第20話 旅立ち
作品タイトルは適当です。懐かしい響きの題名にしてみました。
多分、内容とは関係ないと思います。
なんだよ、クソっ! 道路が混んでるし、全然タクシーが動かないじゃん。
どうするんだよ、折角、秋燕ちゃんが会っても良いって言ってくれたのに・・・
降りて走るか? でも、ここからじゃまだ結構な距離が有るしなぁ。
どうする、どうする?
あ、あのぅ、自動捕獲機さん、聞こえますか?
「はい、呼びましたか? もう、宜しいですか?」
げ! やっぱり聞こえてるんだ。絶対に逃げられないんだね・・・
でも凄い技術だよなぁ、どんな原理なの?
申し訳ないけど、まだ秋燕ちゃんのアパートに着いてないんですよ。
道が渋滞してて時間が掛かりそうなんです。
もう少し待ってもらえますか? お願いします!
「秋燕ちゃん、それは何でしょう?」
あ、そうか、分からないか、まぁ当然ですね。
えーっと、俺の彼女です。意味は解りますか?
「番の事ですね。了解しました」
”つがい”って・・・ ま、まだ、そうじゃないんですけど・・・
そうなりたい人です。
「では、お送りしましょうか? その方が速いですよ。
それで納得して捕獲させて頂けるのでしたら」
え、良いの? 大丈夫?
ここ香港だよ、狭い街だから人の目が沢山ありますよ?
「私は捕獲するために存在する機械ですので、依頼主の目的までは知りません。
捕獲した原住民に、環境に適応するための機械を入れて連れて行く、それが私に
与えられた役割です。
捕獲さえ出来れば指令は達成ですので、それ以外の多少の事は問題ないです」
多少って・・・絶対に目立つと思いますけど、良いんですか?
優しいのかなぁ、でもあんな死ぬほど痛い事したし・・・
機械だから、感情は無いっぽい?
もしかして、自分の姿を見た人間を後でどうとでも出来るって事?
だとしたら怖いんですけど、どうするの?
「はい、色を替えれば原住民にはあまり見えない、と思考します」
そ、そうなのかな? ってか、それだけ? いや、ま、まぁ良いですけど。
だったらお願いできますか? 今、俺のいる場所は・・・
「把握しています。今から向かいます。出来ましたら建物の陰などに隠れて
頂いたらありがたいです」
「わかりました! 運転手さん、ここで降ります!」
出来るだけ建物の間の狭い道に、あんまり人の通らない場所に、急がないと!
この辺りだと、誰も居ないし、見られてないかな?
自動捕獲機さん、多分ですけど、いけそうです、お願いします!
うわぁ、眩しい・・・またこれか!
「は! ここって、さっきの真っ白の部屋です、よね? ね?」
「はい、これから向かいます、場所を指示してください」
「あぁ、秋燕ちゃんのアパートの場所ね。えーっと、スマホに地図を
表示して、って、これ出しても捕獲機さん、見える、かな?
解ります、かね?
何処かにカメラか何かが有って見えてます?」
「はい、大丈夫ですよ、そこの近くで降ろせばいいですかね?」
「も、もちろんです。でも、誰かに見られないかな・・・」
逆に、秋燕ちゃんには見られちゃった方が良いかもしれないけど。
「はい、構いませんよ」
え、は、はぁ・・・
サービス精神に溢れてるのか、絶対に逃さないから最後のお願いを
聞いてくれてるだけなのか・・・
まぁ、後者だよね。
「着きました。どうぞ、降りて下さい」
また、もう着いたんですか? そりゃすぐですよね、宇宙から帰ってくるのと
比べたら・・・すぐそこですもんね。
いや、ありがとうございます、何だかタクシー代わりになってもらって・・・
「はい、構いませんよ」
何だか、喋り方が、機械的というか・・・まぁ、機械なんだけど。
人工知能っぽい? 同じ文章を繰り返すような。
うわぁ、眩しい・・・またまたこれか!
