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39.やりたい事とやれる事の間の幅って立ち幅跳びじゃ飛び越えられないよ、助走をつけてしっかり飛ぼうね

セーフ、前回の投稿からギリ一年経ってない!






 翌日からベルコードの特訓が始まったのだが、まず気になるのは1番レベルが高いスキルが何かだ。

 そこを聞かないことには始まらない。


「で、ベルコードは結局なんのスキルが1番伸びてるの?」


「1番高いのは《筋力強化Lv.9》だな。他だと斧術、槍術、料理がレベル7だな」


「Sの1歩手前じゃん、これ訓練必要なかった気がするけど」



 というか武器術2つレベル7もすごいけど、なんで料理そんなに高いんだ………?

 そんなボクの思いを知りもしないベルコードは否定を口にした。



「いや、レベル10と9の間にはクロンが思っているより厚く高い壁がある。冒険者を含めたSランクと呼ばれる存在は、現状では無名なクロンを入れても20人といない。そしてSランクに認定される存在は正確にはレベル10のスキルを持っていることではないんだ」


「それは知らなかったな」


「まぁ、実質的にレベル10スキルの規格外さが、前提のような条件になっているから『Sランク=レベル10スキル持ち』と考えて問題ない」


「………でさ、結局その条件ってなんなのさ」


「現役のAランク冒険者は現在だと約3,300人ほどいるが、その全員を一度に相手しても決して負けることがないと判断された者がSランクとして認定されるんだ」


「あー、なるほどね。そりゃレベル10前提の条件だ」



 なんてったって、目の前にいるレベル9のスキルを持ったベルコードもAランク冒険者であり、Aランクの昇格条件にはレベル8のスキルを持っていることを証明する必要がある。

 最低でもレベル8、レベル9もそれこそゴロゴロと居るAランク冒険者が3,000人で掛かっても負けるような相手となれば、それはスキルを使って世界のルールに割り込むことができるレベル10到達者だけだろうね。



「わかってくれたなら何よりだ。そしてラシーは《筋力強化Lv.10》を生まれながらにして持っていた生まれついてのSランクでな。問題なのは、物心ついた頃には自分より強い男と結婚すると言って憚らない女の子だったことだな」



 それでなんやかんやあってラシー姐さんに惚れ込んだベルコードはその言葉を信じて武者修行兼、漢磨きで冒険者になったと。

 今ふと思ったんだけど、それって力の強さばっかり見てラシー姐さんを女の子として扱ってくれる男がいなかったんじゃないかな?

 そして自分より強い男なら女の子扱いしてくれるって思ってそんなこと言ってるだけなんじゃないのかなって。

 まぁ、本当のことは本人にしかわかんないことだけど、もしそうなら今のベルコードが告白するだけで成功しそうな気もする。

 とはいえ、これはボクの主観混じりの憶測で、実際のラシー姐さんは本当に強さだけが男の条件かも知れないし訓練自体はやるんだけどさ。



「結局さ、特訓するのは筋力強化でいいの?それとも別のやつ?」


「筋力強化で頼む。ラシーとの再会が近いとわかった今、時間を無駄に出来ないからな」



 それもそっかと納得したボクに一礼して「ではよろしく頼む」と言ったベルコードは、早速とばかりに下段からの切り上げでいきなり切り掛かってくる。

 不意打ちだったそれも、ボクが常時展開している反転の力を上手いこと使って相殺する

 それがわかっていたと言わんばかりに槍斧(ハルバード)の使い方を斧から槍に変えて連続の突きを放ってくるが、それもまた一歩も動かずに相殺、相殺、相殺。

 一息つくためか、バックステップで距離を取ったベルコードが話しかけてきた。



「分かってはいたが、ここまでの差を見せつけられると少々落ち込むぞ………」


「落ち込んでる暇はないよ」


「っな!?」



 なんて言いつつボクはベルコードが理解できない方法で彼の後ろに転移する。

 そしてベルコードの動きを、スキルも全力稼働させなければピクリとも動けないくらいの力で縛りつける。

 いやぁ、一回やってみたかったんだよね、瞬きの間に背後をとって話しかけるやつ。

 圧倒的格上感が演出できてとてもいいよね、やりたいことリストの一つだったんだよ、これ。



「スキルの訓練なんだから、ちゃんと全力稼働させようね」



 ベルコードをレベル8程度の出力の《糸魔法》でその場に縛り付けて話しかける。



「ベルコードってさ、優秀でそれなりの冒険者なんだよね。訓練とかもしっかりやってきて、今のもボクを本気で倒そうと思ってやったと思う。でも今この場で出すべきは本気じゃなくて全力だよ」


「それは、どういう意味だ?」



 さっきのベルコードは長年の冒険者生活で染み付いた癖というのだろうか、本気でボクに勝つつもりでやってたんだろう。

 けど、全力ではなかった。

 野生の元での狩猟や寝泊まりはいつ横槍が入ってもおかしくない環境だから、不足に備えて全力を出さないようにしてるのだと思う。

 1番最初の不意打ちの切り上げは、“次”を想定していて、戦術の組み立てとしては決して間違ってない。

 でもこの場には合ってない。



「ボクの持論なんだけどね、スキルは出力を高くすればするほどレベルアップまでの期間が短くなると考えてるんだよ。でも優秀な冒険者のベルコードは“次“と“不測の事態”に備えて力を温存してる。ボクは文字通り、息が切れてしまうほどの力の全てを一度に使えって言ってるんだ」


「な、なるほど」


「だからさ、その拘束をつけたまま過ごしてね、レベルアップまで」


「いきなりハードだな………」


「多分ラシー姐さんは1週間くらいで来ちゃうからさ、急がないと」


「いやほんとに急だな。背に腹は変えられんか………」


 色々諦めて、スキル全力稼働しないと動けない糸の鎧を着たままの日常生活を受け入れたベルコード。

 もちろんこのままだと碌に戦闘もできないし、チンピラに絡まれたらやられちゃうので、緊急時は制御が弱まるようにはしてあるけど、スキルの連続稼働ってかなりしんどいんだよね。

 スキルというシステムは実のところ魔法スキルも魔力消費とかいう概念が存在しない。

 それどころか明らかに筋肉を過剰酷使していそうな出力の出る筋力強化とかでも体への反動なんていうものはない。

 集中力さえ途切れなければスキルはいつまでも維持することが可能なんだけど、実はそれがかなり難しい。


 例えば、仕事中に少し腹筋に力を入れた状態を維持しておこうと頭で考えていたとする。

 でも昼休憩どころか業務開始から15分ほど経った頃にはもう、腹筋に力を入れるのを忘れている人が大半だろう。

 スキルの連続稼働も同じで、集中力さえ持てばいつまででも出来ることなのに、ふとした瞬間には集中力が切れて維持できなくなる。

 稀に異常にマルチタスクが得意な人とかが余裕綽々でできたりもするけど、本当に稀だ。

 まぁ何が言いたいかと言えば、最初はふとした瞬間に筋力強化が弱まったりして動けなくなる瞬間があるだろうなってことだ。



「ま、愛があれば乗り越えられるでしょ」



 自分が出した課題なのに完全に他人事だなと、自分でも思った。

 

気分で描いてるんで、更新頻度が上がらない………

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