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第42話 ブートキャンプ

作品タイトルは適当です。懐かしい響きの題名にしてみました。

多分、内容とは関係ないと思います。


 午前 (といっても時間が解らないので、そうなのだろう)の座学が

終わり、三人は歩いて食堂まで行くことにした。

教官のクルマでの送り迎えはもう終了なのであろう。これからは自分

たちで勝手に歩いていけと言われたのだ。

 ただ、昼めしはこっちだと案内された。それは教室の隣であった。

そこが食堂になっており、ここで昼食を摂れとの事だった。

Dinerもどきまで歩くよりも楽なのは有り難い。と言うか移動時間が

無駄になるから、学び舎に食堂を設営されているのかもしれないが。


 そこには、Dinerもどきに居たウエイターがここにも居たのである。

無口で無愛想な同じおっさんウエイターだと三人は思い込んでいたの

であるが、よく観るとそれは人間ではなかった。

調理、配膳専門の自動人形だったようだ。

背中に動力用もしくは操作用 (らしき?)ケーブルが付いていた。

 サンダー教官の話では、旧型の機械人形なのだそうだ。だから有線

操作だという。

この施設で旧型って、一体どれほど昔から存在するのか想像もできない。

 最近、新しいウエイターが出来たんだぞ、と教官は喜んでいた。

何でも可愛らしい金髪の女性ウエイター人形だそうだ。

但し、ここにはまだ居ない。


 食堂の食卓に座ると、そのおっさん自動人形が来て食事を配膳する。

と言っても、例の真っ白のブロック状の謎の物体である。

毎日、三食ともこれなのだ。

味気ない、だが食べる度に味付けは違う、というか変えられる。

 正確に言うと、白いブロックには何の味も付いていない。食べた時に

舌と鼻の感覚器官に働きかけ脳味噌の記憶にある味付けを再現し、脳が

それを錯覚して食べたい味として感じているのだという。

仮に身体に機械を入れられていない人間が食べると、無味無臭で食べら

れたものではないそうだ。

 だが、栄養は地球上で造られるどんな食事よりも豊富で、それさえ

食べていれば他は不要とのこと。訓練中の人間には、これが一番らしい。

結局、何が材料なのかはサンダー教官も無口な配膳人形も教えてくれな

かった。どちらも「聞かない方が良い」としか言われない。


 午後 (だと思うのだが時間が解らない)食事の後に三人が教室に行く

と、教官にこっちだと言われて後ろに付いていった。

学び舎の奥に、体育館くらいの大きさの建物があり、そこで訓練をする

と言われた。

 入り口には[高重力訓練場]と表示されていた。雄二にはそう読めた。

他の二人に聞いてみると、同じ様な内容がそれぞれの言語で表示されて

いるらしい。読む人間に依って表示される言語が替わるのか。


「昼飯の後は、体力を付けるための基礎的な鍛錬をやる。お前ら二人は

 弱っちい身体してるから先ずは1.5から始めるか。そっちのデカい

 兄ちゃんは鍛えてそうだから、2.0からやるか?」|(英語)


 教官の言う数字の意味が理解できない三人は何だそりゃ?

という不思議そうな顔で見合わせている。


「教官、その1.5や2.0とは何でしょう? それと、これ見よがしに

 置いてある、このデカい円盤みたいな機械は何ですか?」|(日本語)


 三人を代表して雄二が教官に質問をする。直径4メートル以上はあろう

かという巨大な水車の様な機械が三台置かれているのである。それを指差

して聞いたのだ。


「これは、お前らが中に入って走るんだよ。ハムスターを知ってるか?

 あれが入って走るだろ? 名前は何ていうんだ、良く知らんのだが、

 ”回し車”か?」|(英語)


「えぇ・・・これに、入って走るん、ですか? 酷い扱い、ですね。

 普通の、ルームランナーで良い、のでは?」|(広東語)


 陳の言い分も尤もであろう。体を鍛える為のトレーニング・マシンと

してなら、普通に走る電動式のルームランナー (ウォーキングマシン)

で十分な筈だ。


「お前ら二人は1.5Gでやる。この中は重力を自由に替えられるんだよ。

 面白いだろ。理解したか?

 そもそも、月の重力は地球の六分の一しかないな。

 でも、お前らは今は普通に歩いてるだろ?

