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第31話 入り口

作品タイトルは適当です。懐かしい響きの題名にしてみました。

多分、内容とは関係ないと思います。


 三人とも声が出せない。いとも簡単にさらっと驚愕の事実を知らさ

れて、これまでの常識が音を立てて崩れてしまったかのようである。


 雄二の頭の中は混乱していた。

 一万五千年前って、日本じゃ何をしてた? 何時代だったっけ?

もっと歴史を勉強しとけばよかった。えーっと、もしかして縄文時代? 

 え、え、え、待って待って、その頃に造られた機械がコレ、俺たちが

乗っている、この自動捕獲機さんなの?

 ご先祖様が縄文式土器を造っていた頃、宇宙人はこんな物を飛ばして、

地上に居た人間を捕まえていたって?

 いやいやいや、だってえぇ、じゃぁ遮光器土偶って、もしかして

宇宙人を模して造ったの? あれ宇宙服を着た人なの?

太った女の人じゃなかったの?


 竹取物語でかぐや姫が月に帰っていったのも、あれ作り話じゃなくて、

今の俺たちと同じ立場の人の見聞録ってこと?

浦島太郎は亀じゃなくてコレに乗せられて、竜宮城じゃなくて宇宙人の

基地に行って帰ってきた?


 エジプトのピラミッドが建てられたのが四千年前だとして、それよりも

はるか前には、もう既に宇宙人たちは人間を拐っていたんでしょ・・・

それで、捉えた人間にその造り方を教えてた?


 うそうそうそ・・・・いやいやいやいや、そんな事、ないよ、ないよ!

あり得ないよ! ないないない!


 でもこの捕獲機さん、自分を最新型って自慢してたから、もっと古いのも

有るんですよね。

古いってどれくらい? 何百万年も何千万年も前から、地上に居る生き物を

捕獲していたの? それをどうしてたの?

 もしかして、猿から人間に進化させたのも、宇宙人なの?

それ以前に、恐竜を捕まえてたりしてた? だから以前の型は大きさが違う

って言ったの?


 宇宙人って、こ、怖い、いやいやいやいや、怖いって、何、何、何ぃ!



「少し煩いので、黙って・・・では無くて、あんまり考え事しないで頂け

 ますか?」


 自動捕獲機の喋り方はいつもと同じなのだが、雄二には「鬱陶しいなぁ」

みたいな雰囲気で言われた気持ちがした。


「は、はい、頭で考えている事がダダ漏れでしたね・・・」|(日本語)


「ホンダさん、顔色が、悪い、です、よ。真っ青、です」|(広東語)


 そう言ってるチェンの顔色も真っ青である。技術系の人間がこんな

話を聞かされたら、さぞかし衝撃であったろうことは想像に難くない。


「俺たち、籠の鳥だったって事か?」|(英語)


 かろうじてジムが言葉を絞り出した。やはり二人と同じ様に衝撃を受けて

顔色が、元は黒いのであるが血の気が引いている、雄二にもそれは解った。

三人とも、窓に近いベッドにへたり込んでいる。


「養殖場のマグロ、鶏小屋の鶏、牧場の牛、みたいなモノですかね・・・」

 |(日本語)


「必要になったら捕りに来る、って事か?

 食べたり、はしないよな? 俺なんて食っても硬いぞ」|(英語)


「は、はい・・・ でも食べないと思いたいですね。

 食料だったら、もっと大量に捕獲する筈でしょ?」|(日本語)


「もしかしたら、自分たちに、都合の良い、ように品種改良を、してた、

 とか?」|(広東語)


「猿じゃ言葉が通じないから人間に改良したのか?」|(英語)


「仕事をさせるにも知能や知恵が必要ですからね、猿じゃ頭が良くないし、

 それに指が器用じゃないから?」|(日本語)


 三人は顔を見合わせて、更に顔色が悪くなっていった。

俺たちは、これから何をさせられるんだろう、と畏怖の念を抱いている。


「捕獲した皆さん、大抵は同じ様な事を仰ってますね」


「大体、みんな考えることは同じなんですね」|(日本語)


