1話
この暗闇に飲み込まれそうになったその時、あなたのその温かい手が傷だらけの僕を救ってくれた。
別に大した理由はない。今日はお父さんがまたパチンコで負けて怒っていたから家を逃げ出してきただけ。この緑に茂っている森にいると妙に落ち着くだけ。
「はあー。」
思わずため息が出てしまった。何で僕はこんな出来損ないなんだろう。
頭は良くない。運動神経はゼロ。芸術センスもない。ひとりぼっち。「黒羽風暗」はなんのために生まれてきたのだろう。
頑張って自分で切った真っ黒の髪をくしゃくしゃにする。僕も兄みたいな完璧なひとにうまれたかったな。。そしたらクラスのみんなも認めてくれるかな。。そしたら兄ももう僕のことを殴らないかな。。
キュルキュルキュルキュル!
今日はやけにツバメの鳴き声がうるさい。どこかへと飛んでいっている。
これから何かするわけでもないし、自分で作った草のベッドから立ち上がってツバメの後をついてみる。
まだ行ったことがないほど森の奥に進んでいく。途中にあった大きな池に立ち止まって池な水が反射した僕の顔を見た。
「キモい。」
そう言われるのが普通だった僕にとっては自分の顔は死ぬほど嫌いだった。まあ、弱虫だから死ぬことは不可能だけど。吐き気がしてきたので、先へ進んでいく。
すると、広めの太陽が当たる場所にたどり着き、視界が広まった。ツバメたちが何かを囲んでいるのがわかった。
近づいてみたら、思わず「えっ」という声が出た。
シルクのような真っ白な髪。こちらをじっと見ている金色の目に花の形の瞳。そして、頭の上に少し左に傾いて浮いている輪。
「天使。。!?」
読んでくれてありがとうございましす!ちょっとずつ投稿していきたいです。