32.“ボク”が主人公の一人称で、“僕”はセンチ君の一人称。
おきました、おはようございます。
とは言ったものの、洞窟の中なので当然日光は見えない。
この世界では時間の管理がそこまで徹底されているわけではない。
少なくともボクが今まで暮らした環境の中だと時計の存在は見たことがない。
だからアバウトにどのくらい働いて、どのくらい休憩を挟んで………なんてのは本当に適当な感じだ。
ただまぁタスク自体は普通にあるので、寝坊したり昼休憩を取りすぎたりしてタスクが終わってないと、昨日のように残業をすることになるのだけども。
で、残業した翌日、つまり今日。
ボクは朝食の時にラシー姐さんとセンチ君にその残業を話題に出された。
「昨日はどうした?クロンが残業するなんて珍しかったけど」
「確かに、クロンは結構キッチリ残業とかしないようにしてたのに」
2人に珍しがられてしまった。
確かにボクはここに来てからスキルを鍛える時間を確保するために、時間の使い方を工夫するようになった。
残業だって昨日を含めても2回しかしたことがないしね。
それが急に残業したから2人は多分心配してボクに話しかけてくれたんだろう。
「いやぁ、ただちょっと夜更かししちゃってね」
「夜更かし?夜這いでもした?」
「ラシーさん!?猥談なんてされたら僕が話に入れないからやめて!?」
センチ君は結構ウブだね。
顔を少し赤くして猥談に過敏に反応してるよ。
「いや、夜這いじゃなくてさ、スキルのレベル上げしてたらついね」
「ただのレベル上げで夜更かし、ね。
まぁいいや、話したくなったら話してちょうだい」
なんか訳知り顔でボクの言葉を復唱したラシー姐さん。
年上のお姉さんの魅力が溢れてるけど、見た目はいつも通り少女のそれだった。
………いや、ラシー姐さんやセンチ君には伝えてもいいのかもな、異世界のこと。
隠し事があることはバレてるっぽいし。
◆◇◇◇◆
センチ君は歳の割にウブですが、情操教育自体はしっかりしていて、人並みにエッチなことへの興味もあります。
他の職員さん達との猥談なら別に狼狽えたりしないんですが、今回の猥談に狼狽えた理由はしっかりあります。
◆◇◇◇◆
仕事を終えて自室に戻った後、早速地球に来た。
もちろん今日でスキルのレベル上げを終えるためだ。
「まずは1番最初からお世話になってた《念動力Lv.9》からかな」
スキルを発動してそこら辺の石を拾って念動力で操る。
最近では複数の対象を別々に動かす訓練なんかもしてて、その訓練は鉱山の仕事中にもすることが出来たのでそれなりに上手く扱えるようになってきた。
「2つ動かせば2倍の経験値効率〜なんてね。………うぇ?」
それはきっとスキルのレベルが10になったからなのだろう。
スキルの使い方や出来ることが、一気に頭の中に流れてきた。
さっきまで浮かれてたボクはその出来ることの幅が広くて、さっきまでのウキウキが全部驚きに取って代わられたみたいだった。
【念動力Lv.Max】
いわゆるサイコキネシス。
目に見える物を浮遊させて動かせるスキル。
その本質は干渉するという概念。
何に、どう干渉するか、出来るかはスキル保持者の認識による。
スキルオーブでスキルを得たときやスキルをレベルアップさせた時には絶対に起きなかったと断言できる、このスキルの知識を得る工程。
スキル欄を確認してみたらボクの目には《念動力Lv.Max》の説明欄は日本語に、ボクの1番馴染みのある言語に見えるようになった。
「な、何じゃこりゃあ………」
知識は頭に入ってこびりついているみたいに忘れられそうにないが、改めて文面で見ると性能が半端じゃない。
何に干渉するのか、どう干渉するのか、干渉した結果どうなるのか。
この3つの変数を全てボクが自由に書き換えられるらしい。
例えば今までの念動力は「目に見える物体に、運動エネルギーを付与して、思った通りに動かす」というので固定されていた。
これを自分の思い通りに変えることができる。
極端な例だけど「ボクに、スキルを付与して、剣術の達人にする」という風に変数をいじると、
◆◇◇◇◆
名前:クロン
《念動力Lv.Max》
《糸魔法Lv.9》
《異世界召喚》
《ーーーーーLv.9》
《ーーLv.9》
《収納箱Lv.9》
《契約Lv.8》
《感覚共有Lv.7》
《火魔法Lv.8》
《水魔法Lv.8》
《風魔法Lv.8》
《土魔法Lv.8》
《回復魔法Lv.7》
《剣術Lv.9》
◆◇◇◇◆
さっきまで持っていなかった剣術スキルを、しかもレベル9で会得できてしまった。
いやこれ、念動力だけで世界最強なのでは?
今回お勧めする作品はこちら
『戦え無限術師 〜火花を散らす1ポイントの命達〜』
と言う作品です。
王道ファンタジーで、落ちこぼれから努力と泥臭さと機転で最強に成り上がろうと言う作品です。
ヒロインでありライバルであるタワワちゃんとの関係、互いに力がついていくたびに近づいていく距離感なんかもとてもよかったです。
自分1人でできないなら、自分を100人200人用意する!そんな面白い作品の紹介でした。
(無許可で宣伝してるので、チクったりしないでください………)