 力なく、雄二が自動捕獲機と同様に、同じ台詞を声に出す。

そうだったのか・・・

そうか、これ帰れるかな。ゴメンね、陽子さん・・・


「月の裏側にお連れする予定に成っております。

 最後に外を観ますか?」


 場の雰囲気を読んでいるのかどうかいまいち掴み所がないが、自動

捕獲機が、また三人に声をかける。


「最後の頼みだ。月を一回りして見せてくれ。裏側にある基地も見たい」

 |(英語)


 ジムがかなり怖い目付きの表情に成っていた。覚悟を決めて死地へ

赴く前の兵士の顔、と言うのであろうか。


「はい、いいですよ。どうぞ」


 またいつもの決まりきった返答である。この辺りは機械らしいが、

これが一万年以上も前から稼働していると考えると、脅威でもある。

しかもこの台詞は、日本語、英語、広東語の三種類を同時に三人に

発信しているのだ。

 姿を見ただけでは人種(国籍?)の判別はできないようであるが、

思考を読み取れば、その言語に一瞬に切り替えるのである、しかも、

同時に多言語をである。

 陳が秋燕シュウエンに、この技術が実現できればスマホなんて鼻くそだと言って

いたが、まさに一万年以上前から当たり前にやっているのである。

写真や動画を撮られるくらい、どうでも良いことなのであろう。


 自動捕獲機は、音もなく(月面には大気が無いので元々音は伝わら

ないが)浮上し、高度を一万メートルほどにまで上げた。

そこからゆっくりと月を周回して、三人が懇願した遊覧飛行に移行する

のであろう。

 この遊覧飛行中、三人は先程までの修学旅行気分ではなくなっていた。

沈黙のまま、窓の景色を眺めている。雄二が気を利かせて、また三人分の

コーヒーを淹れて皆に渡したが、談笑は無く黙々とそれを飲み込むだけ

だった。


 似たような地形・景色なので本当に一周したのかは判っていないが、

どうやら目的地に近づいたらしく、自動捕獲機の速度が落ちてきた。

だが、何も無い。クレーターや岩、砂といった他の場所と変わりがない。

自動捕獲機は、一つのクレーターの真上で静止した。


「はい、着きました。基地の上に居ます」


 自動捕獲機があっさりと言ったが、三人が窓から観ても何も無い。

単なる少し大き目のクレーターである。

それ意外は、普通の周りの月面の風景と全く変わらないのだ。


「何も無いですけど・・・ここなんですか?」|(日本語)


「はい、着きました。基地の上に居ます」


「本当に、なにもない、です、ね。もしかして擬態して、ます、か?

 地球から来た探査機とかに、見つからない、ようなカモフラージュ

 です、かね」|(広東語)


「はい、そうですね」


「なるほどな、だから地球のNASAの連中にもバレていないのか。

 真上に居ても、何も見えんぞ」|(英語)


 少し元気が出てきたのか、会話が弾むように成ってきた。

みんなコーヒーを飲んで、気持ちが落ち着いてきたのであろうか。


「基地に入ります」


 その後、自動捕獲機はゆっくりと高度を落としていった。

三人は窓からの景色を固唾を呑み見つめていたが、その目には何でも

ない今まで沢山在ったありきたりなクレーターが、見えているだけだ。

 が、近づいた瞬間、その真ん中に黒点が現れた。

最初は針で開けた穴程度に見えたが、野球のボールからマンホールの

大きさへと、どんどんと広がる。それが次第に直径を大きくして黒く

丸いトンネルの様になっていく。

やがてクレーターが全て黒い穴に成った。


「あ、あれが、入り口!」|(日本語)


「あぁ、開いたな!」|(英語)


「凄い! なめらかに開き、ます、ね」|(広東語)


 直径は30メートル程はあるだろうか、真っ黒な穴が開いている。

中には明かりもなく漆黒の闇で何も見えない。

そこに自動捕獲機は静かにゆっくりと入っていく。


この物語は創作です。

作者の空想・妄想の塊です。

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