6.禍福(かふく)は糾(あざな)える縄の如しって言うけど、ボクは福だけ欲しい
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スキル屋から出て、街で1番安い宿屋の普通のグレードの部屋に戻ってきた。
スキル用貯金をしながらでもなんとか人並みな生活ができるようになった今、思い返すとよくあの生活で死ななかったなと思うような生活だった。
「ほんの数ヶ月前まであっちのほぼ廃墟みたいなとこで寝て、ご飯は1日2回の雑草の塩煮込みみたいなスープと真っ黒で焼くの失敗したみたいなガチガチのパンって、生活水準がホームレスだったよね」
今じゃ床にボロボロの毛布をかぶって寝ることもないし、あまり上等じゃないけどお肉も雑草じゃない野菜も食べている。
「スキル様々だねっと。じゃあ明日に向けて早速『リベイロ』」
2つのスキルオーブが光を放ち、次第にその重さが消えて光はボクの中に吸い込まれていく。
「んー、やっぱり何回やっても感慨深いなぁ」
2年間、スキルを求めて我慢をして、毎日毎日同じことを繰り返して。
生まれてこのかた使ったこともなかったスキルを初めてオーブで手に入れた時は本当に感動したモノだ。
それこそ、早速ゴブリン狩りに行こうと思ってたのに、目が潤んで足元がおぼつかなかったくらいにはね。
「さて、感傷的になってないでスキルを試しましょうかね」
思い出にも十分浸ったところで、お待ちかねのスキルお試しタイムだ。
まずは何を召喚するかわからない異世界召喚から試すことにした。
「召喚!………なるほど」
部屋の中で小鳥が飛び回っている。
もともと日本人だったボク的にはとても見慣れた鳥。
実は農家的には害獣であり、海外にはほぼ生息していない茶色の小鳥、スズメだ。
「チチチチチチ!」
「うるさっ!」
召喚した1匹がボクから逃げようと慌てて鳴きつつ部屋の中を飛び回る。たった1匹なのにめっちゃうるさい。
「送還、送還!」
異世界へ送り返して部屋は静けさを取り戻した。
「スズメを召喚するスキルだったのか。いや何に使うのこれ」
まぁ確かに獣やモンスターを召喚して感覚を共有し、偵察なんかを行う人がいるのは知ってる。
でもそれはちゃんと《契約》のスキルを持っていて初めてできることなんだ。
異世界かそうじゃないかに関わらず、召喚スキルは召喚と送還は出来るけど、それだけだ。
召喚したナニかを使役したいなら《契約》のスキルが必須になる。
さらに契約にも難関があって………ってもうそこはいいか。
「つまり、今のボクじゃなんの使い道もないスキルってことだね」
スキル屋のおじさんがくれたスキルは、まぁまぁハズレだった。
「ま、まぁまだボクが選んだスキルがあるからね」
完全に詳細不明のスキル。
まさにガチャ。
1回銀貨10枚だなんて、本来貧乏人のボクが回すべきじゃない狂気のガチャだ。
はてさて、その効果やいかに。
「発動!………あれ?」
確かにスキルが発動する感覚がした。
したけど、何も起こらない。
「うーん、何これ、感覚的に発動してるのはわかるのにほんとに何も起こらない。え?こんな某ゲームの『はねる』みたいなスキルもあるの?そ、そんなバカな………」
う、うそだ、ボクの銀貨10枚が、ガチャの闇に飲まれただけだと言うのか………?
あ、さっきのスズメが掛け布団に糞してる。
「今日は、厄日だ………」
AM02:53
今から寝ます。
今日だけで3話くらい更新しました。いやー、意味もなくTwitterとか見てなければもっと書けたんですけどね。