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第30話 月の裏側

作品タイトルは適当です。懐かしい響きの題名にしてみました。

多分、内容とは関係ないと思います。


「月の裏側にお連れする予定に成っております。

 最後に外を観ますか?」


 場の雰囲気を読んでいるのかどうかいまいち掴み所がないが、自動

捕獲機が、また三人に声をかける。


「そう言えば、裏側って何があるんでしょう? 家族には秘密って

 言われたし、もしかしたら宇宙人の秘密基地ですかね?」

 |(日本語)


「月の軌道、自転とかで、地球からは、裏側は絶対に見えない、ので、

 隠すには、丁度良いと思い、ますね」|(広東語)


「それは聞いたことがあるぞ。昔、B級映画でナチの生き残りが秘密

 基地を建造してるって内容のを観た」|(英語)


「はい、そうですね」


 自動捕獲機があっさりと認めたので、三人は少し拍子抜けというか

意外と言う顔をして見つめ合った。


「やっぱり・・・本当にあるだ!」|(日本語)


「宇宙人が隠れてるのか、もしくはこの自動捕獲機が依頼主と呼ん

 でる奴らの基地なんだろうな」|(英語)


「興味深い、ですよ、ね」|(広東語)


「でも、俺たちって連れて行かれて、何をされるんでしょうかね?

 ちょっと怖いですよ。また死ぬほど痛いことされるんじゃ・・・」

 |(日本語)


「あれは、もう勘弁して欲しいな・・・思い出したくもない」|(英語)


「あ、あれは・・・い、イヤ、です、ね・・・」|(広東語)


 三人は、みな捕獲されて直ぐに施された身体への機械の挿入の事を

思い出し、身震いをしている。もはやトラウマになっているようだ。


「申し訳ないです、私はそれについては知りません。私は、自動捕獲機

 でありまして、地表に居る現住民を確保するのを生業としてる物で

 あります。

  人員の確保と呼ぶべきなのでしょうか?

 依頼主から適当に地表に居る原住民を数体確保してきてくれ、との

 指令を受けまして、それを実行している最中であります」


「その台詞、最初に捕まった時に聞かされた記憶があります」

 |(日本語)


「あなたの身体は斬りません。処置はもう終わってますよ」


「それも聞いた気がします・・・」|(日本語)


 そのやり取りを聞いていたジムが、自動捕獲機の言葉の中にある事に

気が付いたようだ。質問を投げかけてみる。


「人員の確保だと?」|(英語)


「はい、そうですね」


「俺たちに、何かさせる、ために、連れて行かれるんでしょう、かね?」

 |(広東語)


「わからんな、身体の切り刻みをやらないのなら、人体実験では

 なさそうだが・・・

 まさか俺たちの先祖みたいに、奴隷にしようとかじゃねーよな?」

 |(英語)


「申し訳ないです、私はそれについては知りません。私は、自動捕獲機

 でありまして、地表に居る現住民を確保するのを生業としてる物で

 あります」


「あぁ、もう良い!

 同じ答えしか言わないってのは、コイツは本当に知らんのだろう。

 下っ端に情報を与えないのは、万一の時の漏洩防止を考えている

 って事だろ」|(英語)


「流石に軍人さんですね。俺じゃそんな考え出来ないですよ」

 |(日本語)


「ホンダ、俺は入隊したばかりの新入りだぞ、買いかぶり過ぎだ。

 ただの推理だよ」|(英語)


 軽く手を振りながら、褒められて少し照れているのか、その黒い顔が

少し赤くなる。

なんとなくだがジムの顔色の違いが判ってきたような気がする、黒人

さんでも顔色は変わるんだなぁ、と雄二は妙な所に関心を抱いていた。


「月の裏側に行きます、宜しいですか?」


「あ、あぁそうだな、みんなもう良いか? どうする?」|(英語)


「他に行きたい所って言われても・・・ うさぎは居ないだろうし、

 かぐや姫も・・・ でも、もしかして基地に行けば会えるんですかね」

 |(日本語)


「かぐや姫って、確かお伽噺です、かね。そう言えば月の模樣の、

 見え方は国に、依って違うん、ですよ。

 中国だと日本と、同じでうさぎ、他にも、カニやカエル、ですね。

 ジムさん、アメリカだと何、ですか?」


「ん? そうだな髪の長い女性だったか、ワニか? 意外とバラバラ

 なんだな」|(英語)


「月の裏側に行きます、宜しいですか?」


 自動捕獲機さんが少し苛ついているように感じたのは、自分だけかな?

と雄二は思った。


「俺は、もう一つ他のアポロの着陸船の跡を見たい気もするが・・・

 まぁ良いか。きりが無いし未練が残るだけかもな」|(英語)


「そうですね。でも、もう一度月を一周してもらいませんか?

 それくらいは構わないでしょ? 駄目ですか?」|(日本語)


「良い、ですね、賛成、です。見たい、です」|(広東語)


「そうだな、良いな」|(英語)


 皆の意見が纏まったので、自動捕獲機に懇願する。


「捕獲した皆さん、大抵は同じ様な事を仰ってますね」


「大体、みんな考えることは同じなんですね。

 ん? でも皆さんって事は、今までも結構な人が捕獲されていた

 と言う事ですかね?」|(日本語)


 誰もが疑問に抱くことであろう、当たり前である。

ジムと陳の二人も揃って頷いている。


「そうだ、アブダクションというんだったか? 宇宙人に拉致された

 被害者と言い張る連中は、アメリカには多いんだぞ」|(英語)


「何人、くらい連れ去られたんで、しょう、ね?」


「そうですね。私が捕獲した原住民は、かなりの数に上る、

 と思考します。

 この星の一万五千公転周期くらいは稼働しているでしょうか。

 私はそれくらいの時期に、この月の裏側で製造されました。

 それ以降、依頼があれば適宜原住民を捕獲していました。

 あなたは今まで摂取した食事の回数を、記憶していますか?」


「なんですとぉ!」|(日本語)

「はぁぁぁ!」|(英語)

「うそぉぉ!」|(広東語)


 またしても、三人は、ほぼ同時に驚愕の表情で大声を出した。


「これは自慢なのですが、私は最新型でして、今の原住民に合わせて

 製造されています。以前の型は違う大きさだったと記憶があります。

 現在、私以外の旧型の自動捕獲機も存在し稼働しています。今回は

 私に指令が発せられて実行している最中です」


 三人は、あまりに衝撃的な内容を聞かされて、言葉に詰まっている。


 最新型が一万五千年前に製造だって? それってエジプトのピラミッド

を建造するずっと前じゃないのか? そもそも、その時期の人間は石器

時代で原始人なんじゃ? その間ずっと地上の人間を拉致していたって?


 だから「原住民」と言っていたのか、コイツは・・・


この物語は創作です。

作者の空想・妄想の塊です。

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