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第08話 家に帰る

作品タイトルは適当です。懐かしい響きの題名にしてみました。

多分、内容と関係ないと思います。

実家暮らしなんです。

兄が居ますが、家を出て結婚して子供も居るんです。

夏休みやお正月に帰ってくる時ぐらいしか、最近は会っていません。

自転車を停めて、家に入る前に電話してみますかね。


「あ、兄貴?」


「・・・電波の届かない所か、電源が・・・」


切った。出ないんですよ。もう最後ですよ。あ、父ちゃん居るかな?

母ちゃんは? 二人共居るな。家の明かり付いてるもんな。


「ただいまぁ」


「何処行ってたの? 晩ごはんなら、もう出来てるけど、何、それ?

 何でお弁当を買ってきてるの? あんた馬鹿じゃないの」


あぁ、そうだ、小腹が空いたから何か食べようと思って出たんだっけ?

コンビニで、おにぎりかスナック菓子でも買うつもりだったんだっけ?

ほんの少しの前の事なんですけど、何だかもの凄く昔の様な感覚ですね。

俺、何してるんでしょう。馬鹿ですねぇ。


「馬鹿なのは子供の頃からだら、治らん」


父ちゃん、酷いよ。もっと息子に愛情を・・・

もうすぐ何処かに拉致されるんですから。

あ、そうそう、伝えないと、今しがた起こった出来事をちゃんと話さないと。


「父ちゃん、母ちゃん、俺、家を出るよ。ゴメン」


「そうかい、いつから探してたんだい? この辺りのアパートかい?

 それとも会社の近くに、良い物件でもあったのかい?」


何で母ちゃんは、嬉しそうな顔して聞いてくるんでしょう。


「そうだなぁ、お前の歳だとそろそろだと思ってたんだよ。

 あの、えーっと、ほら、ヨシ子さんだっけ?

 父さんも母さんも、反対しないぞ。良い娘さんじゃないか、なぁ?」


「違いますよ、父ちゃん。陽子さんですよ、何回会えば覚えるんですか?」


「あぁ、そうそう、とし子さんなぁ。いつから一緒に住むんだ? え?

 もうしたんだろう?プロポーズ」


二人共、勘違いをしてる、違う、そうじゃない!


「あ、いや家を出るってそう云う意味じゃないんですよ。何と言えば良いのかな?

 あと陽子さんね、父ちゃん。とし子って誰よ?

 まだボケる歳じゃないでしょう」


「何だ違うのか。そうか、先ずは一人暮らしをして、いや同棲か、そうだろ?

 やっぱり親と同居ってのはなぁ、俺たちは良くてもなぁ、とし子さんがなぁ。

 最初は二人が良いよなぁ」


駄目だ・・・もう違うんですって、そうじゃ無いんですって!

何と言えば良いんでしょうか。何で二人共嬉しそうな顔してるんでしょう。


「さっき兄貴に電話してみたんですけど、出ないんですよ」


「アイツは、海外出張だと言ってたかなぁ、母さん? 

 いま飛行機じゃ電話は駄目だろう。自慢しやがって、ムカつく。

 土産かなんか持ってきやがれってんだ」


い、いつの間に、出張か何か知らないけど、何処行ったんだよ今生の別れだぞ?


「じゃ、仕方がないか・・・兄貴には父ちゃんからでも伝えて下さい。

 俺、これから帰れない所に連れて行かれるみたいだから・・・」


「は、何? お前どうしたの? 何を言ってるんだ? いいから突っ立て

 ないで座れって。飯食うぞ」


あ、そうだ携帯電話でアレの写真を撮ったんでした、それを見せて説明したら

良いんですよ。

どれだったかな、これじゃ無い、これか、これだ!


「父ちゃん、母ちゃん、これ、これ見て下さいよ。ほら!この丸いの、これ」


「あ、何だよ? 飯食う時は箸を持てよ。携帯じゃ食えないぞ?」


「丸いわね、何これ? アドバルーン? 最近は見ないわね」


あ、母ちゃん、見てくれたんですね、そうそう、これがですね、えーっと、何?

ってか、アドバルーンってなんですか?

携帯電話の画面には、丸い物体が空中に浮かんでいる様子が表示されています。

何って、これ、どう説明すれば良いんでしょうか。

あいつ自分の事を何か言ってましたっけ?


「自動捕獲機ですよ」


は? え? 何?


「自動捕獲機ですよ」


いや、違う、声が声が? 聞こえてる? 頭の中に、さっきのあの球体の声が!


「すみません。捕獲対象なので監視は続けてます。気にしないで続けて下さい」


あぁ、逃してくれないんですね。そうですよね、でも、飛んでいきましたよね。

ものすんごいスピードで・・・


「いや、そんな速くはないと思いますけど。

 そろそろ二人目の捕獲を実行する予定です。

 用意はお早めにお願いします」


あぁ、もう時間が無いのか・・・言うべきことは言っておこう!


「父ちゃん、母ちゃん、今まで育ててくれて、ありがとうございました!」


起立して両親に深々と一礼をする。


「なんだ突然。どうした? お前、婿養子に行くのか?」


「俺、自動捕獲機って機械に捕獲されて、拉致かな? いや、どっちでも良いや。

 それで身体中に変な機械を入れられて、何処かに連れて行かれるらしいんです。

 酷い、帰して!と訴えたら、荷物を取りに行くのと家族に挨拶するのは

 許されて、家に帰ってきましたけど・・・これで最後かもしれません」


「はぁ、お前は何を言ってるんだ?

 明日は仕事だろ、早く飯食って風呂入って寝ろ」


「はい、食べな。ハンバーグだから、何でお前は同じお弁当を買ってくるん

 だろうね、

 馬鹿だねぇ。せめてデザートのプリンとかにすれば良いのに」


この反応は予想が出来てましたよ。そうですよね、いきなり言われても馬鹿だと

思われますよね。逆の立場だったら、同じ様に言うでしょうね。

あ!陽子さん。そうそう、何で忘れてるんだよ!陽子さんにも電話しないと!


「陽子さん、あのね、俺ね、えーっとね、拉致されてね、帰ってこれないから、

 それでね、今生の別れでね、会いたいから今から行って良い?」


「お前、本当に馬鹿だな。電話して相手が出てから喋れよ。

 ついでに言ってる意味が訳が分からんぞ?

 飯を食えって、冷めるぞハンバーグ」


まだ陽子さん電話に出てなかったんですね、早とちりです、馬鹿ですね・・・


「はい、もしもし、何? どうしたの?」


今度こそは、電話は繋がってますよね?


「あ、陽子さん、あのね、えーっとね、拉致されて今生の別れだから、

 会いたいから!」


「何? 意味が分からないんですけど。今から来るの?」


「だから、荷物を詰めて拉致されるから、帰ってこれないから!」


「荷物? 何処かに行くの? 一緒に旅行? 何、これ? もしかして・・・」


「いや、だから、あのね、捕獲機に確保されてね、

 宇宙に行ってきたんですよ、俺! 見たの!地球をね、青かったぁ・・・」


「そう、青かったんだ。確保って、指輪、式場? ねぇねぇ、そうでしょ?

 焦っちゃって、もう。それにしても電話でって。

 普通は直接に会って、もう少しムードを考えてさぁ、

 あ、来るの? 私が行く?」


「宇宙人による拉致誘拐です!」


「ぶーーーー!!」


父ちゃんが飲んでたお茶を吹きました。

前に座ってる母ちゃんの顔に、もろにかかってます。

汚いです。

この物語は創作です。

作者の空想・妄想の塊です。

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