第39話 部屋
作品タイトルは適当です。懐かしい響きの題名にしてみました。
多分、内容とは関係ないと思います。
夕食(とは言われたが時間は未だに解らず)の後、三人はサンダー教官に
また違う場所に連れて行かれた。
四輪駆動ではなく四球駆動のジープもどきのクルマに乗せられたが、
今回は奇妙奇天烈な機動走行は無しであった。教官ご自慢のクルマに、
食べた直後に吐かれるのを嫌がったのかもしれない。
と言っても、食堂の横の扉を開いたすぐ隣が目的地だったのである。
走行時間は殆ど無いに等しい。酔う暇も無いのであるが。
そこが宿舎になっているみたいだ。ここも隣のDinerもどきと同じく
前面が駐車スペースになっており、建物自体はそれほど大きくはない。
平屋の質素な建築物である。アメリカの田舎に有りそうなモーテルの
ような外観だ。ただし、これもまた真っ白なのであるが。
一人に一部屋を割り与えられると思い込んでいた三人は、一つの部屋に
押し込まれた。ベッドが三つあるだけ、他はシンプルな机と椅子が三組。
部屋の片隅に奇妙な透明のブロックが置かれていた。
雄二の持ってきたキャリーケースが、部屋の隅に氷漬けの様に透明の
ジェル状の物体に包まれて置かれていた。それと三人の着てきた服が
同じ様にジェルに包まれて置かれている。
「あ、あのこれ俺の荷物・・・どうなっているんでしょう? 固められてる
んですかね?
触ってみたらカチコチに固くて、これ冷たくないけど氷ですか?
密閉されてるんですか? 中身が出せないんですけど・・・」|(日本語)
「出せないように固めてるんだよ。写真立てだけ綺麗にしてそこに置いて
やったぞ、ありがたく思えよ」|(英語)
サンダー教官の指差す机の上に、雄二と優子の写っている写真立てが置いて
ある。そこを使えということか。
「それじゃ持ってきた意味がない・・・」|(日本語)
「自動捕獲機の手口だな。そのまま連れて行かれたら文句を言うだろ?
一旦は帰すんだろうな、酷いやり口だ、誰に似たんだか」|(英語)
「そんな無茶苦茶な・・・」|(日本語)
「まぁ、最後に挨拶、だけ、出来たのは良かった、と思い、ましょう」
|(広東語)
「そうだな・・・」|(英語)
部屋の中には、寝台が三組並んでいる。その足側に机と椅子、それだけしか無い。
窓も無い。あってもここは地下深くであるので外の景色が見える訳もないが。
「この壁は窓だ。気晴らしに外を見ても構わない。好きな景色を選べ。
隣の部屋は風呂と便所だ。毎日訓練の後、一人ずつバスタブに入れ。
汚れを落とす。俺のお勧めは・・・」
「睡眠コースですよね?」」|(日本語)
雄二が間髪入れずに答えた。もうあの地獄の悶絶を味わうのは嫌なのであろう。
「あれよりはマシだぞ? 最初が一番きつい。二回目からは時間も短いし、
身体の中身、消化器官やら性器の中身の洗浄まではやらん。睡眠コースが良い
のは同じだが。
今日は、もう飯も食ったから寝ろ、明日は朝から訓練をやる。
ベッドに寝転んで寝ようと思えば、グッスリ眠れるぞ」|(英語)
「俺たちに選択の余地は無いのかよ? あるのはどのベッドにするかだけか?」
|(英語)
ジムが教官に詰め寄る。色々と聞きたいことが有るような顔だ。
それは他の二人も同じなのであるが。
「どれでも寝心地は同じだぞ? 不眠症や寝不足や夜更かしなんて考えるだけ
無駄だ。寝転べば即寝るようにも出来る」
「問答無用、です、ね。俺はどれでも良い、ですよ。お二人が、先に選んで、
下さい」|(広東語)
「俺もどこでも良いですよ、寝転んだら寝るんじゃどこでも同じでしょ」
|(日本語)
「それじゃ、俺はこの端にさせてもらう」|(英語)
ジムが入り口から一番遠いベッドに座る。その隣に雄二、入り口近くに
陳が寝ることになった。
「机もこの並びで良いですよね?」|(日本語)
「そう、ですね」|(広東語)
「あぁ、でも何に使うんだ?」|(英語)
「宿題でもやれよ。座学もやるんだよ。それの復習でも良いし、日記でも
書け」|(英語)
教官はそう言うと、部屋から出ていった。え、もう説明は無いの?という
顔をした三人を残して。
「俺は風呂に入ろうかな? 寝る前に身体を綺麗にしてすっきりしたいです」
|(日本語)
雄二が風呂場に向かった。
「アイツ、懲りないな・・・ 日本人はそんなに風呂が好きなのか?
理解に苦しむ」|(英語)
「香港でも殆どシャワー、です、からね、ジムさんは湯船に入り、ますか?」
|(広東語)
「いや、俺もシャワーだな。家に湯船はあるがジェミーは偶に入るかな?」
|(英語)
風呂場で、悶絶の声が聞こえてきた。雄二がまた睡眠コースにするのを
忘れたのであろう。
その声を聞いて、ジムと陳が呆れてベッドに横になった。途端に熟睡である。
雄二は、風呂場の湯船の中で卒倒したまま放置された。
この物語は創作です。
作者の空想・妄想の塊です。




