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第62回 機械巨人兵についての講義 その3

作品タイトルは適当です。懐かしい響きの題名にしてみました。

多分、内容とは関係ないと思います。


「違いが良く解らんのだが、引力か重力制御と云うのか? 先程も言った

 が俺は理論物理学者じゃないんだ、どんな理論で動いてるかなんて説明

 は出来ん。お前たちに使い方を指導し、歩兵として使い物に成るように

 訓練させるだけだ。

  難しい理屈は知らんが、多分だが発射した光線の軌道の付近の空間を

 湾曲させて曲げているんじゃないか? そのうち射撃訓練もやるから、

 その時に体験させてやるよ。

  あと乗員のお前らにも、自衛用の手持ち武器として同じ光線の拳銃を

 支給する。だが今では無いぞ、実戦に出る時にだ。いずれその射撃訓練

 もやる予定だ。理解したか?」|(英語)


 サンダー教官のその説明を聞いて、えぇ、そんな事って本当に出来るの、

と雄二は訝しんでいてた。そんなのはロボットアニメの中での出来事で、

本当に自分がやる事になるなんて、それに自分が鉄砲(と呼ぶのかな?)

を撃つのは怖いなぁ、と怖気付いてもいる。


「教官、固定武装以外の武器ってなんだ? 歩兵が携帯するのなら手榴弾

 かグレネードランチャーやRPGでも有るのか?」|(英語)


 ジムがまた挙手して、サンダー教官に質問をする。新入りではあるが軍人

なので射撃訓練と言われても雄二の様に動揺したりはしない。そんな物は、

既に普通に何度もやっていたからである。


「巨人兵には手榴弾を装備させる。その弾頭は、熱核爆弾、対消滅爆弾、

 と状況により使い分ける。威力としてはヒロシマ型の2倍程度(30

 キロトン)の原爆から、2メガトン級の水爆、惑星破壊用の反物質

 対消滅弾と色々と種類がある」|(英語)


 教官のその言葉を聞いたジムと横に座る二人は、息を呑んだ。

おいおい、マジかよ・・・ なんて武器を持たせるんだよ、一体全体俺達

に何をさせようっていうんだ? そんな物を使えば俺らも巻き込まれて

無事じゃ済まないだろ? 自爆・特攻攻撃でもやらすのか、捨て駒かよ?


「教官、そんな無茶苦茶な威力の爆弾を持たされて、俺らは一体何をする

 んですか?

  それって遠距離から艦砲射撃か巡航ミサイルや弾道ミサイルの攻撃で

 済む話ですよね? メガトン級の水素爆弾なんて、歩兵が持つ威力では

 無いです、戦略兵器です。そんな物を手榴弾として使ったら最後、自分

 たちもその場で、蒸発するのではないですか?」|(広東語)


 少し落ち着いた陳が、教官に質問する。その言い分も至極当然である。

その様な超強力な武器を1兵卒の歩兵に持たせるのがおかしい。それでは

戦術兵器(通常兵器)でなくて、戦略兵器になってしまう。現場の戦闘員

が、ほいほい使用して良い物では無いよな? と考えているのであろう。


「背中と言うか胸部・腰部の背面と呼ぶべきか、そこに擲弾筒を装備する

 事が可能だ。これは電磁誘導力を利用した電磁加速砲になるのか、その

 手榴弾を巨人の腕で投げるよりも遠距離に投擲できる様になっている。

  大凡の有効射程距離は500マイル位だな。

 それ位あれば巻き込まれんだろ?」|(英語)


 陳の質問に、サンダー教官は表情を変えずに淡々と答える。


 いや射程距離が500マイルって、それは巡航ミサイル並じゃないか?

そんな距離は擲弾筒ってレベルでは無いだろう?とジムと陳は驚愕の顔だ。


 雄二1人だけは、マイルってどのくらいの距離なんですかね?

とジムの背中越しに、陳にこっそりと聞いている。

 え? 1マイルが約1.6km位ってことは・・・ 射程800km! 

何ソレ! 東京・大阪の距離くらい? いやもっと離れてる? え?

電磁加速砲って、レールガン? え? もう実用化されてるの?

一応、それくらい離れていれば、原爆なら大丈夫・・・だよね?

で、でも水爆ってどれくらいの威力なの? 想像が出来ない・・・

確かさっき、ジムさんにジャングルごと原爆で吹っ飛ばす気か、と聞いて

ませんでしたっけ? 水爆を持っていって使うのはは、それをやるのでは?

何だか言ってる事が矛盾してるような?

それに反物質対消滅って何? 惑星を破壊とか、さらっと物凄く物騒な事を

言ってませんでしたか?

 頭を抱えている雄二を放置して、教官の説明は更に続く。


「戦略兵器か、まぁ地球の常識じゃそう考えるな。派遣される先の惑星の

 規模に依るので、その都度装備する武器・手榴弾も替える、それだけの

 話だ。通常の火薬程度の規模・威力の奴、例えば榴弾やナパーム弾等の

 焼夷弾も有ることにはあるが、恐らく使用頻度は低いんじゃないか?

 もしも連れて行かれた惑星の大気中に酸素が無いと、そもそも火薬や

 ガソリンが燃えないよな? だから熱核爆弾を所持させる、と俺は考え

 ている。それに手榴弾と言った筈だ。あくまでも歩兵が装備・携帯する

 武器だ。船の主砲クラスになると、威力はもっと強力だろうな。


  前にも言ったが、俺は教官だから前線には行ったことは無いんでな。

 装備の扱い方は教えてやれるんだが、お前らがどんな戦場に行くのかは

 知らん、すまんな」|(英語)


 いつものニヤけた表情とは違い、かなり真剣な顔で三人に対して頭を垂れ

ている。とても珍しい事だ。それ程ヤバい状況に連れて行かれる事もある、

と考え教えてくれているのだろう。


「えぇ、そんな無茶苦茶な・・・ お家に帰りたいです。俺っていたって

 普通のショボクレた工場に勤務している只のサラリーマン工員ですよ?

