次の段階へと押し上がった。


 ナイトやジャイアントといった、戦力らしい戦力を召集できるようになったのは、キングウィル地方の安定を取り戻したからこそで、領土平定による国力の回復がなければ、まだまだファイターと小型妖精族部隊に頼るところが大きかっただろう。だが、エルディアまで退いたルシファーも魔軍の力を発揮し、少なくともこちらと同条件の戦力を整えてくる可能性がある。


 本格的な戦いはこれからになる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