 この基地内は、地球と同じ1Gにしてるんだよ。

 地球の六分の一の重力だと、暮らしにくいだろ?」|(英語)


「え? は、はい? 1Gにしてる? え、どういう事ですか?」

 |(日本語)


 意味が解っていないのか、どういう事?みたいな感じな顔で雄二が

聞いている。


「お前は理解力が低いな。先が思いやられるぞ。耐重力訓練とか聞いた

 事がないか? 空軍の戦闘機乗りの訓練ではやるんだけどな。

 地球のは機械でグルグルと回して遠心力で擬似的に重力加速度を増や

 すだけなんだが、ここでは直接引力を操作して増やす。

 運動時に身体にかかる負荷を増やすんだよ。理解したか?」

 |(英語)


「何? そんな事が可能なのか? ヘリパイロットには耐G訓練は無い

 らしいが、聞いたことは有るぞ。本当にそんな事が出来るのか?」

 |(英語)


 ジムが、また興味津々の顔でグイグイと教官に聞いてくる。

矢張り俺たちパイロット候補生じゃねーか、みたいな顔とキラキラとした

お目々に成ってきている。


「体力作りでやるんだよ。普通に走るよりもキツイぞ。覚悟しろよ?」

 |(英語)


 教官は、否応なしにこれをやれ!という態度である。


「いえ教官、そう云う事じゃ、なくて、重力、引力?を、自由自在に、

 変化させられる事に、驚いて、いると思い、ます、よ・・・」

 |(広東語)


 陳が、ジムや雄二の代わりに答えている。


「そっちかよ。今更だな。ここに来た時に気がつけよ、お前ら間抜けだな。

 そもそも自動捕獲機の中にも重力が有ったろ? 普通、ロケットや宇宙

 ステーションの中は無重力だろ? あれにも地球や月の引力や重力は働い

 ているんだが、まぁ見かけは、中は無重力に成るよな?」|(英語)


 確かに教官が呆れるのも頷ける。雄二とジムは顔を見合わせて、そう

言えばそうだった… みたいな顔になった。

陳は一人だけ、俺は気が付いてましたよ?やれやれ、という顔をしてる。


「いいから、お前これに入れ。そして走れ。やってみれば解る」

 |(英語)


 教官は、先ずジムを指差して促す。


「俺はハムスターかよ・・・何でこんな物に・・・ブートキャンプは

 済んでるって言ったろう・・・糞ったれ」|(英語)


 耐重力訓練と聞いて喜んでいたジムは、単なる筋力鍛錬だと知って少々

不満そうである。一人ブツブツと文句を言いながらも、その巨大な回し車

の中にに入る。

 直径が4メートル程、横幅1.5メートル程の円筒形の巨大な人間用の

”回し車”である。右側には入り口があり、そこから中に入る。入ると自動

で扉が閉まる。

 雄二と陳はそれを見守っている。入る前は真っ白だったのが、ジムが

入ると円形の部分が透明になった。

中の人間が、外から見える仕組みになっているみたいだ。


「入ったぞ、これで走れば良いのか? 別に何も変わらんぞ?」

 |(英語)


 ジムが回し車の中から教官に聞いている。円筒内は密閉されているが

声は聞こえるみたいだ。


「いきなり走るなよ。慣れていないと酷い目に合うぞ。歩き始めて暫く

 してから徐々に重力を上げる。直ぐにやると辛いからな。

 先ず歩いてみろ」|(英語)


 教官にそう言われたジムは、渋々と歩き始めた。


「うわ、本当にハムスターですね、これ・・・」|(日本語)

「いや、これ、ドラム式の洗濯機、かも・・・」|(広東語)


 雄二と陳のその反応を聞いた中のジムは、歩きながら文句を言っていた。


「お前らな、人のことを何だと思って、るん・・・ ん、ん? うぅぅ」

 |(英語)


 ジムの様子が少しおかしい。中で辛そうな顔に代わってきている。


「どうだ、結構キツイだろ? 流石に鍛えてるな、いきなり2.0Gで

 歩ける奴は少ないんだぞ。そろそろ走ってみろ。ゆっくりで良い」

 |(英語)


 いつものニヤけた顔で、教官はジムを煽っている。


「うぅぅぅ、これキツイぞ・・・ぅぅぅ、走るのか?」|(英語)


「お前さん、ブートキャンプは済んでるって言ってなかったか?