あ、ここは! 本当に着いた、凄い!
いやそれよりも、早く秋燕ちゃんの部屋に行かないと!
スマホでメッセージを、でも文字を打つのがもどかしい。
えーい、電話で! お願い、すぐ出て!
「秋燕ちゃん、着いたから、もうすぐ部屋の前に行けるから!」
「え、着たんだ、まあ良いけど」
「部屋の中に入れてもらえる? 駄目なら外でも良いけど・・・」
「まぁ、入る?」
「それじゃ、待ってて」
急げ、早く、えーい、階段で・・・
ピンポーン
「はーい、久しぶりね。どうしたの? 走ってきたの?」
「はぁ、はぁ、はぁ しゅ、秋燕ちゃん!
あ、あり、が、と、はぁ、はぁ」
「で、話って、大事だって言ってなかった?」
「はい、あの・・・そ、その・・・ね」
全部を話しました。お尻の・・中に何か機械を入れられたのは、
言わなかった。言いたくないよ、そんな・・・
まぁそうですよね、そんな目になりますよね・・・馬鹿じゃないの?
って顔してる。どうしよう・・・駄目だな、俺、泣きそう。
「また、そんな顔して! その顔が嫌いだったんだけど、久しぶりに見たら、
何だろう、悪くないね」
「へ? 顔嫌いだったの?」
「ウジウジ悩んでる顔、嫌だったのよ。プログラマーの時、その顔の時が
多かったの。今もかな?って思って会ったけど、違うね。
何、必死さ?が違うと言えばいいのかな。
さっきの話、嘘くさいんだけど、あたしと会うための口実?
それでも良いんだけどさ、仕事を替えたって聞いてから会わなかったの、
あなたの顔が・・・表情がさ、見るのが辛かったから。
自分で気がついてた? 酷い顔だったの」
「あ、あ、はいぃ・・・?」
は、はい?どういう事、え? あれ、俺嫌われてなかったの?
意味が、わ、わから・・・
「その嘘くさい話、証拠でもあるの? 見せてくれたら信じてあげる」
「は、はい、証拠ある、あります! 外にあります! 居ます、かな?」
「で、何が有るの? UFOでも居るの? 宇宙人を捕まえたの?」
「はい、捕まったのは俺の方ですけど、UFOは・・・外に、居ます!」
自動捕獲機さん、あの・・・外に居ますか?
「はい、あなたの上に居ますので」
建物の上?
「はい、あなたの上に居ますので」
じゃぁ、外に出て秋燕ちゃんにあなたの姿を見せてもらって、良いですかね?」
「はい、いいですよ。どうぞ」
「秋燕ちゃん、外に出よう、ここって屋上には出られる?」
「え、行ったこと無いから知らないけど」
そうか、どうしようかな・・・窓! そう、外って窓でも良いじゃん!
「秋燕ちゃん、窓辺に行こう、そこから見えるから!」
「え、何、本当に? もう暗くなってきたけど」
自動捕獲機さん、窓辺に行きますのでお願いします!
「はい、いいですよ。どうぞ」
「何も無いじゃない、何がしたいの? やっぱり疲れてる? 大丈夫?」
自動捕獲機さん、カモフラージュをやめて姿を見せて下さい!
「はい、いいですよ。どうぞ」
「え!! な、な、なぁ、何、こここ、これ!」
そりゃ驚くよね。眼の前にでっかい球が浮いてるんだもん・・・
「自動捕獲機さん、秋燕ちゃんは連れて行かないですよね?」
「えーっとですね、依頼主からは原住民を数体確保せよ、との指令ですので、
四人は私の中に収納がキツイと思考します。
それと、今回はオスの原住民を確保せよとの指令ですのでメスは不要です」
「オス、メスねぇ・・・でも、秋燕ちゃんが無事なら、それでいいです」
「ね、ねぇ誰と喋ってるの? もしかして、その、う、宇宙人と?」
「あ、あの目の間に浮かんでる球体、自動捕獲機さんと話してます。
と言っても、声は俺の頭に直接聞こえてるんですけどね」
「え、えぇ、はい、頭の中ね、そうなの? 便利?よね・・・」
「でしょ? これを大量生産できたら、今のスマホなんて鼻くそでしょ?
