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蜜を知った蜂  作者: 愛菜
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蜜の味は、下衆の味

昔から、自分の身体が好きだった。見るのも見られるのも。

大して細い訳でも、腕や足が長い訳でもない。それでも私が創りなす身体の曲線と少しばかり大きめの胸とその輪郭や色、丸みを帯びたお尻。若さ故の肌の弾力感。これは私のとっての武器だ。と、昔から思い続けていた。

鏡の中に映る自分の裸姿。どんな人にどんな風にどんな格好でどんな事をされたいのか、想像しながらしなびやかなポーズをとってみることが好きだった。


「変態」という言葉がまだ生まれてなかった時はこういう人達の事をなんと呼んでいたのだろう。

異常者か、もしくは、変人か。

私は他の人より少しばかり異常で、変人なのかも知れない。

そう思ったのは、初めての体験をした相手が姉の彼氏だったという事実を知ってからも尚彼とのセックスを辞めなかった時からだ。

私と姉の彼氏は、姉がいない時を見計らって姉の部屋の姉が寝ているベッドで愛しあい幾度となく慰め合った。

知っても尚、というより知ってからより一層、私と彼のセックスには華が咲き、枯れることはなかった。初めて触れるソシオパスを纏った魅力に溺れ優越感に浸ることのできる喜びが、沼のように快感になっていたからかもしれない。

隣の部屋から微かに聞こえてくる姉の悦びあげる声も、私のものに比べたらかわいいものだった。

姉との戯れがあるおかげで、私と彼とのセックスはより激しく良いものになる、だから、もっと、もっと悦んで良いのに。

いつの間にか私の中にひっそりと隠れていた欲望は旗を振りかざし自らを主張するまでになっていた。



姉が幸せそうに、2人で旅行に行った時の写真を見せてきた時、嬉しそうにニコニコ笑う姉の横に清純そうに見える彼の笑顔が映り込んでいた。


男なんて、欲にまみれた下衆野郎だ。




私はなんの期待も見返りも求めないまま、ただ欲望のままに愛撫された。

腐った葡萄のように、茎を伝いどんどん劣化していく本体。


ここまで腐ってしまったなら、もう誰にも食べられまい。


私はじっと、捨てられるのをただ待った。


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