 ほら走れ! ジョギング並みにゆっくりで良いぞ。

 転ぶなよ、酷い目に合うぞ」|(英語)


 教官は、先程のジムの独り言もきっちり聞いていたみたいである、

性格が悪い。自信満々のジムを更に煽る。


「走れば、良いんだろぉ。走ればぁ・・・うぅぅ、ん、んん・・・」

 |(英語)


「ジムさん、大丈夫ですか? 外からの見た目は、そんなに辛そう

 じゃないんですけどね」|(日本語)


 雄二が少し心配そうな顔で、ジムに声をかけている。


「ホンダ、これ、お、お前も・・・やって・・・みろ・・・」

 |(英語)


 陳も心配そうな顔である。


「ジムさん辛そう、ですね。2Gでそんなにキツイん、です、かね?」

 |(広東語)


「お前らも他人事じゃなくて、やるんだよ。早くそっちの機械の中に

 入れよ。このデカい兄ちゃんよりはキツくない。

 1.5だ心配するな」|(英語)


 教官にそう言われた二人も、嫌々ながらもそれぞれ巨大な人間用の

”回し車”に入っていく。


「いきなり走るなよ。慣れていないと酷い目に合うぞ。歩き始めて暫く

 してから徐々に重力を上げる。直ぐにやると辛いからな。

 先ず歩いてみろ」|(英語)


先程ジムに言った台詞そのままである。本当にそんなにキツイのかな?

と二人は疑問に感じながら、ゆっくりと歩き始めた。

すると・・・


「え、これ、意外と・・・キツイ・・・」|(日本語)

「うぅぅ、ジムさん、よく走って、まし、たね・・・」|(広東語)


「な、見た目よりもキツイだろ? これを5.0までやるからな。

 覚悟しろよ?」|(英語)


 いつものニヤけた笑い顔で、教官は三人にそう告げた。


「は? 5G? 2Gでも・・・こんな辛いのに・・・まだ・・・

 上げる・・・のか?」|(英語)


 ジムの声は、かなり息が上がっている。雄二と陳は既に息も絶え絶えの

状態である。


「そう言えば伝えるのを忘れたが、その中は気圧も自由に替えられるんだ。

 高地トレーニングと呼ばれるのか? それの併用が出来るんだ。

 便利だろ。理解したか?」|(英語)


「は? なに・・・これ、よりも・・ま、まだ、キツく、するのか・・」

 |(英語)


 ジムが、かなりキツそうな顔で教官に聞いてくる。


「今は、その中は標準大気圧の1013ヘクトパスカル、1気圧だな。

 ここから0.8気圧や0.7気圧に下げるんだぞ?

 それでへばっててどうする。お前さん鍛えてきたんだろ?」

 |(英語)


 いつものニヤけた顔で教官は、またジムを煽る。


「ちょ、ちょっと・・・ま、待ってくれ・・・まだ、はやい・・・」

 |(英語)


 ジムがそろそろ涙目でヤバ気である。


「何だ、Gを2.5に上げるか? それとも気圧というか酸素濃度を

 下げるか? どっちだ?」|(英語)


「い、いや・・・い、今の・・ま、ま・・で、じゅ、十分だ・・・」

 |(英語)


「うげぇぇぇ・・・、きょ、教官、げ、限界・・・駄目 で、すぅ」

 |(広東語)


 陳もヤバい雰囲気である。どうも運動は苦手なようだ。


「お前、バテるの早いな。入ってそんなに時間が経ってないぞ。

 走らなくても良いから、もう少し歩けよ。そうだな後2時間位か?」

 |(英語)


「に、にじかん・・・うぅぅ、む、無理、無理」|(日本語)


 雄二も辛そうな顔をしてきた。


「お前ら、だらしがないぞ。まぁ最初だから1時間で止めるか」

 |(英語)


「い、いや、無理・・・」|(日本語)

「し、死ぬぅ・・・・」|(広東語)

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」|(英語)


 雄二と陳は顔面蒼白、ジムは鬼のような形相で何とか走っている。


「これ毎日やるからな。日課だな。他にも、射撃の訓練、ナイフ等

 を使った模擬格闘訓練と、模擬操縦訓練機械を使った操縦訓練も

 やるんだが。おい、お前ら聞いてるか?

 これ準備運動だぞ。軽いジョギングだぞ」|(英語)


 どうも教官の声は、既に三人には聞こえていない様子である。

わざとなのかは解らないのだが、教官は三人には伝えていない。

実は”回し車”を回すのにも、負荷が掛けられている。

ただ歩くだけでも、かなりキツイのである。


この物語は創作です。

作者の空想・妄想の塊です。

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