俺大金持ちになれるかもしれないよ。でも、無理なんだけどね・・・」
「何で? スーパーの店員になったから? また技術系の仕事をすれば
良いじゃない、宇宙人の技術を貰ってさ! 特許をとってさ」
「いや、そうじゃないんだ、俺・・・今から月に連れて行かれるから、
戻ってこれるかどうか、分からないんだよ」
「申し訳ないです、月の事は内密にお願いします」
「あ、駄目なんですか? 月は秘密なんですって、忘れて下さい」
「誰かに言っても信じてくれないよ、こんな話」
「ですよねぇ」
そろそろかな・・・もう大丈夫。
「あの・・・自動捕獲機さん、今ここから俺を回収って、出来るん
でしょうか?」
「はい、いいですよ。どうぞ」
出来るんだ、真横に居るんですけど、大丈夫なんだ、流石に宇宙人の
技術です・・・よねぇ。
「ちょっと申し訳ないですけど、そこから飛び降りて下さい」
「はい? 今何とおっしゃいました?」
「ちょっと申し訳ないですけど、そこから飛び降りて下さい」
そ、そう言うことね、ほ、本当に、だ、大丈夫です・・・よね?
「秋燕ちゃん、もう時間だそうです、俺これから行きます。
会えて嬉しかったよ。愛してます。
こんな駄目な男ですが、良いですか?」
「いい、いいよ。帰ってきてね・・・ その顔、今の表情、好き」
陳学義は、笑顔で窓を開けて身を乗り出して飛び降りた。
飛び降りたその身体が、自動捕獲機の放つ真っ白な牽引光線に包まれ、
ゆっくりと浮かぶ。
球体の表面に扉は無い。下部の何もない所に丸い穴が音もなく広がり
彼の身体は、球体のその中に吸い込まれていく。
その姿が見えなくなると穴が塞がり、自動捕獲機は音もなく真上に上昇した。
その後、超高速で月に向かって飛行していった、流星の様に・・・
この日、香港の街の沢山の場所で、多数の未確認飛行物体の目撃情報があった。
その飛行している様子が、スマホ等で撮影された。
それらの多くの動画が、インターネットの様々なサイトに挙げられた。
その多くの動画のコメント欄に、流れ星や衛星の見間違い、もしくはフェイク
動画だ、と書き込まれた。
数日後、その殆どの動画が消去された。
この物語は創作です。
作者の空想・妄想の塊です。
という訳で、第一部「地球・第四種接近遭遇 編」終了です。
このまま終わってしまっても良いのでは?
と思わないでもないですが、私の妄想では色々と書きたい事が
有りますので、この話はまだまだ続くんです。
流行りの「異世界ファンタジー」だと、異世界に召喚されて
女神様に会ってチート能力を授かる場面辺りでしょうか?
まだほんの序章に過ぎません。
主人公たちは、まだ異世界にも行っていませんから。
題名にも「異世界冒険物語」と入れていますし(笑)
私が書きたかったのは、スピルバーグ監督作品「未知との遭遇」
の主人公は、宇宙人の母船に乗せられて連れて行かれた後に、
あちらの世界で一体何をしている(させられている)のかな?
と言うことなんです。
ここまでですと、あの映画の単なる模倣に過ぎませんのでね。
ただ、ここまでで書き溜めてきたモノが尽きてしまいました。
申し訳有りませんが、これまではほぼ毎日新話を投稿して
きましたが、今後は不定期になりそうです。
言い訳するようですが、ここから先のお話は拙い私の文章作成
能力では大層困難になると思われますので。
今後とも私の空想・妄想にお付き合い頂ければ、幸いです。




