4.望外の結果を得ても、さすが自分と言える胆力が鬱にならない秘訣
ガルパ、ウマ娘、漫画やネット小説を読む、アニメを観る、歌を歌う、この小説を書く。これが今の私の趣味です
まずはいつも通り1匹でいるゴブリンを探す。
テストというか、試運転なら他に邪魔がいない方がいいもんね。
30分ほど森を探して、見つけた1人っきりのゴブリンに狙いを定める。
「まずはいつも通りの石から」
今回の落石は肩に当たった。
肩が外れたのか、激痛でその場に蹲るゴブリンの首に事前に編んだ糸を這わせ、糸魔法の糸操作を全力で使って首を締め上げる。
首が絞められているゴブリンは全力で糸を外そうとしているけど、緩まる様子も千切れる様子もない。
そもそも糸は編み込んであるので1本や2本切れてもなんの支障もないようにはしてあるけどね。
「いやでもこれは………」
ボクが少し考え事をしているうちに、ゴブリンは動かなくなっていた。
「ふぅ。なんか予想以上に糸魔法強いんだけど、本当にLv.1?なんか、糸魔法だけでゴブリンの体を持ち上げてたんだけど」
本当は石を落とした後使わない念動力の力もフルで使って糸を引っ張ってようやく倒せるくらいの予定だったのに、糸魔法の操作だけでゴブリンの体が浮くくらいの出力があった。
「え、いやいや、普通になんで???」
そもそも糸を操作してる時の持ち上げる力なんて500gくらいだ。それがなんでざっと20Kg以上ありそうなゴブリンを持ち上げられるのか。
これがマグレなのか否かは検証しとかないと、いざって時に糸の力が弱くなったりしても困る。
「とりあえず今日は糸魔法は無しで、隕石作戦でたくさんゴブリンを狩って、明日働かなくてもいいくらい稼いでから、本格的に検証だね」
◆◇◇◇◆
この世界ではスキルオーブの使い道が発見されてからまだ200年程しか経っていません
元々は古代の遺跡やダンジョンで多く発見されていたので『宗教にまつわるお守りに類するもの』と考えられていました
スキルオーブの使い方がわかるまでは鑑定のスキルや古代語学は重要視されていませんでしたから、むしろ200年でオーブの法整備や鑑定士の地位向上がよくここまで進んだと誉めるべきですね
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色々検証した。
まずはなんの細工もしていない1本の糸から始めて、持てる重さが他の人と変わりなく大体500gなのを確認してからだ。
まぁ結論を言えば、多分これ糸の『合計で500gを支える力』なんじゃなくて、『全ての部分が500gを支える力を持っている』んだ。
だから糸を一回折って重りを乗せてみると1キロまで支えられた。
つまりは編み込めば編み込むほど重いものも持てる訳だ。まぁ仮説だけどほぼ間違いない。
「これはゴミスキルどころか神スキル………」
ほんとなら2体同時の狩りに使おうと思ってたけど、これなら2体どころか5体でも楽に倒せる。
まぁ事前準備必須で不意打ちが大前提だけど、それは今までと何も変わらない。
たったそれだけの労力でこんなにいい結果が来るなら儲けもんだね。
翌日には事前に用意した編み糸で実際に2体同時、3体同時と徐々に数を増やしていって、予想通り5体同時の戦闘も反撃の気配すらなく楽に倒せた。
ただ流石にボクの今の操作能力で同時に捕まえられるのが5体が限界のようだ。
それに編んでても糸が痛みやすかったので3、4体あたりを中心に狙っていくことになると思う。
編み込みは1つ1つ丁寧にやってるからね。
いずれは糸を出した瞬間に操って編みながら出したり、なんなら編まれたものを出したりできるようになりたい。
「まぁそっちは慣れだね。スキルレベルが上がったらもっと操作性が良くなるだろうし」
自分の成長が楽しみで仕方ないね。