  最近、鍛えられて身体に筋肉は付いてきましたけど、戦争に行く程の

 度胸も無いし… 俺、鉄砲なんて撃ったことも無いですし… それに原爆

 を持って行って使うなんて、無理無理、絶対に無理ですって!」

 |(日本語)


 もう、雄二の顔は既に半泣き状態である。唯一の被爆国である日本人で

あらば原爆の被害は教えられて知っている。それを自分で投げて使え、と

言われているのだ。雄二でなくても帰りたくなるだろう。


「ホンダの言い分も尤もだ。俺は攻撃ヘリのパイロットになるつもりで、

 自ら進んで陸軍に入隊した。いつか戦場に出る覚悟も、ある。

  だが、この二人は違う。ここに来る迄はごく普通の一般市民だった筈

 だろうし、戦争とは無縁の生活だったろう。それに、ド素人が戦場に

 出て行っても使い物にはならんだろ? しかも原爆や水爆を使えと言わ

 れてもなぁ。酷な話じゃないか? 教官」|(英語)


 その雄二の泣き言に近い懇願を聞き、ジムは腰を上げて立ち上がり両腕

を机につき、かなり真剣な顔で教壇に立つ教官に詰め寄っている。

青筋を立てて唾を飛ばす程の勢いである。陳は、隣で立ち上がったジムの

その様子を観て、少したじろいでいた。


「あぁ、無理矢理に自動捕獲機で拉致した事は、本当に申し訳ないと思う、

 すまないと感じている。俺があの球ころ野郎に依頼を出したんだからな。

 ただ、お前らを狙って拐った訳では無い。この俺だってお前らと同じ

 境遇で、好きでこんな所に連れてこられた訳でも無いんだ。出来ること

 なら、今からでも地球に戻りたい。

  まぁ、もう家族なんて残っちゃ居ないんだろうがな」|(英語)


 教官はため息を付き、少し間を開けて更に言葉を続けた。


「だからな、徴兵制で強制的に召集されたと思うしか無いんじゃないか?

 もしくはジャクソン、黒人の貴様にこんな言い方は良くないし気に入ら

 ないかもしれないが、お前さんのご先祖みたいに奴隷として連れてこら

 れた、と考えるか?

  俺は運がなかった、と思うようにしている。いや、していたか…

 まぁ、俺を含めたこの月基地に連れてこられた人間全部に言える事なん

 だが、捕獲されて直ぐに身体中に機械を入れられただろ? あれで身体

 機能の強化をするが、実は囚人や奴隷に付けられてる足枷と同じなんだ。

  俺らは逃げられない。酷い話だろ?」|(英語)


 教官の顔が心做しか寂しそうでもあるし、悲しげな表情に見える。

恐らく、今までこの基地に連れてこられて訓練してきた人間全てに同じ様な

事を語ってきたのであろう。

 その言葉を聞いて、熱り立っていたジムは静かに椅子に座る。

ある程度は納得したのか、神妙な顔で頷いて下を向いた。


 一番最初に、自動捕獲機に捕まった時の事を思い出していた。ジムが服を

脱いでご自慢の筋肉を陳に見せびらかそうとした時である。あの時、ジムは

いきなり気が抜けて腑抜けみたいになった。やろうと思えば身体の中の機械

で、生命活動の停止など簡単に実行出来るのだろう。俺達の生殺与奪の権利

は教官よりも更に上位の存在(宇宙人かこの基地のマザーコンピューターか)

に握られていて、逆らえないんだな・・・と悟ったのだ。


「教官、俺、巨大ロボットアニメに憧れて何時かは乗りたいと漠然と思って

 いました。だが、それは死と隣り合わせだって事を、余り理解していま

 せんでした。でも、これからは生き残れるように、頑張りたいと思います。

 今後とも指導をお願いします!」|(広東語)


 陳の表情が吹っ切れているように見える。諦めの表情も入り混じっていると

言うべきか。どうせ逃げられないのであれば、好きな巨大ロボットに乗ること

を少しでも楽しんでやろうと考えも多少はあるのか。地球に残してきた彼女の

元に生きて帰るとの固い決心も含まれるのか。


「まぁ、さっきも言ったが、俺は元々好きで攻撃ヘリのパイロットになり

 たくて志願して入隊した軍人だ。今更戦闘に行きたくない、などと泣き

 言なんて言わん・・・

 それにジェミーと約束したんだ、絶対に生きて帰るってな」|(英語)


 ジムは俯いていた顔を挙げ、教官に言った。志願して軍人に成っているんだ、

それなりに意気込みはある。やってやろうじゃねーか。訳の分からん何処かの

星なんかで死んでたまるか。俺は地球に帰って子供や孫に看取られて死ぬんだ、

とでも思っているのであろう。


「教官、俺も死にたくないんで、頑張ります。生き残って地球に戻ります。

 大事な人が待ってますから・・・」|(日本語)


 雄二だけが決心出来てはいない様子である。出来るだけ生き残れるように

頑張ってみるか、と思い直してはいた。

陽子さんとの約束もあるし、という思いも強い。


 何となくであるが、三人に一体感が出来た様である。前日の飲み明かした

効果も多少はあるのかもしれないが。


「頑張れよ、お前たち。生き残れるように、俺が出来る限り鍛えてやる」

 |(英語)


 ほんの少し、いつものニヤケ顔に戻ったように見えた。


この物語は創作です。

作者の空想・妄想の塊です。

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