第06話 機械の機能
作品タイトルは適当です。懐かしい響きの題名にしてみました。
多分、内容と関係ないと思います。
「えーっと、そろそろお時間でしょうか?
身体にお入れした物が馴染んできた頃合いだと思考します。
どんな塩梅でしょう?」
「はい?」
「お身体のお加減はどうでしょうか?」
「はい、痛みは無いですね」
「痛みは無いのですね。他に何か気になることはございませんか?
あれば仰って下さい。私の出来る範囲で対処いたしますので」
「気になることは・・・色々とあるんですけど、聞いて良いですか?」
「はい、どうぞ」
「あなた誰? ここ何処? 俺は拐われたの? 目的は何ですか?
何処に連れて行かれるのでしょうか?」
聞きたいことは山程ありますよ、本当にもう!だってそうでしょう。
「えーっと、お身体の具合に関する質問なんですけど。
私の聞き方がおかしかったのでしょうか」
「身体? そうそう、何したの? 何を入れたの? 凄く痛かったんですけど!」
「機械を入れました。あなたの身体では、これから行く所には適応出来ませんので。
大脳、小脳、脳幹、延髄、眼球、耳鼻、舌、四肢、背骨、心肺機能、呼吸機能、
消化吸収機能、骨髄、代謝、免疫、その他諸々の身体機能の補助並びに強化を
行うための物です」
「え!何? そんなに沢山の機械を身体に入れたんですか?」
いつの間に・・・確かに、そりゃ滅茶苦茶痛い訳ですよ。
「はい、途中で意識を無くされたので、全部を把握されていないのも無理は
ありませんね」
「何したの?」
「機械を入れました」
それは聞いたんですけど、そんな答えじゃなくてさぁ・・・
「何のために?」
「環境に適応出来るようにです」
「あんた誰?」
「自動捕獲機です」
「人ではない?」
「はい」
「ここに誰か他に居ますか?」
「いいえ」
良かった、聞き方が悪かっただけで、きちんと質問するとちゃんと答えてくれる
みたいです。質問に質問で返すこともしない。誤魔化すこともしない。
「お答えできる範囲であれば、ですけども」
「あの、先程から俺の頭の中の思考をチョイチョイ読み取ってませんか?」
「はい」
「出来るの?」
「はい、機械を入れましたので」
「機械って何でしょうか?」
「あの、説明しても理解していただけるかどうか。
恐らく無理なような気がしますけど、しますか?」
「俺には理解できない程の高度な機械ってことでしょうか?」
「はい、今現在のこの星の技術では解析することすら不可能だと思考します。
単なる腫瘍として診られるかもしれませんね」
「は、はぁ」
俺は少し深めの溜息を付いた。少し核心めいた質問をしてみます。
「あの、俺は拐われたんですよね?」
「はい」
あっさりと認めましたよ、この機械?か何か知らんけど。
「何のために?」
「存じ上げません」
「え?何で?」
「私は捕獲するために存在する機械ですので、依頼主の目的までは知りません。
捕獲した原住民に、環境に適応するための機械を入れて連れて行く、それが私に
与えられた役割です」
「何で俺なんでしょう?」
「そこに居たので」
「それだけの理由?」
「はい。今回は依頼主から適当に数体を捕獲して欲しい、との依頼でしたので、
こちらに来て最初に見つけたあなたを選んだだけです。数体と言うのが何体の
ことなのか確認していないのを思考したので、困ってた所です。
こちらの言葉で表現する所の”おっちょこちょい”なんでしょうね」
「おっちょこちょいな機械に捕まったのですね?」
「はい、そうなりますね」
「帰して!」
「申し訳ないです、依頼主には”御本人の意志は無用”と伺ってますので、駄目です。
もう既に機械を身体に入れてしまいましたから、戻せません」
「酷い・・・これ拉致でしょ」
「そうですね。あなたは折角網で捕まえた魚を逃しますか?」
「魚なのか、俺は」
「いえ、人間と言う生物ですよね? それを捕獲しろとの指令ですので、
そうしただけです。先程のは現地の言葉では”比喩”と呼ばれる表現ですかね」
「・・・そうですか。逃げようにも衛星軌道上の宇宙に居るんだし、無理ですよね」
「はい、諦めて捕獲されて下さい」
「捕獲してから言うのはズルくないですか・・・」
元は真っ白だった壁、今は窓になっている景色が、少し変わりつつ有る。
地球の大きさが小さくなっている。
静かに移動を始めているが、乗っている人間はそれにはまだ気がついていない。
この物語は創作です。
作者の空想・妄想の塊です。